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トゥミ村③

ポタッポタッポタッ


静かに地面へと落ちる水滴を聴きながら音を立てずに進んでいく健人。魔力が無い健人は気配を一度消せば魔力感知には引っ掛からない為相当な実力者でないと気付かれる事は無い。魔力や魔法が当たり前のこの世界では魔力感知に皆が頼りきっている、だからこそ魔力を隠す事ができる人間ならば人の気配を察知できない限り対処はほぼ不可能に近い。


魔力感知を扱える者からすると健人は透明人間に近くその場所に居るのに感知出来ない為反応しない。これはモンスターや他の生物にも例外は無く健人の気配を完壁に捉えることは殆ど不可能だ。


それを意図せずに行っている健人もまた少し異常である。洞窟が然程広くない事もあり慎重に進む健人は静かに静かに気配を悟らさぬよう進んでいく。


「匂いがだいぶ強くなってきたな...。そろそろ...、あ!」


少し屈み気味に進んでいた道中、やっと少し開けた場所へと出る。そこには灯りが二つ程灯されており広間の様にひろがっている。


「声がだいぶ近いな...、気配も...。」


広間から更に奥へと続く道を発見する。二つの大きな燭台に挟まれる様に続く道とは別に横方向にも道が続いている。健人は匂いを嗅ぎより濃い臭い、嫌な予感がする方へと足を進めた。


「よしっ....。ゴー!」


掛け声と共に一気に走り抜ける。暗くて怖いと言う気持ちが本音だが同時に気持ち悪さも感じていた。


「明らかに何かの巣穴。この臭いとあの声...。まだこの世界で見た事無いけど、もしかしたら」


駆け抜けたその闇はそこまで長く奥へと続いてはいなかった。だが、健人の目に飛び込んだ光景は一瞬にして冷静さを失わせ次の行動へと移らせた。


「グギャ!!!ゴギァ!!」ドンドンドンッ


「グェァ!グェァ!!ゴブェァ!」バンバンバンッ!


小さな図体とそれに見合わない力。長く伸びた鼻と耳と牙に緑り艷めく肌、鋭い目と爪を持つその生き物は一目でゴブリンだと確信できた。


健人の辿り着いた場所はゴブリン達の餌場であった。。狩ってきた獲物を殺したり痛めつけたりして楽しむ場でもあり食事をする場でもある。


そこで見た光景とは首の無い人間の胴体に腰を打ち付け棍棒で腹部を殴打する姿や、動物の穴にナニを入れ乍食い殺す姿など見るも悍ましい狂気的な場面であった。


「グェ?グギャァ..ァ.....。..........。」


「グァガァ??ギャa・・・・・・」


迷わず突っ込み一掃する。時間にしてほんの十秒、ゴブリンが声を出す暇もなく全てを蹂躙する。


「ヒッグッ....。う、うぅ。....。」


ゴブリン達に慰み物にされた女性達が静かに絶望の涙を流す。一度巣穴に持ち帰られた人間は男性なら痛みつけられた後餌として食われ女性は性処理要員として次の入れ替えがあるまで慰み物にされ続ける。自分の横で仲間や動物が殺され食われていく様を見ながらゴブリン達に犯される毎日、そして次の女性達が来た時入れ替えとして処分される。


「みんな....。皆さんごめんなさい、もっと早く来る事が出来たら...」


健人は前の世界では見る事の無い光景に絶句し悲しみにくれる。目の前に広がる惨状に吐気を催し周りの女性達への同情が心から身体へと駆け巡る。


「(クソッ!胸糞悪ぃ、この感じ。呼吸が荒れるこの感じ。この世界に来た時と一緒だ、落ち着け。)」


健人は自分が取り乱せばそれだけで彼女達の心に障ると考えできるだけ冷静にいれるよう努めた。だが、心の奥底ではフツフツと殺意が湧き上がる。


「もう少しだけここに、いや一緒に行きましょう。俺が全部殺しますから。一匹残らず片っ端から殺しますから。」


女性達を集めて一人一人に抱擁をしていく。それは、心からの慈愛であり少しでも暖かくなって欲しいと願う健人の気遣いであった。それと同時に必ず守るという誓いでもある。


「さぁ、いきましょう。足元気をつけて」


本当ならゴブリンを先に鏖にした方が良いのだろうが先の部屋に彼女達を置いて行くのが忍びなく思った健人は連れていくことにした。恐怖で震え動けない女の子達も先程一瞬で数十のゴブリンを屠った健人を疑う者はいなかった。


「しぃ〜〜。ここにいて下さい。屈んで!」(小声)


広間に近付くに連れ気配と臭いが近くなっていく。それはいち早く察知し皆の動きを止めるを後方からの心配は無い事を確認し動く。


シュバババババババババン!


洞窟の中を跳ね廻る様に動くが音は殆どしない。ゴブリンが気付く頃には首は落ち頭は貫かれ臓物は撒き散らかされる。


「ふぅし。てか、コイツら消えないのかよガチキショいな。」


ゴブリンはこの世界に於いてモンスターではなく生物である。感覚としては動物に近いが明確的な知性を持っている事から種族として見られている。


「モンスターじゃ無いって事か?てか、お゛っ゛え゛ぇ゛〜!我慢してた分、うっぷ」


先程までずっと我慢していた吐き気を一気に解放する。


「早くこんなとこ出よ」


再び女性達の所へいき広間へと固まって歩いていく。普段よりも鋭敏に研ぎ澄ませた五感を頼りに全神経を集中させる。


「さて、どうするか。」


健人はこのまま彼女達を連れてもう一方の道を進むべきかそのまま出口へと行くべきか迷っていた。だが、とある解決策を思いつく。


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