パドレス城跡⑩
何故かミティーネをお姫様抱っこ、アミットをおんぶしながら一人歩く健人。勿論周囲の探索や探知は怠らないが基本的には先程同様に一本道が続くだけで他の道や部屋等は未だに出てこない。それも相まって今は気が抜け非常に落ち着いた状況・雰囲気で前に進んでいる。
モンスターの気配すら一向に感じずただ只管歩くだけ。健人は疲労を感じない為今の状態でも全く問題無いがアミットとミティーネは疲れていのか寝てしまった。健人もこれには流石に驚き起こそうかと考えたが二人の身体を気遣ってそのまま一人探索を続けた。
「う〜〜ん.....。ちょ、、アミット落ちる落ちる」
考え事をしていると背中のアミットの力が段々と弱々しくなっていく。寝てしまい腕の力が抜けてしまったのだろう。ミティーネを抱えたままの健人は両手が塞がっている為アミットを支える事が難しく無理矢理体を捻り回し何とか背中の定位置へと戻す。
「しかし、全然起きないな...。余程疲れてたのか...まぁダンジョンなんて行くと思って無かったしな。今は俺がしっかり二人を守らないとな」
二人の表情を見ると随分安心した顔で寝ている事が分かる。それがどんな意味を持っているのか、健人にはむず痒く嬉しいと感じた。信頼されていると言うことがこんなにも心安らぐ事なのだと。
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「・・・・・。うっ、う〜ん。ん?あ!」
背中に力が入っていくのを感じる。のしかかっていた重荷が少し軽くなったそんな感覚、だが目を覚ましたアミットは早かった。
「ご、ごめん!ケント!ま、まさかダンジョンで寝ちゃうなんて!!なにも...」
「無かったし全然大丈夫だって!何かあれば俺も守るし本当に危ないなら起こしてたからさ!!それより、寝苦しくなかった?」
言葉の途中で被せるように入り込む。声色で表情を見ずとも落ち込み、今後気にするであろう事が分かる。
アミットとミティーネは駆け出しの頃に少女二人パーティーというだけで揶揄われ男共の性的な視線に晒されてきた。自分とお互い以外に頼れる存在も信用できる大人も居ない当時は自分達の力だけで何とかしていかなればならなかった。それ故に人に頼る事や甘える事をしないまま冒険者として成長していき現在に至る。
「わ、わたしさ。いや、私達ってさ。冒険者になりたての頃は頼れる大人とか仲間がいなくて、男の人は変な目で見てくるし、ずっとミティと二人で頑張ってきたんだ。だ、だからこんな風に誰かに甘えたり頼ったりするのが不思議な感じがして....」
少しの沈黙が流れる。
「・・・・。逆に聞きたいんだけどさ、なんで俺の事こんなに助けてくれんの?出会って間もないし...最初のアトラスの大迷宮の探索だって危険っちゃ危険だったし今のこの旅だって....なんでそこまで」
健人は常々思っていた疑問を投げ掛けた。それは異世界人である自分の事をどうしてここまで助けてくれるのかと云う事だ。二人と出会い二日程しか経っていないのに何をそこまで手助けしてくれるのか。
「う〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・」
アミットの答えは
「それは私もわかんない!!」
だった。
「え?」
「でも!それはケントも一緒でしょ!!私達の事信用し過ぎ!」
「それ自分でいう?笑笑」
二人の談笑は続く。結局の所アミットは健人の事を今迄出会った人間の中で一番心が安心できた存在でありそれ故こうして甘えてしまうという事らしい。健人の方も馬車で会話している時から知り合いが出来た安心感と頼もしさで敵意や悪意が無いことも有り最初から信用したいた。その後起きてきたミティーネを含み誰も健人から降りぬまま奥へ奥へと進んでいくのであった。
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洞窟を進んだ先に待ち構えていたのは巨大な空洞とそこに広がる湖であった。予感を感じ既に臨戦態勢に入っている三人は全員が武器を手にし準備万全で湖の目の前へと歩み寄る。
そこに忍び寄る巨大な影。先に気付いたのはアミットだった。魔力を帯びた存在が近付く一方で生物より自然に近いそのモンスターは健人の探知を遅らせた。
「来てるよ!!」
声で散開する一行。散らばる事で意識を分散させる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!
ザッパァァァーーーン!!!!!
キリュリュュィァィィィィィーーーー!!!
姿を表したその巨体は八つ目の蛇型モンスター。魔力を帯び魔力その物がモンスターで在るかの様な存在感。甲高い咆哮は空洞に反響し更には振動にまで作用する。
揺れ動く中悠々と湖の中を泳ぎ回る巨体はその水自体を使って魔法を形成しようとしたいた。
「ま、待って!モンスターが...。魔法を使うなんて...」
危険を察知していた健人は動揺せず突っ込んでいく。魔槍に力をこめ魔法が発動する前に叩く為。一方のミティーネも魔剣を振り抜き湖の巨体を狙う。
ピィン!!
ミティーネの攻撃は高音と共に弾かれる。其処には魔法陣の痕跡が残る。
「ま、魔法で守った?」
湖の中から再び顔を出したモンスターは口を天に開き水を競り上げ魔法を発動する準備入った。しかし、
「ゲイボルグ!!!!」
魔力の無い健人をモンスターの防御魔法は認識出来ない。魔槍をそのまま思い切り口の中へ投げ込み数秒後、落雷が如く轟雷が空洞に降り注ぐ。モンスターは気が付けば居なくなっていた。多少湖の水が減った気もする。
ゴォォォォォン!!!!!




