パドレス城跡①
〜パドレス城跡〜
目の前に突如として現れた巨城、ひと通り城周辺を探索し異常の無い事を確認する。健人の感じていた直感とはパドレス城跡がダンジョンなのでは無いかと言う事だった。その予想は当たっておりパドレス城の門を開き中を除くと外観とは全く似ても似つかない風景が広がっていた。
「やっぱり、ダンジョンみたいだな...」
「パドレス城跡がまさかダンジョンだったなんて大発見だよ!!」
一度村に戻る事も考えたが城内の様子が気になり中に入る事を決断した。
「これ以上は流石に...、って思うんだけど折角だしな!」
〜1階層〜
扉の中は緑豊かな自然が広がっており草木や花が香る。何故か城の中、玄関ともいえる場所がそうなっており城の外観と部屋の中の広さが一致しない。
「明らかに広いよな、それに風も吹いてるし...。どうなってんだよマジで」
「ダンジョンって特有の環境を形成したりするって聞くけど...。ここまで外観と違うダンジョンなんて聞いた事ないよ!」
天井を見上げると空が広がっており果てしなく青い。周囲は開けており平原以外に何もない、ただ暖かな空気が場を包むだけ。
「あ、階段だ!違和感が凄いな...」
只管に真っ直ぐ歩るいた先で空間に縁を見つける。そこには下へ続く階段がありこの場所がダンジョンの中なのだと改めて認識させる。
「下なんだな...。取りあえず奥まで行ってみるか」
「うん!」「あぁ!」
見つけた階段を何の躊躇いもなく下り始める一行。色々と疑問は残っているが先に進まない事には何も分からない。健人は好奇心に身を任せ動く足を止めないのであった。
〜2階層〜
暗く狭い階段を降りて行くと再び光が差し込む。そこには一階層同様の平原が広がっているが所々で違いを感じる。階層一面に彩られた花畑や果実が生い茂る木々、湖等も見受けられ白い鳥が羽をはためかせ飛んでいく。
「うわぁ!随分さっきとは違うね!」
「ああ!ここの風も気持ちぃ〜な!」
アミットとミティーネの髪が風で靡く。その光景は一枚の絵画の様で健人は脳裏に焼き付けるが如く眺め惚ける。
「どうしたの?ケント!」
振り向きざまに健人の視線に気付くアミット。
「いや...。二人が絵見たいだったから」
「見惚れてたのか?」ニヤニヤ
「ええ!ホント!えへへ〜!」
ダンジョンの中とは思えない程に平穏な空間が一層二層と続き三人の心は確実に油断していた、この場所がダンジョンである事すら忘れてしまうほどに。
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〜3階層〜
三階層に入り一気に空気は変わる。モンスターやトラップ等の何一つ見当たらなかった一、二層とは違い張り詰めた冷たい空気が空間を支配する。
冷たい壁と床に包まれたこの空間は城内にも見える。広大に広がっていた平原とは違い室内の閉塞的な空間だ。窓はなく扉も部屋もない、ただ道が入り組んでおり正に迷路。
「やぁ!!!」
ガァン!!!
三階層に入りモンスターが出現するようになった。巨大な昆虫系モンスターから二足歩行の牛顔モンスターまで獰猛で凶暴なモンスターが徘徊している。
「急に雰囲気が変わったね...、ちょっと油断してたよ」
「そうだな、ここはダンジョンだ気を引き締めていこう」
冒険者として生活していた二人は公私の切り替えも凄まじい。先程まで若者女子見たく燥いでいたのにも関わらず今は顔立ちから戦闘態勢に入ってるのが窺える。
「空気も一気に変わったしな...。了解」シュ
魔槍を手に歩きを進める。基本的に前衛はミティーネが勤める為必然と一番前がミティーネになる。戦闘する時はミティーネが陽動アミットが隙を見て攻撃が主なスタイルでありこの確立された二人の連携は健人の手助けを必要としない。逆に言えば安心して二人に任せられるので健人は五感を使った危機察知と第六感に集中することが出来た。
「あの角の先から何か曲がってくるね」
魔力探知で索敵する事が出来るアミットがいち早くモンスターの気配に勘づく。その声に反応してミティーネは剣を静かに抜き臨戦態勢に入る。
「(無駄の無い連携...マジで何もしなくていいな)」
健人は一応槍を手にしてるものの殆どお飾り状態。何か危険があれば即座に動けるという自信もあり戦いに於いて動く事は今のところない。
「!!!!!」「!!!!!」
同時にアミットとミティーネが後ろに飛び退いた。視界から消えた二人に虚をつかれた健人は立ち尽くすだけで後ろを振り返る。
「ケント!!前!前!」
その声に反応する様に空中へ跳躍し背後に迫っていた気配を目指する。赤い瞳に無数の牙と爪、体中から殺気を撒き散らすその姿は厄災に近い印象を受ける。
グルゥゥゥゥガウッガウガウ!!!!
目の前から標的が消えた事でターゲットを変更、アミットとミティーネに襲いかかるモンスター。ミティーネは魔剣を手に取るがそれより早く健人が飛び込んでくる。
ズドーン!!!
大きな落雷が城内に響き渡る。叩きつける様に振りかざした槍から放たれる紫の雷は一撃でモンスターを塵へと変えた。
「大丈夫?二人とも!」
「あ、ああ。ケントのお陰で」
剣を抜き攻撃を仕掛けようとしていたミティーネにはあまりモンスターへの恐怖心は見えず単に健人の力に驚いていたようだ。一方のアミットは呆然としたまま数秒間は立ち尽くしていたのだった。




