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パドレス城跡⑬

十階層での戦いを終えた健人達一行は出現した転移魔法陣に乗り移動を試みる。三人はこれが出口に繋がっていると思い込んでいるがその行く先は...


「取り敢えずはトゥミ村に戻る?」


「そうだな...正直時間もどれくらい過ぎてる分からないしな」


「流石に一晩はあけているだろう」


悠長に会話している三人の体は徐々に青白く光り始め音もなく吸い込まれていく。



「えぇ〜!!ここって!」


転移した先は三人にとっては見覚えがありミティーネにとってはつい最近健人にとっては思い出にもなりつつある、そんな場所だった。


「ケント、ここは...」


「うん、ゲイボルグやグランディルがあった場所に...雰囲気が似てるよな。」


魔槍や魔剣が眠っていた遺跡や洞窟の様な様式とは全く異なるが既視感を覚える。漂う空気や周囲の雰囲気が見覚えあるのだ。


不思議な事に太陽にも似た光がその空間・部屋を照らす。丸で何処かの城内、城の一室の様だがダンジョン内である事に間違いは無い。健人たちは周りを見渡しながら一際目立つ存在に対して歩み寄っていく。


「これって....」


漆黒の鎧が両腕を体の前で交差している。その腕に嵌められた肩の位置まで伸びるガントレットが放つ異様な存在感は正に魔籠手と云うのが相応しいだろう。


「ミティ...ケント...」


二人よりも一歩先に居るアミットが振り返る。丸で強請っている子供見たいな表情で。


健人とミティは目を見合わせ微笑みながら頷く。


「俺達はもう大丈夫!なぁミティ」


「あぁ、それにガントレットだ!アミット以外誰が相応しい!」


アミットは恐る恐る近付きそれに手を触れる。すると黒い瘴気の様な霧が溢れだしアミットの両腕に纏わりついていく。大きさや形までアミットに合わせた物になって行くのが目に見えて分かる。


「こ、これ凄いよ!!凄いっ...これでやっと私も二人と戦える!!」


ずっと足を引っ張り気味なのを気にしていたらしい。それに呼応するが如く表れた魔籠手はやはり何かに引き寄せられているんじゃないかと考える健人だった。


少しすると部屋の外観が崩れていき霧散する。何も無い真っ白な空間に青白く光る魔法陣は一目散に目につく。


「不思議だよね。この空間が破れるみたいな感じ」


「あぁ、ダンジョンにはあまり行かなかったが流石にこれが普通じゃ無いのはわかる...」


「やっぱり二人からみてもおかしいんだ」


離れた場所にある転移魔法陣に歩きながら談笑する三人。健人の感じる違和感とは別に二人にも思う事があるらしく本当に謎に満ちている。


「取り敢えずは終わりって事でいいよな?」


「うん!流石にもう大丈夫でしょ!」


「村に戻って一休みしたいなぁ〜」


三人は殆ど同時に魔法陣に乗る。ゆっくりと浮き上がる体に身を委ねてこの後の事を話ながら。



気が付くと外に居た。三人並んでいてパドレス城跡のダンジョンに入る直前にいた場所だ。しかし、城は消えており不思議と熱いどころか涼しく気持ちの良い風が吹き抜ける。


「〜〜〜〜〜〜〜!!戻ってきたぁ!!!」


ぐぅ〜っと身体を伸ばし思い切り叫ぶ。確かに久しぶりの外は物凄く気持ちい。アミットの両腕に装着されているガントレットも手の甲まで縮める事ができたみたいで邪魔にはなっていなさそうだ。


「暑く無くなってるし炎も消えてる。ダンジョンを攻略したからか?」


「無関係ではないだろうな...取り敢えず村に戻ろう」


「そうだな!」「そうだね!」



トゥミ村に戻ると村人が大いに出迎えてくれた。話によるとパドレス城跡に行ってから二日程経っていたらしく村を出たと思っていたらしい。手荷物は魔法の小袋に入るので手ぶらで出掛けられるのもあり宿屋ももぬけの殻だった。


「まさか二日も経ってたなんてねぇ〜!」


取り敢えず休息を取りたいと思った三人は直ぐに宿に戻ってきた。偶々四人部屋しか空いていなかったので三人同じ部屋になってしまったが誰も何も気にする余裕もない。


「取り敢えず水浴びしたいけど....俺一旦寝ていい?」


「わ、わたしも...つかれた。」


沈むようにベッドに身体を預けるミティーネと健人はそのまま直ぐに眠りについてしまった。アミットは少しだけ元気が残っいたので水浴びしてから睡眠する事にした。



「・・・・・ん、。ん?」


目が覚めると既に夜は明け次の日になっていた。太陽は高く登りお昼前な事が伺える。目を擦りながら身体を起こし部屋の中を見渡すとアミットとミティーネもまだ寝ているらしい。健人は徐に立ち上がり水浴びに行くのであった。


ザパァーーン!!!


「くぅ〜〜〜〜〜!!!多分冷たいんだろうけど、めっちゃ気持ちぃ!!」


川に思い切り飛び込む。お風呂というのは高級なものでこの世界にはあまり無いらしく水浴びが基本だ。だが健人からしてみれば浴槽に浸かりたいという気持ちもあるが暖冷をあまり意に返さないので凄く心地良い。


「はぁ〜〜!ずっと篭もりっぱなしだったから水は最高だな!!」


仰向けになり空を眺めながら水の上を漂う。するとコチラへと向かってくる気配を感じ顔を其方に傾ける。


「ケ、ケント。おはよう。わ、わたしも、いいだろうか?」


其処に居たのは生まれた姿のミティーネだった。


「あ、おはようミティ、、、うん?ミ、ミティ!!」


処理が追いつかず一度流してしまったが二度、三度見してしまう。どうやら健人と一緒で一晩水浴びせず寝てしまったので匂いや汚れが酷く気になりすぐにでも来たらしい。


「まぁ、うん。今はもうなんでもいいか....」


健人は手招きをして考えるのをやめた。再び仰向けに水の上を漂い始めると恥じらいを捨て自然に身を任せる。ミティーネも最初は戸惑っていたが健人の姿を見て自分もっと水の中へ飛び込んできた。


そこからは水飛沫が健人の顔に直撃し水掛け闘争が始まったのは言うまでもない。


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