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旅の始まりはいつも唐突に②

「ふぅ〜〜...」


オルメニア皇国を出て二時間、今はよく風と陽が当たる崖の上で景色を眺め休憩している。疲労はしないがずっと走っていた為少し気疲れしてしまったのだ。


「異世界...。なんか、旅!って感じしてきたなぁ〜」


空腹になる事はないが口は寂しくなる。セリルから貰ったクッキーを食べながら遠くを眺め、オルメニア皇国での日々を思い返す。


「やっぱり一人ってのは気楽やけど、ちょっと寂しいよな〜。バルガスさんもパーティー組むのオススメしてたし、それはアリよな〜」


オルメニア皇が東にあるラルパンという街を勧めたので健人はそこを目指して移動していた。


「ん??」


五感が冴えている健人は異変や違和感というのを察知できる。遠くに見える街道で馬車が襲われているのが見えた健人は躊躇うことなく崖から飛び降りた。



「オラオラ!!!女子供以外は殺しちまえ!!」


「きゃあ〜〜!!!」


数十人の山賊が乗り合い馬車を取り囲み襲っている。オレンジ色のバンダナをした眼帯の男が統率をとり指示を出している。


「流石にこれはだめですよ〜」


「うわぁ!!!なんだおまえ!どこから!!」


何の前触れもなく急に姿を表した健人は頭領である眼帯の男の隣に居た。


ブスッ


「痛っ!!!!!何すんだお前!!」


脚を槍で刺し動きを止める。その様子を見た他の山賊達が一斉に健人の方に向かってくる。


「なんだ!おまえ!!」


「ふざけやがって!!」


少し長めに槍を持ち軽く脚や腕を刺していく。


「ぐわぁ〜!!」


「ぎゃあ〜!!!」


動きが遅く見える健人にとっては特に危なげもなく簡単にこなしていく。


「ほいほいほい」


ブス

ブス

バス


人を傷つける事に慣れていない筈があまり何も感じない。それに一番驚いているのは健人本人であった。


「(なんか、何も感じないなぁ。別に悪い奴だからいいんだろうけど)」


一通りやり終えると倒れ込んだ山賊達を一纏めに集めていく。軽く持ち上げ手際よく運んでいき木の幹にロープで縛りつける。因みにロープは助けた人達の中に持っている人が居たので貰った物だ。


「ホントに助かりました!!!何とお礼を言えばいいか」


乗っていたのは十人程度でそれぞれが健人に頭を下げ礼を言う。


「全然大丈夫ですよ!でも、なんでこんなところで...」


「先程の揺れで馬車が壊れてしまい立ち往生していたのです...しかし揺れが落ち着いたと思えば今度は山賊に襲われていしまい...」


「それは災難ですね...」


話を聞けば乗っている人全員がラルパンに住んでいるらしく皇国に向けての乗合馬車に乗っていたところ巨大な地震に見舞われたらしい。地震とは国滅級の厄災により引き起こされたものだ。


「これではどのみち皇国にはいけません...取り敢えず馬車も直った事見たいですし良かったらご一緒しますか?」


「え!いいんですか?!」


「ええ!命の恩人ですから!是非どうぞ!皆さんもお待たせしました!いきましょう!」


馬車を直していた御者の青年が笑顔で駆け寄ってくる。健人はお言葉に甘えさせてもらうことにした。


「では失礼してっと...ん?」


「すぅ〜...。すぅ〜。」


馬車に乗り込むと寝息をたてながら気持ち良さそうに寝ている少女がいた。


「あ、この子ね街からずっと寝てるのよねぇ〜。」


「え、地震の時もですか?」


「そうなのよ〜凄いわよねぇ〜」


「さぁ!お待たせしました!一度ラルパンに戻ります、皆さん申し訳ございません。」


そう言うと御者が馬を走らせる。動き始めた馬車は来た道を戻っていく。ついでに捕まえた山賊を街まで連行する為にも警護を依頼され報酬もくれるという。


「それにしても凄かったねぇ〜!お兄さん!」


「そうそう!急に目の前に現れてあっという間に山賊達を!」


気絶したまま動かない山賊達を尻目に盛り上がる乗客達。話し相手が欲しかった健人も褒められて満更でもない。


「すぅ〜...ん...んぅ〜...、ん?」


寝ていた少女が目を覚ます。ゆっくりと身体を動かし大きく伸びをする。


「はぁ〜ん。よく寝た〜〜。そろそろオルメニアに着いた頃ですか?」


「それがねお嬢ちゃん、かくかくしかじか」


「ええ!寝てる間にそんな事が!全く気付かなかったなぁ〜。しかも山賊までって...お兄さんがやっつけたの?凄いね!」


薄い紫がかった髪の毛を揺らし底抜けに明るい笑顔をみせる少女が健人に声を掛ける。


「全然そんな事ないですよ、偶々運が良かっただけで!」


「一人でこの人数だもん!凄いよぉー!私も助けてもらったみたいだしありがとう!お兄さん!」


「あ、ど、どういたしまして?」


「なんかかた〜い!敬語は無しにしよ!私はアミット!アミット・リリィ!お兄さんは?」


「俺は天海 健人!それなら敬語は無しで!よろしくアミット!」


「アマミ ケント?変わった名前だね!よろしくね!ケント!」


こうして一人で始まった旅は少しだけ賑やかになり健人はアミットと出逢ったのだった。


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