旅の始まりはいつも唐突に③
馬車の中でアミットと話をする健人。自然的に隣に座った二人が仲良くなるのに時間は掛からなかった、それはアミットの性格も勿論起因しているが。
アミットはラルパンで冒険者をしているらしくオルメニア皇国には家族が住んでいる為休暇をとり帰省しようとしていたらしい。
「ケントは何しにラルパンに行くの?」
「知り合いにお勧めされてさ!冒険者も多くて賑わってるって聞いたから」
「そうだよ!ラルパンは冒険者の街!って事はケントも冒険者なの?」
「うん!最近なったばっかりだけど...世界中を見て周りたくてさ!ギルドカードとかあれば色々便利だし!」
「へぇ〜そうなんだ!ねぇ!良かったらラルパンに着いたら一緒にクエスト受けてみない?初めてなら経験者が一緒の方がいいだろうし!」
「それは有難いかも!クエスト受けてみたかったし!」
「でしょでしょ!!それに山賊も捕まえちゃってるしギルドには行かないとでしょ?案内するよ!友達も紹介したいし!」
「友達?」
「うん!一緒にパーティー組んでる子!その子と二人でやってるんだぁ〜名前とかは無いけどね!」
「へぇ〜凄いな二人でって...友達も女の子?」
「そうだよ!ミティは可愛くて強いの!それに優しいし!」
「それは会うのが楽しみだな!!」
二人の若者の会話に花が咲き周りも自然と暖かい目で見守る。馬車に揺られながら走る街道は先程よりも少し広く開け揺れも少ない。
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「あ!ケント見て見て!ラルパンが見えてきたよ!!」
冒険者が集う街ラルパン。人の出入りも頻繁で他の街や他国からもよく冒険者が集まってくる。それ故に観光客も多く都市として非常に栄えている。
「ここがラルパン...新しい街か!」
入口の手前で馬車を降り検問の列に並ぶ。長蛇とは行かないまでも結構な人数が並んでいる。
「これってギルドカード?を見せたらいいのかな」
「うん!そうだよ!やっぱり人の往来が多いと何かと問題も起きるし冒険者も多いからね!でもケントなら何も心配ないと思うよ!」
列の進みは早く然程待つことなく無事に検問を終える。山賊を捕縛していた事もあり疑う余地すら無かった。
馬車の中で乗り合わせた人達と御者にお礼を言うと山賊を引き取り報酬を受け取る。
「今回は本当にありがとうございました!!」
「いえ、こちらこそ!ここまで乗せていただいて本当に助かりました!ありがとうございます!」
手を振りながら遠くなっていく人影をアミットと二人で見送ると冒険者ギルドへ向かうべく足を進めるのだった。
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「よし!これでひと段落だね!」
「うん!連れて来てくれて助かったよ、ありがとう!アミット!」
冒険者ギルドに山賊を引渡しにいくと指名手配中の集団だったらしく報酬は弾んだ。あまり長居すると厄介な事になりそうだったので急いでギルドから飛び出した二人。
「それにしてもまさか指名手配中の山賊だったなんて!ケント凄いね!」
アミットが行きつけのお店があるらしく今はそこに案内して貰っている。アミットのパーティメンバーである友達も恐らくそこに居るだろうとの事。
「ミティは大体ギルドに居るんだけどねぇ〜」
「あ、そうなの?」
「うん!だから丁度良かったんだけど...まぁ、あの様子じゃスグ出てきて正解だったよね!」
「それは間違いない...」
お互いに目が合い笑いが零れる。まだ出逢って間もない二人だが傍から見ても相性が良く仲睦まじく見える。太陽も今は其処だけを照らし、風さえも今は一つも吹かない。
〜料亭カグラ〜
「はぁ〜。アミットは無事だろうか?今朝の揺れは相当な大きさだったし尋常じゃなかった...。何事も無ければよいが」
テーブル席に一人で座る少女。藍色の髪の毛を後ろで結い凛とした顔立ちで佇まいも美しく、だが今は少し落ち込んどしまっている。
ギィ
「いらっしゃい!!!お、アミットちゃん!ミティちゃんも来てるよ!」
「あ、ミティ!!ここに居たんだ!ただいまぁ〜!」
「ア、アミット!!何故?いや、というか無事で!」
扉を開けた途端に燥ぎながら小走りにテーブル席の方へ向かっていくアミット。パタパタと音が聞こえて来そうな走り方は何処か浮ついて見える。
「色々あって行けなくなっちゃたから帰ってきたの!あ、それと!」
抱擁し合う少女。だが何かを突然思い出したように左手を入口の方にパッと指すアミット。
「へい、らっしゃい!!お、にぃちゃん見ねえ顔だな!初めてか?」
「あ、はい!知り合いに紹介してもらって...って。あ!アミット!急に走らんといてや〜!もう〜笑笑」
「ごめんねケント!!ミティ、紹介するね!ケントも!」
アミットに席に座るよう促され全員で着席する。
「ミティ!こちらはケント!私を助けてくれたの!ケント!さっき言ったミティだよ!私の友達で冒険者仲間!」
矢継ぎ早にお互いを紹介されたミティーネと健人は目を合わせたまま固まってしまいお見合い状態になった。
「プッ」
思わず吹き出してしまう健人。それに釣られたミティーネが笑い始め二人して大爆笑する。アミットは何故笑っているのか分からず疑問符を浮かべながらその様子を眺めていた。
「改めて、ケントこと天海 健人です。よろしくミティさん!」
「こちらこそ!ミティーネ・ベリーネだ気軽にミティと呼んでくれ!あと、私も敬語は無しで大丈夫だ!よろしくなケント!」
「分かった、よろしくミティ!」
握手を交わす二人に硬さは無くお互いに悪人でないと確信しているかのように頷き合うのだった。




