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出発①

明くる日の朝。朝食を皆で食べ終えた後に出立の準備をはじめる。


と言っても何も準備をする事がないので装備を装着し朝方あまり人がいない時間帯に城門前へと集結した。


「みなさん...どうかまた...」


出発の挨拶にと城門前まで来てくれたセリルとオルメニア皇。セリルは昨日のアミットとミティーネの励ましがとても嬉しかったらしく別れが惜しいみたいだ。


「セリル、また絶対会いに来るからね!」


「うん!私も!ご家族のことも任せてくれ!」


健人達は行く宛てとして取り敢えず帝国に行く事にした。それは、帝国から報告を受けた厄災はオルメニア皇国では感じ取れなかったからだ。それはつまり、国滅級には値しないのではないかというひとつの希望だった。


「セリルさん、オルメニア皇。帝国の事は取り敢えず俺達に任せてください」


「あぁ、すまんが頼むぞケント殿」


「はい、いってきます!」


手を振りオルメニア皇国を再び出る。目指すは皇国より北方にあるファシュトリッシェ帝国。しかし乗り合い馬車でも二、三週間から一ヶ月程掛かるらしく長い道のりになる。だが、健人達の移動方法なら恐らく急げば一週間も掛からないだろう。それでも大いに時間が掛かる長い旅になる。


「ケント!この槍の移動も慣れてきたね!」


「あぁ!二人共無事...じゃないか...ミティの方が」


アミットは自身の魔篭手もあるお陰か槍に掴まりながらも自由に景色を見渡す。一方のミティーネは目を瞑りながらガタガタと震えている。


「セリル達の家族...生きてるといいね」


城下町での一件で仲良くなった三人はどうやら同い年だったらしく友達として親交を深める事になった。その所為かお陰かアミットはセリルの心配をよくする。


「ほんとにな...。急ごうか!」


「いや、ちょっときゅ〜〜〜〜け〜〜〜いして〜〜!!!」


ミティーネの叫び声は虚しく健人のゲイボルグは一層速度を上げ空を飛行するのだった。



お昼頃になり昼食を摂るため見晴らしの良い丘に登り三人で座り込む。ミティーネは目をぐるぐると回しギブアップしているがアミットと健人に関しては疲れていないが気持ちの良い温度に寝転がってしまう。


「くぅぅぅぅ〜〜〜!!きもちぃぃいね!」


「あぁ。ホントに。こんな時間が続けばいいのになぁ〜」


「うん....。世界が平和になればいいのにね。」


スっと起き上がると手を差し伸べるアミット。健人はその手を握り上体を起こすと昼食を用意し食べ始めた。


「ん?はぁぁ〜〜。地面はさいこうだなぁ〜」


気が付いたミティーネは地面を確かめるように身体で感じる。健人はそんなミティーネにも昼食を勧め二人の食事に参加する。


「なぁ、二人は帝国に行った事ある?え〜っと名前何だっけ?パトリッシュ?みたいな」


「ファシュトリッシェ帝国ね...因みに行った事ないよ!」


「うむ、私もだ。」


ファシュトリッシェ帝国とは厄災に何度も滅ぼされている古来より続く国である。この世界の長い歴史の中でファシュトリッシェ帝国と呼ばれた国は現在のを含め五つ存在する。場所は違えど帝国の意思は受け継がれその揺るがぬ意志と厄災に負けぬ強き心が国民達の支持になり希望になり何度でも再建する、それがファシュトリッシェ帝国なのである。


「めっちゃ凄いじゃん帝国....」


二人から帝国に関する大まかな歴史授業を受けた健人。昼食も食べ終え食後のティータイム。一息入れてから出発しようという提案には誰も逆らわなかった。


「でしょ?それにオルメニア皇国とも親交が深いって噂だったけど本当だったみたいだし...」


弱々しくなる語尾が風に吹かれて消えていく。


「でも今の帝国って結構大きいんでしょ?それに他国の女王とお姫様だし...。大丈夫だって!」


オルメニア皇曰く厄災に襲われたのは帝都では無く帝国領内のいち都市らしい。しかし、その都市というのが観光等で有名で帝国の第二の帝都とも言われるほど栄えている、そこに居ないとも言いきれない事態だった。


「うむ、私達は先を急ごう。今は取り敢えず行ってみるしかない」


スっと立ち上がるミティーネは一点ただ真っ直ぐを見詰める。決心と覚悟は既にという表情だ。


「ミティ........。今からもう一回飛ぶんだよ?」


「ーーーーー・・・・・」


「ありゃ?」


固まって動かなくなってしまったミティーネを担ぎ再び空の旅へと風を泳ぐ健人達。人の目に着かないように出来るだけ高く飛び方角を教えて貰いながら成る可く速く移動する。遥か先に在るファシュトリッシェ帝国に向かって。


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