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初めてのクエスト④

それは薄紫色に輝く結晶だった。形に正確性は無く鉱石に近い見た目をしているが手に収まる程の大きさだ。


「なんだこれ...今までこんな事無かったよな」


ザッザッザッ


「どうしたの!ケント!」


「大丈夫か?」


健人の様子を伺いに歩み寄る二人。ミティーネの剣については一旦置いて置いたのだろう。


「アミット、ミティ さっきは圧巻だったよ。手を出す暇もなかった...マジで凄いよ」


「これくらいはね!でも、ミティの剣が凄いんだよ、私の攻撃全然効いてなかったもん。」


「そうだ、先程ずっとアミットとその話を...」


「あ、その事なんだけどさ!」


シュ(魔槍)


etc...


「ええ!!ちょっと待って!理解が追いつかないよ!」プシュ〜


健人は自分が別の世界から召喚されて来た事と魔槍を手に入れるまでの経緯を説明した。槍を手に入れる際に見た風景と状況が酷似している事を言う間もなく状況がみるみる変わっていき話す機会を逃していたのだ。


「どこか不思議な雰囲気を感じていたが、まさか異世界人だったとは....。ケント、お前も大変だったんだな」


話を聞きアミットは頭から煙を出しエラーを起こしている一方でミティーネは健人の境遇に同情していた。


「そんで、ミティの剣なんだけど若しかしたら魔剣なんじゃないかなって...なんかそいう言い伝えとか聞いたことない?」


「たしかにケントの槍が魔槍なら私の剣は宛ら魔剣というところか...」


「魔剣かぁ〜.....。魔剣、魔剣.....あっ!!!!」


アミットの頭上に光が見えた気がした。何かを思い出したのか慌て様子で話し始める。


「魔剣グランディル!!!ほらミティ!昔よく読んでもらった!」


「あ...あぁ!!アレか!確かに、魔剣という名前だった気がするな!」


二人が子供の頃によく読み聞かせて貰った御伽噺の中に登場する主人公の剣が魔剣グランディルという名前だったらしい。その剣は使用者の魔力で自在に大きさや形を変えることができ、その変化の際に生じる物質的質量を無にすることが出来る。つまりどんなに大きく剣を変化させても重さは変わらないのだ。


「そうだ...。そうだ!魔剣グランディル。この剣の名前はそれに違いない!」


ミティーネが剣の名前を呼んだ事により記憶が掘り返された。昔、それはこの世界に伝わる御伽噺。その中で出てくる主人公が持つ剣、魔剣グランディル。その剣は大地を裂き溶岩を割り空をも砕くと本の中では説明されている。


「俺もゲイボルグの名前を聞いた時に確信したよ、コイツがそのゲイボルグなんだって」


健人はセリルとの会話を思い出していた。オルメニア皇国に向かう道中に聞いた魔槍と禁忌庫の森についての話、そこで魔槍の名称ゲイボルグという名を教えられ確信した時の事を。


「ああ!今ならハッキリと分かる!これがグランディルなんだと...。」


改めて剣を見詰め、眺めるミティーネの表情は凄く嬉しそうだ。


「でも、まさか本当に実在するなんてね!ケントの魔槍にもビックリだけど、私達からすると魔剣の方が驚きだよね!」


「そうだな...。昔読んでいた御伽噺の剣をまさか自分が持つ事になるなんて....」


ポワン


背後から妙な気配を感じ取る。生き物ではなく何かが現れたそんな気配だった。


「ん?なんだろアレ!」


アミットが指を指したのは部屋の奥の方で青白く光る何かだった。


「ん?何あれ...魔法陣?見たいだけど...」


現在、健人の視力は常人のそれを遥かに凌駕している。薄く光るその輝きと地面に描かれた紋様を近付く迄もなく認識する。


「え!!魔法陣??それって!!」


「あぁ!!恐らく転移魔法陣だ!」


「転移魔法陣??」


「取り敢えず行こっ!!!」


アミットに腕を引っ張られ掛け足で向かう。それは近付けば近付く程輝きを増していき軈てその光は立体となり目の前にハッキリと現れる。


「これを踏めば次の階層に移動できるの!多分ボスを倒したから出てきたんだね!」


魔法陣の上に乗ると体の表面から青白く光る水泡が湧き出す。それは徐々に勢いを増していき遂には健人達の全身を飲み込んでいく。


「うわぁ!なにこれ!?」


「大丈夫だケント!直ぐに慣れる!」


「な、なれる?う、うわぁぁぁ〜〜!!」


目の前が光に包まれる。不思議と恐怖は感じ無いが依然として景色は真っ白、意識の有無さえ分からない。唯ひたすら時間が流れた気がする。



「うわぁぁぁ〜〜.....え、ちょ、え?」


気が付けばダンジョンの入り口に居た。叫んだ後、目の前が白く染まり随分時間が過ぎたかに思われた。しかし目を開けるとそこはダンジョンの入り口で、最初にいた地点へと戻されていたのだ。それに加え当初あった大穴も失くなっており綺麗に道ができている。


「これが転移魔法だよ!って...ここダンジョンの入り口じゃん!!え!どういう事?次の階層に行けるんじゃ...」


「あ、ああ。普通ならそうなる筈だが...」


「え?どういう事?最初からやり直し?」


アミットとミティーネは困惑してた。通常ダンジョンでは転移魔法陣で次の階層に行く事が多い。ダンジョンに入った時点で入り口に戻る術は逆走する以外なく転移魔法陣は次階層への一方通行が原則だ。だが、ある魔法陣だけが例外的に入り口へと転移させてくれる。それは


「まさか、あそこが最終階層ってこと?」


「バ、バカな!私達は.....。いや、入り口からは入ってないのか」


アミットの見立ては正しい。最終階層の転移魔法陣だけが入り口へと繋がっている。


「それに!入り口に繋がってる魔法陣なんて最終階層だけでしょ?」


「確かにそうだ...。待て?という事は?」


アミットとミティーネが顔を見合わせる。時が止まった様に感じたその一瞬、だが次の瞬間


「最奥到達ぅ〜〜〜!!!」「最奥到達だぁ〜〜〜!!!」


大喜びで飛び跳ねる二人をにて色々察する健人であった。


「(これ、目立つ事にならんよなぁ?〜)」


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