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オルメニア皇国⑩

「未曾有の危機...ですかお父様」


「うむ。そもそも厄災自体、長らく姿を表す事なく安寧の世が続いていた。それも人間同士の争いが起きてしまう程にじゃ。しかし、此度の厄災の襲来...他国にも連絡はしているがまだ行き渡るまでには時間が掛かるじゃろう。どう打ち倒したかは問い詰められるじゃろうが背に腹はかえられん。」


厄災を倒してからまだ一週程しか経っていない。あれから皇国内はとんでもない騒ぎになっていたらしいが今は少し落ち着いたとの事。皆、命や生活が常に瀬戸際を流れている事を実感したお陰か生をめい一杯楽しむ事と今ある幸せに目を向ける事に気が付いたのだ。


「それと此度の報告感謝するぞ三人とも。それとアミット殿とミティーネ殿と言ったかな。二人の手にした武具というのを見せてもらってもよいか?」


「は!はい!これなんですけど!」


「わ、わたしのも!」


ガントレットは脱ぐ事が出来なかった為全展開して見せる。ミティーネの場合も机に置いたり人に手渡したりはできない為危険の無いように見せる。


「お、お父さま。これホントに御伽噺に出てくる...」


「うむ、魔剣グランディル。本当に実在するとは...それとこのガントレットじゃ、これは儂も聞いた事ないのぉ〜」


「す、すごいですね存在感。こんな伝説級の武器が三つも...」


ミティーネは恐れ多いながらとこの三つの武器が揃った事の違和感について皇様に自分の意見を述べた。


「うむ、聡明な子じゃ。儂はこれを・・・


ガチャ


「お父様!誰かいらしてるの...って。貴方は!!」


「こらシスメア!急に入ってくるでない!」


「そうですよ!お姉様!」


「あらセリルちゃんも居たのぉ〜!よしよしいい子ねぇ〜」


場が乱れて申し訳ないと謝罪する皇様とセリル。改めてと気品有る振る舞いで挨拶をするシスメアはやはり王女なのだと実感させられる。


「お邪魔してしまったみたいですね。それでは、また改めて使い人様とその御一行様..」


嵐のように去っていくシスメアを他所に話を再開するオルメニア皇。呆気にとられ呆けてているアミットとミティーネは何が起きたか分からない様子。


「二人とも気にしなくていいよ、あの人俺らの事なんて微塵も興味無いと思うから」


「いやはやウチの娘がとんだ失礼を...気にしてくださるな。所でさっきの話じゃが」


オルメニア皇の見立てでは健人の手にした魔槍がキッカケになり呼応し目覚めたのでは無いかというものだった。引き寄せ合うように、呼び寄せたように。


「たしかに、アトラスの大迷宮での魔剣とパドレス城跡のダンジョンもゲイボルグが発端で見つける事ができたよな。」


「それって、ゲイボルグが鍵になってるってこと?」


「その可能性は高いじゃろうな。」


現状のところ不明な点が多い上他言できる話ではないと判断しこの場だけに留めようとなった。しかし、この予想は間違っていない。魔槍が目覚めた事と魔力の持たない健人、この二つの組み合わせが全ての歯車を動かし始めた。だが、これを知るものはいない。


「それと未曾有の危機って...」


「ええ、そうですね。お父様先程のその話も」


「そうじゃな...。まず何百年来の厄災襲来...。そしてまだセリルにも言ってなかったが一週間程前にファシュトリッシェ帝国の大都ハレギオンが厄災にて滅びたと報告を今朝受けた。これも恐らく国滅相当だと考えられる....」


「そ、そんな!!!.....て、ていこく...って...」


オルメニア皇による突然の発言に対して一番動揺したのはセリルだった。震える手で口元を抑え涙を浮かべながら膝から崩れ落ちる。


「セ、セリルさん...」


健人はセリルを支える。それを拍子に健人の胸の中で号泣するセリルから帝国に対して何か思い入れがある事が伺える。


「実はな、ファシュトリッシェには儂の妃...セリルの母と娘である第一王女セリルの姉が滞在中だったのじゃ。」


「そんなっ!!!!それって.....」


アミットは感情移入し易いタイプだ。セリルの思いが身に染みて伝わってしまう。そのまま立ち上がりセリルの所に近付くと静かに抱擁した。


「こうしている間にも何処かの国が厄災に襲われているかもしれん。こんな短期間で二度も厄災が訪れるなど...」


オルメニア皇も辛い筈だが他国の心配をする。健人はセリルをアミットに任せオルメニア皇の横に座り肩に手を置く。


「ケント殿...どうか国を、世界を救って頂けないだろうか」


涙ながらに健人に懇願するオルメニア皇。その思いは妻と娘に対しての気持ちもあるだろうが、健人に対しての申し訳なさも含まれている。


「オルメニア皇、俺に任せてください....。いや、俺達に任せてください!」


健人は力強い眼差しで答えを返した。


オルメニア皇は感謝を述べながらもこれからの行動について説明してくれた。厄災の予知や予見はできない為発生してからでないと何が起きたか分からない。勿論国滅級相当の厄災に関しては近隣諸国にも何かしらの被害が影響が有るかもしれないが厄災の等級が低いと発生してから滅びるまで分からない場合も多い。今回の帝国は正にその例だ。


「では、どうしたら...」


「ケント殿...。取り敢えず儂の懇意にしておる国々には書簡を出しておく。信用できる奴らじゃ、事情は説明しても大丈夫じゃろう。それに、厄災がここ最近で二回...流石にどこの国も是が非じゃないはずじゃ、」


「そういう事なら」



今日一日は皇城の部屋でゆっくり休息を...っと勧められたので出発は明日になった。日がまだ高い事もあり三人はセリルを元気づける為城下町へと出かけて行くのであった。


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