パドレス城跡⑧
食事休憩を終えた一行は再びダンジョン攻略改め探索を再開していた。
健人はオルメニア皇国滞在中に購入していた敷物とラルパンを旅立つ前日にアミット・ミティーネ行きつけの飲食店で購入した食事を持って振舞った。魔法のポーチは入れた物の状態をその当時のままに保存できる為出来たてホヤホヤの食事が味わえ二人は大満足。小一時間程ゆっくりした後出発したのだった。
「はぁ〜〜!!料亭カグラのご飯はほぉ〜んっと!美味しいね!!ありがとう!!ケント!」
「あぁ!!ホントにだ!カグラのご飯を食べられない事だけが唯一の悔みだったが、まさかこんな形で食べる事になるとは!!感謝だホントに!ありがとうケント!!」
「二人とも大袈裟だって...ハハハ。まぁ満足してくれたなら嬉しいけど」
ご満悦の二人は超が付くほど機嫌が良い。しかし、良いのは機嫌だけでは無い。魔力探知に関しては先程までと段違いに質が上がっており集中力も上がっている。つまり二人は調子も良いのである。
「しかし、何も起こらんな...」
「そうだよね、静かすぎる。」
二人も違和感に気づき始める。健人は先程から同じ道を通っているのでは無いかと考えていた。そしてその予想は的中する。再び食事休憩をした広間が出てきたのだ。
「え!ここって...」
「ああ、ご飯を食べたところだ」
何故そう言い切れるのかと言うとアミットが火を起こしてくれたのでその燃えた跡がクッキリと残っていたからだ。
「同じ道を繰り返してる...」
話し合いをし一応もう一度だけ先へ進んで繰り返すか試して見る事になった。しかし、結果は変わらず再び同じ広間に戻ってくる事になる。今度は健人が魔槍で地面に印を付けたのだがそれが決め手になる。
「やっぱり戻ってきてるんだ。このケントが書いた変な文字も残ってるし」
「変な文字言うな」
健人は何か分かり易く面白い目印は無いかと咄嗟に考え導き出し書いた文字が英語のHだった。本人の中ではヘリポート的な意味も有ると心で言い訳をしているが本当の所は分かったもんじゃない。しかし、一方でこの異世界で英語が有るのか通じるのか確認したかったのもある。(因みに英語は通じずHの意味も理解されなかった。)
「それにしても、あれはどういう意味なんだ??」
「え!?あ、うんまぁ、俺の世界での目印的な?」
「へぇ〜。そうなんだねっ!ケントに聞かれた時はなんの事言ってるかわかんなかったよ〜!」
「ハ、ハハハ」
乾いた笑顔で返す。邪な気持ちが無かったとは言いきれない心情は二人に対しての申し訳なさで一杯になる。
「と、とにかく!これからどうするか...だよな。道は通って来た一本しかないし...」
「逆に戻ってみるとか?」
「それも試してみるべきだろうな...」
検証する為に来た道を戻ってみる。しかし、結果は変わらず先の道だと思っていた方向から広間に戻ってくる事になる。念の為もう一度通ってみるがやはり結果は変わらない。
「ねぇ、どうしよっか。これ結構まずくない?」
行き詰まってしまった三人は広間にて作戦会議を行う。敷物の上に座り健人が飲み物を提供し、それを飲みながらこれからの行動を決めていく。
「そうだな....。こんなにも厄介なダンジョンだったとは。あまり準備もしてきていないし何日も居座る事は出来ないだろう。」
「一応聞くんだけど、ダンジョンから脱出しようと思ったらやっぱ最奥?ってとこまで行かないと行かないのかな?」
「それはダンジョンにもよるらしいんだよねぇ〜。長階層のダンジョンだと途中途中に転移魔法陣が用意されてたりするらしんだけど、今いるダンジョン見たいに階段や穴とかで上がり下がりする所もあるみたいだし。」
「う〜ん、なるほど...。どっちみち今スグ脱出ってのは厳しそうだよな。。」
思考を巡らせる健人。一つだけ気になっている事が有るもののそれを実行するか否かを悩んでいた。それと同時に他の脱出方法が無いかをアミットとミティーネは相談している。
「一つ...。ずっと気になってる事...ってか、場所があるんだけどちょっと見に行ってきてもいいかな?」
「うん!それは大丈夫だけど、気になる場所なんてあった?」
アミットの質問に対して視線と顔を自然に向けてしまった健人。
「ま、まさかケント!あの水の中に?」
「うん。あの場所以外今のところ怪しい場所なんて無いしさ」
「た、たしかに...そうだけど...。」
健人は自分の口から下に流れる水には嫌な感じがすると伝えていた。アミットの魔力探知には何も引っ掛からないので魔力が流れていたりする訳ではなく生物の反応もない。しかし、何故か嫌な雰囲気・空気を感じるのだ。
「ほ、ほんとに大丈夫なのか??」
「そうだよ!ケントが自分で危ないかもって言ったんじゃん!」
「いや、嫌な感じがするって言っただけで...。それに今は情報が欲しいしさ!」
心配する二人を宥める健人。崖の前まで歩いて行き下方向を眺める。水が流れていると言うより張っているという表現が近い。淀みなく揺らぎもしないその水面は健人の違和感を掻き立てた要因でもある。
「ケ、ケント〜」
「大丈夫だってスグ戻ってくるから!」
ヒューーーイ..........バシャンッ!!!
崖からそのまま飛び込んだ健人は激しく音と飛沫を上げながら水中へと潜っていくのであった。




