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出会いはいつも唐突に①

あれから槍の使い方を自分なりに襲ってくる化け物共相手に練習をした。正直、遠距離で雷撃が飛んでいくだけなので流石にちゃんと槍として扱った。


手に馴染む確かなその手触りはどんな風に身体を動かせば良いか不思議と感じ取る事ができた。勝手に動くとは言わないが主観的な感想で言えば半自動(セミオート)だ。


日差しが照り始め朝が来た事に気付く。今居る場所からは日の出が見えずある程度太陽の光が登らないと気付けない。


「うわ、朝か。どおりでヤツらが全然来ないと思った。」


化け物共は倒すと霧散する為死骸が残らないのが唯一の救いだった。(腐敗臭とか嫌だ!)


「どうしよ、寝ていいかなここで。いや、てか待て。そもそも全然疲れてないし眠気を全然...寧ろ冴えてる?これ.....大丈夫か?」


この見知らぬ土地に来て気が動転しているのかハイになっていたのか、疲れも眠気も一切感じられなかった。だが、それも直ぐに狂かし(おかしい)という事に気が付くと同時に抱いた不安感も全てが手に握られている槍に集中する。


「やっぱりこれの所為なのか?コイツは一体...」


突如として異世界に飛ばされてしまった天海健人。引き寄せられるかのように辿り着いた先で出逢った1本の槍、それは運命なのかそれとも...。この先に待ち受けているのは見知らぬ土地見知らぬ環境、苦難に襲われる事もあるだろう。しかしそれらを切り裂きこの世界を救うのもはたまた彼なのかも知れない。



化け物が居なくなった事と夜が明けた事で自由に身動きが取れるようになった。不思議と来た道が分かったのでそのまま森を出て今は太陽が登っている方向に歩みを進めている。


あの、陽の光が太陽なのかはさて置き元居た世界同様に陽は登り落ちていくみたいだ。しかし方角が分からないので一概に同じとは言えないがそれでも少しだけ安心したのは確かだった。


「ん?なんだ?え!もしかして人か!?こっち方向に向かって来てるけど...」


遠くの方で道なりに進む人の影が見える。それも1人2人ではなく固まって見える事から恐らく団体だろうと予想ができた。


馬車を連れ微かにガシャガシャと鎧みたいな音が遠くの方で聞こえる。周りに何も無くただ風の音だけが過ぎ去る草原では音が良く聞こえる。


「こんな場所に居る俺って絶対不自然だよな...しかも、身なりもこんなだし...」


少し高くなっている岩場から身を隠すようにして団体を見つめる。結構な大所帯なところを見ると誰かの護衛なのかそれとも戦か何かに赴くのか。


健人の服装はこの世界に来た時と何も変わっていない為全身がスーツである。ストレッチが効いていて比較的動きやすいがあくまでスーツ、槍の練習をしていた時も動きにくさを実感していた。それに加えこの世界には恐らくスーツは存在しないし作りから生地まで恐らく存在しないもの。こんな装いで人や街すら見えない草原に1人。明らかに怪しまれるのは目に見えていた。


「どーしよう。でもこんな状態でずっと1人なんて流石に...。ここは覚悟を決めて助けを求めてみるか?」


どうするべきか考えている間にも団体はこちらの方向に向かって進行している。大体人数にして50人位は居るだろうか?見えていた馬車も装飾が豪華になっており明らかに偉い人が乗っているとひと目で分かる。


馬車は兵士と兵士の間、中央に座しておりそこを中心として陣形を組んでいる。然程近くに来たわけでは無いが大体の形や人数は確認できる。


「絶対偉い人が乗ってるやつじゃん...。あんなのに近付いたらどうなるか。」


先程よりもかなり近い距離にきた軍勢はどうやら俺が気が付けば居た地点へと向かっているようだ。森を大きく迂回し警戒を強めた様子で何かに構えている。


「後を付けてみるか。わんちゃん俺の事探してる説ないかな...」


ガシャガシャガシャ


パカラパカラパカラ

ガタンッゴトンッ


兵士達の行進模様とそこから発せられる騒音が目と鼻の先まで迫る距離、俺は変わらず物陰に身を潜めながら観察していた。


「やっぱり、俺が居た位置ら辺だよな...」


兵士達は健人が目を覚ました位置で行進を止め辺りに散開する様に何かの捜索をし始めた。幾分、動きにくそうで終始ノロノロと鈍足な面持ちで周辺をキョロキョロしている。


「これ、完璧に出て行くタイミング間違ったな。めっちゃキマズいな。えーーどうしよう...」


そんな健人を他所に兵士達は馬車の方へと集まっていく。



「おい、誰も居ないぞ!てか人の気配すらねぇ」


「あぁ、こんな見晴らしの良い所で人を見つけられないなど残るはあの森しか....」


ガチャ


「どうでしょう?使い人様はいらっしゃったでしょうか?」


馬車の扉が開き中から人が出てくる。それは見るからに気品に溢れ優雅な雰囲気で何処かのお姫様である事がひと目で分かった。


「絶対どこかのお姫様だろアレ。でも、流石に一国の姫がこんな人数で出歩く訳ないよな....」


兵士達は馬車付近まで固まるようにし集まる。


「姫様!出てきては危ないです!こんな所に来るだけでも危険だと言うのに!」


「そうです!それに、人っ子ひとり居る気配ないですぜ!」


「いえ、ここに絶対召喚された筈です。僅かながら魔法の余韻と魔力の残穢を確認できます。それに、私の勘がそう言っているのです。」


「そんな勘だなんて...」


「姫様の勘はホントに当たるからな...。では、やはりあの森に」


「そんな!危険だ!今この距離でも油断出来ないと言うのに!」


兵士達が話ている団欒の最中、森の中で何か巨大な鳴き声が地響きと共に天と地を駆け巡った。それは、近くに居た健人は勿論兵士や姫達を気絶させるのに十分な怒号であった。


「!!!!!!」


「何が!!!今のなんなんだよ!」


ドゴンッ!!ドゴンッ!!ドゴンッ!!!


何かが走る音が聞こえるそれは、森の中を走り森が大きな茂みだったのかと思わせる程に身体を段々と大きくしやがて森からはみ出すまでに至る。


ゴギャァァァァァァ!!!!!!


響き渡る轟音は姫達の元へと一直線に向かっていく。大きな図体も相まって果てしなく早く辿り着きそうだった。



続く


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