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オルメニア皇国⑦

昼食を摂り終えた二人は改めて城下町へと赴く。中心街の賑わいは正にお祭り騒ぎで先程までの騒がしくも楽しい店内とは比べ物にならない。しかし、これが日常だと言うのだから凄まじい。


「さぁ、ケント様!ここからが本番ですよ!」


張り切っているセリル。以前に健人の服を選ぶ時を彷彿とさせるその勢いは瞳の中に炎をメラメラと見え隠れさせる。当の健人は初めて見る異世界の行商や商業に目を光らせて子供の様にはしゃいでいる。


「セリルさん!!城下町ってこんなにも凄いんですね!人もいっぱいで...驚きました!」


「フフッ...ケント様、丸で子供みたいです」


「さっき行ったお店もめっちゃ賑やかで楽しかったけど城下町は別格ですね!」


「そう言って頂けて私も嬉しいです!さぁさぁ!早く行きましょう!!」


健人は手を引かれるがまま城下町へと連れられていくのだった。



二人での行動は流石に危険と看做されセリル専属の侍女が同じく変装をし一緒に同行している。この侍女は警護も担っておりセリルが行く先にはこの人が大体居る。変装はしているが二人とも美人なので結局は周囲の注目を集めてしまっておりその二人に挟まれている健人もまた注目を集めている。


「セリル様、あちらのお店なんか如何ですか?」


「あ、ホントですね!ケント様!あちらのお店に入ってもよろしいでしょうか!?」


「もちろんですよ!入りましょう!」


ここは城下町でも一際繁盛している場所で右も左もお店で挟まれた商店街の様になっている。行き交う人達は皆活気に溢れており笑顔が絶えない。


セリルと健人は気になったお店があれば遠慮なくお互い進言する様にしており互いに引き止めてはお店に入りを繰り返していた。侍女のミルナ・ロッソに於いては健人とセリルの傾向から気に入りそうな店を選出し漏れがないよう声を掛けている。


「ミルナさん。今日は俺達の警護ありがとうございます。」


店内でセリルがお会計をしている少しの間、時間ができたのでミルナに話しかける。


「いえ、これが私の仕事ですので...」


「今日はどうせお忍びなんですしミルナさんも楽しんでくださいね!」


「私はそんな...」


健人の言葉に少しだけ表情が硬くなるミルナ。しかしそんな表情とは裏腹にミルナの視線はある方向に向いていた。


「お待たせしました!ミルナ、ケント様!」


「セリル様、お荷物を...」


「ありがとうミルナ!でも、自分で持てるわよ?」


「いえセリル様。これが私の仕事ですので」


「もう、せっかく貴女も変装しているのだしもう少し楽しんだら良いのに」


買い物を終えたセリルの荷物を受け取るミルナ。二人の会話とやり取りを他所に健人は一人静かに何かを購入するのだった。


「では、行きましょう!次はケント様の気になる所へ!」


「俺はどこに入っても新鮮だから全然気にしなくて良いですよ!凄く楽しいですし!」


「で、ですが、ずっと女性物ばかりでも...」


セリルの言う通りセリルが気になる店とは大体が女性用のドレスや衣服が多く男性が客として来る事はあまり無い場所が多かった。しかし、元いた世界でも化粧品や女性用の服を一緒に買いに行く事が多かった健人からすれば特に気にする事ではなかった。


「た、たしかに。俺は良くてもセリルさんとミルナさんからすれば男の俺が居るだけで気になりますよね」


「いえ、私達は大丈夫なんです!ですがケント様が楽しくないかと。男性は女性の買い物にあまり興味が無いと聞きますし...」


何処の世界でも女性の買い物は長く男性は待つ運命にあるらしい。


「あ、それなら本当に大丈夫ですよ!!俺は俺でしっかり楽しんでるんで!!それとこれは後で渡そうと思ってたんですけど...」


そいうと健人はポケットから小さな箱を取り出してミルナに差し出した。


「こ、これは??」


「ミルナさんへのプレゼントです!今日のお礼にどうぞ!!」


それは先程の店でミルナが視線をやっていた緋色のピアスであった。綺麗なその赤色はミルナの瞳の色と良く似ていて今の服装にもピッタリである。


「こ、これを私に?」


「良かったですねミルナ!!よく似合うと思いますよ!.....ほら!」


セリルが困惑しているミルナの手からピアスを取ると凄まじく速い手際で耳につけて見せた。


「私の手鏡があったはず...たしか...あ、はい!どうですか?」


「..........」


手鏡でそのピアスを確認する。しかし、黙ったままで何の反応も示さないミルナの顔は少し赤く染まり照れている様にも見えた。


「あ、ありがとう、ございますケント様。し、しかしこれを貰うわけには...」


「何を言うんですかミルナ!折角のケント様からの贈り物ですよ!有り難くいただきなさい!これは命令です!」


「はぁ、ですがセリル様...」


「ダメったらダメ!!」


何とかミルナの説得に成功したセリルの笑顔は今までにない程明るく正に花が咲いたかの様に美しく行き交う人達の視線を一心に集める。その二人のやり取りを見ていた健人もまた嬉しくなり明るい笑顔を見せるのだった。


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