初めてのクエスト①
自己紹介も早々に、お腹が空いていた健人とアミットは少し遅めの昼食を食べていた。
「二人とも、今朝は大変だったな。無事で何よりだ」
食事が済んでいるミティーネはドリンクを片手に二人の食べっぷりを見守っている。
「うん!私は寝てたから なんにも知らないんだけど!大変だった見たいだね〜!馬車に乗ってた人達も言ってた!」
「寝、寝てた?相変わらずアミットは...だから心配なんだ!」
ミティーネとアミットがいつもの事と云わんばかりに掛け合う中、あまりにも美味しくて無言でご飯に夢中になっている男が居た。
ガツガツガツ
ムシャムシャ
健人である。
「ね!ケントもそう思うよね!」
「ケントに助けを求めるなアミット!」
「........」
健人は食べる手を休めず黙々と手を進める。残りを一気に駆け込みカスも残さないように丁寧に食べ終えると水で口の中の物を流し込んだ。
ゴギュゴクッ
「ケ、ケント?」
ゴト
「う、うま゛ぁぁ〜〜!!」
健人は大きい声でたった一言そう言った。
「もう!ケント、話聞いてなかったでしょ!」
「ぷっ...ははは!やっぱり面白いなケントは!」
「え?何が?え?」
本当に何も聞いていなかった健人は困惑している。何故かアミットに怒られるが、アミットが食事をまだ終えていない事に気が付くと食べるように促しそれと同時にデザートを注文するのだった。
「良い食べっぷりだな!ここのご飯は美味しいだろう?」
「うん!夢中で食べてたよ!ホントに話聞いてなかったし...」
「もぉ〜!ケント!ちゃんと聞いててよ〜!ま、ここのご飯美味しいからしょうがないんだけどね!」
三人の昼食は初めましてとは思えない程に賑やかで打ち解け合う物となった。和気藹々とした雰囲気は場を和ませ、人が余り居ない時間帯にも関わらず繁盛しているかの様に大盛り上がりとなった。
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食事を終えた一行は店を出て街を歩いていた。今回、アミットが健人をクエストに誘った事をミティーネに説明したところ二つ返事で了承、食後の運動にと早速クエストを受ける事になったのだ。
「流石にちょっと落ち着いてるよね?時間も経ってるし」
健人の顔を下から覗き込むように話しかけるアミット。二人に挟まれる形で間に居る健人に緊張は見られないが少し歩きずらそうにしている。
「む?ギルドで何かあったのか?」
「そうなんだよミティ!かくかくしかじかで」
「なるほど、先程言っていた捕らえた山賊が指名手配されていたとは...それなら冒険者になりたてのケントが賞賛されるのも無理はない!」
「.......あの〜二人とも」
恐る恐る声を出す健人。
「どうしたのケント?」「どうかしたか?ケント」
二人の声が重なり同時に健人の顔をみつめる。
「いや、全然いいんだけど!別にどうもしてないねんけど!寧ろ良いの?って感じ!」
健人は現在両腕を二人にガッシリと掴まれており傍から見れば三人で腕組みしている状態だ。しかし実際のところは連行されているに近く力が強く無理には抜け出せない。
「なにが?あ、腕?これはケントを見失わないようにだよ!」
「私はただアミットがそうしているからコッチの方が自然かと」
「いや俺は嬉しいんだけどね!周りの視線もアレだったから」
周囲に目を配るとすれ違う人達がこちらに注目しているのに気が付く。目が合い微笑み掛けられたミティーネは急に恥ずかしくなったが腕を離すことは無く寧ろその力を強めた。
「だってケントって、魔力が無いんだもん。だから居なくなっちゃうと場所が分からなくなるから掴まえておかないと!」
ミティーネと合流する前に店付近でハグれた二人。健人は優れた五感と勘を頼りに店まで到着したが、先に入店していたアミットはハグれてからの健人の位置や存在を感知する事ができなかった。その為、今は腕にしがみつき離れないようにしている。
「俺の事に関してはちゃんと時間を設けて説明するよ...色々事情もあってあんまり言わないようにしてるんだ。」
仲が良くなり打ち解けたとはいえ出逢って間もない他人に事情を知られる訳にはいかないと考えた健人は未だに二人に対し自身の生い立ちや経緯を説明出来ずにいた。しかし、何処で誰が何を聞いているか分からないので不用意にその話題に触れてはならないのも又事実であった。
「いいよ!そんな事!冒険者してたらさ、色々な人達と出会うけどお互いにお互いの詮索はしないってのが冒険者のマナーなんだよ、だからケントが何も言いたくないなら無理に聞かない!」
「そうだ!それに、その事でケントに疑問を浮かべる事もない!出逢って数刻だが、私はケントの事を信用しているぞ!」
「アミット、ミティ...。二人ともありがとう!」
「(出来れば俺の魔力については説明するまで外では触れないで欲しいかも...)」小声
「「わかったよ!」ぞ!」
こうして仲良く腕組みをして冒険者ギルドへと訪れた三人はアミットとミティーネの元々の知名度も相まって噂になってしまい、当分の間ギルドや冒険者の間で弄られる様になる。(主に健人)




