オルメニア皇国⑨
部屋に戻るとアミットも丁度起床した様子で三人で朝食を摂ることに。
「え!二人で水浴びしてたの!いいなぁ〜!私も誘ってよ!」
「いやいや、俺らは昨日そのまま寝ちゃったから...。まぁ、戦いの勝敗はついてないけどな」
「あぁ、今度こそ負けんぞ!」
「い、一体なにが...」
和気藹々としている雰囲気はどこか懐かしい。ダンジョンの中では殺気立っていたし常に不安と緊張で気を許せない状況が続いていた。今はこの何気ない日常が凄く愛おしく感じてしまう健人。
「なぁ、これから一旦どうする?」
「私はオルメニアに行くのが良いと思う!健人の話だと皇族とも繋がりが有るみたいだし色々今回の件も含めて話をした方がいいと思う!」
「私もアミットに賛成だ。正直...今回の事も含めて最近色々起きすぎている。厄災の襲来に未発見のダンジョン出現。それに、私達のこの武器に関してもだ。あまり考えないようにしていたが御伽噺に出てくる伝説の武器がこうも集まるなんて...何かが起きているのは確実だ。」
ミティーネの言う事に関して健人にも思う所があった。オルメニア皇国で聞いた話によると魔槍ゲイボルグは千年近く見つけることが出来なかったと言われる伝説の武器だ。魔剣に関しても御伽噺に出てくる物らしく魔籠手に関しても恐らく同等以上のものだろう。それら全て今まで発見される事なく殆どの伝承すら残っていない武具達が一同に集まっている。これは極めて異様である。
「そうか...。元々アミットも家族に会いに行くって言ってたし丁度いい?のかな?多分俺も入れるとは思うけど...」
「あ、そっか!ケントは厄災倒しちゃってそのまま出てきたんだもんね。でも今回は緊急事態だよ!」
話は纏まり一度オルメニア皇国に戻る事にした健人達。朝食を摂り終えた健人たちは女将さんにお礼を言うと荷物を準備し村人たちに挨拶を済ませると村を出発したのであった。
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「トゥミ村良いところだったね!!あの冒険者さん達も元気そうだったし、もう少し休んだら故郷に帰るって言ったね!」
村を出て街道沿いを歩く。ある程度は整備されているらしく健人は森を突っ切って来たが普通なら道なりに進む。しかし、ここで健人がある提案をする。
「なぁ、槍で移動しない?急いだ方がいいなら尚更」
「あ!」「あ」
二人共確かにと言わんばかりに納得の表情。健人的には旅をするなら徒歩や馬車を使いたいが今は急を要する為に手段は選んでいられない。健人は魔槍ゲイボルグを手に取り二人にも掴ませて支えるように抱え込み飛翔する。
「よし!それじゃあ...いくぞ!」
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ラルパンを超えオルメニア皇国付近で着陸する。流石に槍で三人が飛行している所なんて見られたら言い訳もできない。
「うわぁ〜!!久しぶりだよ皇国に来るのも!ね!ミティ!」
「あぁ!相変わらず凄い活気だな!」
「直近で厄災が来たとは思えないな」
離れていても分かる位の活気、喧騒が皇国外にも伝わってくる。健人は正門から入ると問題になるかと気にしていたが門兵にも皇様の話を伝わっているらしく無事に騒ぎになる事なく王城へと行くことができた。
「ほ、ほんとにお城に入れるなんて...」
「あ、あぁ。疑っていた訳ではなかったが...ケント、ホントに凄いな。」
「俺が凄いんじゃなくて王様が色々してくれてるんだよ。ほんとに助かってる。まさかこんなにすんなり入れるとも思ってなかったし」
城の中の廊下を歩く。冒険者二人を連れてきたお陰か将又、護衛は居らず案内人だけが三人の前を歩く。この人も事情は全て承知の様で何も言わない。
「お待たせ致しました。中で陛下がお待ちです。」
「ありがとうございます」
ガチャ
「ケント様!!!」
扉を開けた途端セリルが健人の胸に飛び込んでくる。呆気に取られるもしっかりと受け止めると健人もその思いに応えるように抱き返す。
「久しぶり!セリルさん!!オルメニア王も!」
「ケント殿、ラルパンの冒険者ギルドから連絡が来たぞ。元気そうでなによりじゃ」
席に座るように促され抱きついたままのセリルを抱えながらアミットとミティーネも中に引き入れる。
「改めてお久しぶりです王様、セリルさん!こちら冒険者仲間のアミットとミティーネこの国を出てからお世話になってます」
「は、はじめまして。アミット・リリィです。よろしくお願いします。」
「ミ、ミティーネ・ベリーネで、です。」
緊張してガチガチと音を立てながら震える二人を見て笑いを堪える健人。
「うむ、二人共ケント殿をよろしくな。ところで此処に戻ってきたと言うことは余程の事があったのじゃろう。なにがあったんじゃ?」
「そ、それについて何ですが」かくかくしかじか
パドレス城跡の事も含めてアトラスの大迷宮での魔剣、此度の魔籠手についてのダンジョン内で出会った厄災相当のモンスターと魔ジン。全てを話し終えた時皇王様陛下の表情は何かを悟ったようだった。
「この世界に何かが起きようしているのかもしれんな。正にまだ見た事の無い未曾有の危機が」




