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初めてのクエスト⑤

「ケント!やったね!!ダンジョン攻略しちゃったみたいだよ!!」


「こ、攻略しちゃたみたいて.....」


「どうしたんだケント!ダンジョンの「最奥」に到達したんだぞ!!しかもこんなに速く!!」


大騒ぎする二人と違い健人は非常に焦っていた。なるべく目立たないようにダンジョン探索の依頼を受けたつもりがちゃっかり攻略なんてしてしまったからだ。


「い、いや、嬉しいよ!でもあんまり目立つのは避けたくて...」


二人には、信用している為全てを話したかった。しかし、オルメニア皇国での出来事や厄災に関しての事だけは何も話せずにいた。特段話す必要が無いとも考えていたが実際のところは


「なんで!!こんな凄いことしたのに!」


「なるほど。アミット、ケントは異世界人だあまり詮索されたく無いんだろう」


「あ!そっか。私達にも隠してたもんね!でもどうする?これは隠し通せないよ?」


「う〜ん。それが問題か」


二人が真剣に考え込む。健人は自身でも考えながらその二人に見惚れ感謝していた。


「(会って間もない俺の事をこんなに真剣に考えて....。旅の最初でアミットに会えたのは幸運だったな。本当に感謝)」


「ありがとう二人も!いっそのこと二人で攻略したことにすれば?俺の事は隠して!」


健人は目立ちたくないというのが本音だが心の底から二人に感謝していた。何か恩返しになればと攻略の話を持ち掛けたのだ。


「それに本当に二人で倒した訳だし....。」


「それがねケント。ギルドカードに記載されるの。経歴として。」


アミットの一言が全てをぶち破った。健人に衝撃の稲妻が走る。


「マ、マジか....。」


「あと、その、言い難いんだけど...。」


アミットが珍しく言い淀む。


「多分山賊のやつも書いてるぞ」


何のけなしにミティーネが言い放つ。その表情からしてアミットを気遣ったのではなく普通に言ったのだと読み取れた。


「勘弁してくれ...。」スッ


ギルドカードを確認する健人。そこには確かにアトラスの大迷宮「最奥」到達と指名手配山賊の一味を捕縛が記載されていた。


「こんなん一々書くなよ〜....」


ギルドカードに記載された事項は検問やギルドによって確認される。その際に冒険者の実力や功績を把握し適正なランク、仕事を割り振る為にギルドカードに記載されている内容が鍵となるのだ。


「コレばっかりは逃げる事ができないよ...」


申し訳なさそうな表情を浮かべるアミット。しかし今回の探索は誰の所為とかではなく導かれるままに辿り着いた三人の運命でしかない。それを責めることは誰にも出来ない。


「アミット!違うんだ!本当に嬉しいんだよ?でも、初めてのクエストでダンジョン攻略ともなると...」


「それはケントの懸念通りだな。ダンジョンの最奥に到達できる人間やパーティーは稀有な存在。しかも初クエスト初攻略なんて聞いたこともないぞ」


ミティーネの言う通りこの世界のダンジョンは未開拓・未踏破な事が殆どだ。ダンジョン毎に中の構造や地形、階層数が違うのは勿論場合によっては生態系を外界とは別に形成しているケースも存在する。


「まぁ、今考えてもしょうがない!取り敢えずラルパンに戻ろう!」


「そ、そうだね!陽も落ちちゃってるし!」


夜が更けきるその前にアトラスの大迷宮を後にする。訪れた時と違い森の中は冷えきっていて風が妙に吹き抜ける。だが、一行は来た時と同じテンションで帰っていく、丸で遠足の帰りかのように。



〜ラルパン〜


「取り敢えずギルドに行こっか!!ダンジョンで見つけたのってミティの剣くらいだよね?」


「そうだな。そもそも、この剣だってなんて説明するんだ?」


「魔剣の事は黙ってた方がいいかもな。でもギルドマスターとかには話してもいいかも。あ、それと.....」ガサゴソ


健人が小さな袋から何かを取り出す。


キランッ


「あのデッカイ鎧倒した時にこれ拾ったんだけどなにこ...」


「魔紫石!!!」「魔紫石!!!」


二人が大声で声を合わせる。息が合いすぎた為に声が重なり増幅させたのかと錯覚する程大きく響き渡り健人は驚き仰け反ってしまう。


「ビックリしたっ!!!!もう〜何よ急に〜」


「ビックリしたのはこっちだよ!!」


「そうだケント!こんなものいつ拾った!」


距離を詰める二人にたじろいながら事の経緯を説明する健人。


「もぉ〜はやく言ってよぉ〜!」


「ごめんごめん!すっかり忘れてた...」


「...だがマズイ事になったな。」


顎に指を当て深く考え込むミティーネ。


「ケント、もう気付いているかも知れんがこの世界のモンスターと呼ばれる生物は死骸が残らない。塵となり消えていくが極稀に魔紫石と呼ばれる石を落とす事がある。これが正にそうだ。」


ミティーネは続けて語る。


「金銭的価値は勿論、贈り物としても昔から有名らしい。何処かの貴族がそれで死んだというのもよく聞く話だ。それに魔機具を作るのにも必要になるし、加工すれば装飾品から武器までありとあらゆる所で使われている正に魔法の鉱石だ」


「そうそう!売ったら十年は遊んで暮らせるんじゃない?」


「じゅ、じゅねん!!??」


驚き、再び仰け反る健人。


「これはもう...」


アミットとミティーネが目を見合わせる。


「「覚悟を決めるしかない!」」


再び息がピッタリと合う二人を他所に気が気でならない健人。この後報告の為に訪れたギルドではとんでもない大騒ぎとなる。


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