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パドレス城跡⑦

ズドォォォォォーーーーーン!!!!


凄まじい勢いで土煙が舞う。足元に黒狼がいる事もお構い無しに振り下ろされた前足は再び同じ位置へと戻される。吹き飛ばされていく黒狼達の中に健人は居ない。


「ケ、ケント。アミット...」


心配の声を余所に健人はアミットを抱えたまま土煙に紛れ完璧に姿を眩ませていた。呆けていた表情も今の攻撃と健人の機転によりハッキリと意識を取り戻す。魔力を最大限にまで抑え存在感を消す。


「アミット!動ける?」


「うん!もう大丈夫!ありがとう!まだ、足は震えてるけど...」


厄災相当のモンスター無数に生み出すこの巨大生物。恐らく国滅級相当は有るだろうと考えていた健人は人を抱えたままゲイボルグの攻撃をしていいかと悩んでいた。しかし、考えている猶予もなくモンスターの意識外にいる今が最大の好機ともいえる。


「アミット...」


「大丈夫ケント!ぶっぱなしちゃって!!」


健人の心配を感じ取ったのか明るく笑顔で返すアミット。それを見て覚悟を決めた健人は魔槍を宙へと浮かしアミットを抱き込み直した。


「いっっけぇぇぇーーー!!!ゲイボルグ!!!!」


凄まじい勢いで飛んでいく槍の速度はとても目に見えない。紫雷を纏いモンスターを貫く頃には何処からともなく雷が降り注ぐ。アミットを庇うように抱き込む健人はその場から離れるように回避する。


「アミット!!ケント!!」


心配したミティーネが駆け寄ってくる。少し涙目になっている事から相当心配したのだろう。


「ミティ!大丈夫だよ!!心配掛けてごめんね!」


「ア、アミット〜〜!!!」


二人は抱き合う。少し緊張を解くには早い気もするがその分健人が警戒を怠らない。塵になっていくモンスターを最後まで見届けゲイボルグを手にする。


「ケ、ケントも無事で良かった!!ふ、ふたりが居なくな、なったら、、わたし、は、」


嗚咽しながら泣きじゃくるミティーネ。健人はあまり脅威を感じていなかったがアミットとミティーネは初めて厄災と対峙した。それに加えて繰り出された厄災の攻撃は周囲の空気を揺らすほど凄まじくその瞬間から気配が消えた二人、死亡も頭に過ぎったことだろう。その事に非常にてんてこ舞いになってしまう。



ミティーネが落ち着きを取り戻したので先へと進む。次階層へと続く階段は直ぐに出てきた。ただ黒い空間がそこにポツリと存在し表も裏もない。ただ、先へと続く階段が存在しているのみ。


「すごい、不思議だね」


「ああ、どっちからみてもただの黒い何かだ。」


「なのに奥行と先へ続く階段がある..か。」


触る事は出来ないが一歩中に踏み出すことは出来る。三人はダンジョンの異常さに驚きつつ次へと進むのだった。


〜7階層〜


階段を降りた先には洞窟が広がっていた。アミットとミティーネ曰く大洞窟と呼ばれるダンジョンも存在するらしくここはそれに似ているのかもとの事。実際にこの世界に存在する大洞窟は階層と呼ばれる階層はなくこの七階層に似た作りが永遠と最奥まで続いている。


「でもさっきは驚いたよ...。まさかダンジョンで厄災に出会うなんて」


「ああ全くだ。しかもあの小さい方の黒狼は昔話に出てくるベルディ・バウンドにそっくりだった。魔力も悍ましく私でさえ一目でアレが厄災だとわかったぞ。」


「ベルディ・バウンド??」


「ああ。嘗て栄えたある王国の都市を何個も壊滅させたという厄災だ。しかも昔話に出てくるのは数匹程度、それで都滅級の強さなのに...。それをあんな数を生み出し操るなど聞いた事もない!」


「確かに、厄災を生み出す厄災なんて聞いた事ないよ」


この世界にもまだ謎が多く残っている。しかし、健人はアミットやミティーネにも知らない事が有ると知り旅をする目的が見えた気がした。


「それなら、世界を旅してる途中でその謎に迫れるかもな!」


「そんな呑気な話じゃないよぉ〜、急いで王国かギルドに知らせないと...。先ずパドレス城跡がダンジョンだった事も大発見なのに!!!」


洞窟にいるせいか声がよく響く。魔力探知も怠らず健人も警戒を緩めていない。その為今いる場所が安全どうかを確認しながら会話をしている。


「確かに、これは急いで攻略を進めた方がいいかもしれんな。」


「でも、このダンジョン何階層まであるんだろう?」


水滴がポタポタと落ちる音が聞こえる。崖の様な道を歩いていく、横を見ると絶壁とは言えないまでも崖であり下には水が流れている。しかし、その水からは良い空気を感じない。


「そうなんだよな〜。流石にそろそろ長いよな、二人も疲れて来ただろう?」


「私は別に大丈夫だが、、アミットが...」


「うぅ〜。お腹空いてきたかも〜」


度重なる連戦に死地を超えてきたアミットは思いのほか疲弊していた。本人は気付いていないが魔剣を持っているミティーネは健人と同様で疲れないし食事や吸水も殆ど不要だ。しかし健人と違い魔力を有している為、魔剣を使用する度に魔力を大量に使い枯渇しかけていた。(因みに厄災に対してミティーネが怯みにくいのも魔剣が関係している。)


「う〜〜〜ん....そ、れ、な、ら」


歩いた先に少しだけ開けた場所が出てくる。声を出しながら周囲を確認した健人はある提案をする。


「よし!ここでご飯にしよう!!」


魔法のポーチから食事と大きい敷物を用意した健人は食事休憩を申し出るのだった。


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