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オルメニア皇国⑧

健人がオルメニア皇国に来てから早一週間。セリルやオルメニア皇との親交を深めつつ、あの日城下町へ遊びに行って以降侍女のミルナとも会話が増え城での生活にも慣れ始めていた。


ここ最近は文字の読み書きを習うべくギルドの方へと赴いてる。実技試験の方は問題なく合格し、筆記試験も免除された健人だがこれからクエストや仕事をギルド経由で受けようと思えば文字が読めないのは非常に致命的であったからだ。


「よしっ!準備も出来たしそろそろ...」


皇城に用意された健人専用の部屋。一応客室という事らしいが室内の豪華な装飾や部屋の広さを考えると十分過ぎる。それに、元々居た世界ではワンルームに住んでいた為一人でもあり余る今の部屋は寂しさを増幅させると同時に罪悪感を募らせる。


「なんか、ずっとここに住まわせて貰うのも流石にどうかと思うよな...まぁ、王様はいつまでも居て良いって言ってくれてるけど...。申し訳なさが勝つんだよなぁ〜」


悩みながらも支度を終え部屋を出る。朝食は既に食べ終えているので直接ギルドへと足を運ぶ為廊下を進む。(因みにあれから朝食は皇様と食べている健人)


カツッカツッコツッカツ


広く美しい廊下に響き渡るハイヒールの音。それは、この城内では聞き慣れない音で健人は自然と視線を音の鳴るほうへと向けていた。


「あら?誰かしら。侵入者にしては流石に堂々としすぎよね?」


丁度、廊下が交差する十字路。そこで音の主と思しき人物と鉢合わせする。目が合った瞬間にその人物がこの国の王女だと確信した。


可憐で麗しく気品のある立ち振る舞い。蔑み見下すかのような眼差しは冷たく健人の心を刺す。


「シスメア様、この方は例の....」


付き人らしき人物が静かに近付きその女性に耳打ちをする。静かに頷き何かを納得した表情を浮かべる彼女だが態度や表情は先程と変わっていない。


「これは失礼、使い人様でしたか。改めてオルメニア皇国が第二王女シスメア・ディア・オルメニアでございます。以後、お見知り置きを。」


ドレスを少しだけ摘み挨拶をする。その後ろに居る付き人も同様に名乗る事はしないが会釈をして挨拶をする。


「こ、これは第二王女様でしたか。初めまして天海健人ですよろしくお願いします。」


出来うる限り丁寧に挨拶する健人を他所に最後まで聞くことなく「では」っと通り過ぎていくシスメア。お辞儀をして上げた時には目の前に誰も居らず健人はシスメアを嫌な奴と認定。極力城内では会わないように用心しようと思うのであった。



「おいケント!そろそろ何かクエスト受けてみろよ!!」


冒険者ギルドで行われる講習会に参加しようと考えていた健人だが事情も事情なのでバルガス本人が個人指導をしてくれている。しかし、ギルドマスターな事もあり余り俺に時間を割く訳にはいかない、が国皇に健人の面倒を見るように言われている為に無下にも出来ない。


「ぶっちゃけ依頼内容とかは受付で聞けば教えてくれるし、なんなら俺がクエストの斡旋をしてもいいぜ?」


「え!本当ですか!....いや、でも読み書きは出来ていた方が....」


健人にとっては異世界であっても年齢的に文字の読み書きが出来ないという事に不安を感じていた。


勿論、日本に居た時に他言語を学ぶ事は無かったが少なくとも日本語は当たり前に書けたし読めた。他の国の言語でも文字の雰囲気や単語で何となく文字を読む事もできたが今の異世界ではそれが全く通用しない。初めてアラビア語を見た時くらいの衝撃だ。


「まぁ、ケントの立場なら不安になるのもしょうがないよな。なんせ、ケントにとっては異世界、全く別の世界に来ちまったんだもんな、言葉が通じてるだけでもスゲーよホント」


「それに関してはホントに助かりましたね。なんで、言葉が分かるのか分からないけど...」


「まぁ後は、仲間を探すってものアリだな。どうせ世界を見て回るんだ、一人でも面白くないだろ?それなら一緒に冒険する仲間が二人や三人居ても...。なんならそっちの方が絶対に良い。てかパーティ組め!どうせこの世界に疎いんならどっちみち手助けは必要になるだろうしな!ソイツに文字の読み書きを習うかしてもらえ!!」


「た、たしかに。一人で旅するのはちょっと...。」


健人はこの一週間で人が居る日常を思い出していた。心の何処かでずっと引っかかっていた違和感。世界を見て回りたいと思う気持ちに嘘は無いがオルメニア皇国から出たいとも思っていない。それは、一人になるという不安とオルメニア皇国での生活が原因である。


「(バルガスさんに言われて初めて自覚した気がする。何故、皇国をスグに出なかったのか。何故クエストや冒険に未だ行かないのか。俺は一人が怖くて寂しいんだ...)」


考え込む健人を見かねてバルガスは声をかける。


「ま、まぁよ!皇国に来てまだ七、八日ってとこだろ?焦る事はねぇーさ!俺も自分の仕事があるからって少し急かしちまった申し訳ねぇ。」


「いえ、バルガスさんに言われて改めて色々気付けましたありがとうございます!ちょっと自分なりにこの先の事考えてみます。」


その()、健人の旅立ちが早まる事になるのだがバルガスの言葉は関係なく(のち)に起きるある事件によって皇国を出ざるおえなくなってしまうのだった。


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