ダ女神
向き直ったが、女神は困惑しているようだ。
「どうして四人とも全裸なんですか? さっきまで着てましたよね?」
「服装がオーパーツだからです」
「そ、そうですか。どうしてその二人は痙攣して、汁を滴らせているんですか?」
「サイコ・サスペンスとサイコ・ハンターのレズな絡みです。たぶん」
「行為に及んでいる経緯を聞いてます」
「ただの発情です。僕一人しかいないから、ツッコミが大変なんですよね」
「ツッコミでレズの絡みをさせるのは、何か違うような……」
でも、棒と玉は簡単には増やせません。……影分身は所詮影分身だし? 消えたら体液も消えるから、スティック以上人間未満なだけだし。
「と言うか、衣服をどこに? ここではスキルを選ぶ事は出来ても、試しに使う事は出来ないのですが……」
「……マジックです」
えぇー。力量差が分かっていないの? 駄目じゃん。普通さぁ、魔法陣を壊した時点で察するでしょうに。
儀式したのは人間だから知らないとか?
何度も召喚魔法を壊したり、発生させたりしたのも知らない?
……本当に神様かどうかもアヤシイなぁ。
「彩華」
「承知!」
光速移動に反応して振り返る女神。なるほど、動体視力と反応速度は神クラスだね。
「どこを見ている」
女神の視界から外れる、足元まで這う姿勢での接近。からの顎へのアッパー。いや、アッパーよりの短剣での、顎の内側から頭蓋骨内部への串刺し。
彩華の筋力を一点に集中させた、握力任せの首切断。トランプの山札を一部だけ毟り取れるので、両手でやれば人間サイズの首は飛ぶ。
「セイクリッド・サマー・バニッシュ!」
「狙うは腹! 狩猟体術とシステマのコンボ・パンチ!」
シズルお姉ちゃんが手刀で心臓へ抜き手を放つと、リノちゃんがお義父さんから習ったシステマで腹部を、肝臓、脾臓、胃への連続した拳を当てる。
軽い打撃だが、連続で当てる事により、内部へとダメージが浸透して蓄積する軍隊格闘術だ。不意打ちでくらうと、反撃のために体勢を立て直したら足にくるんだよね。
ちょっとした毒のような感じに、打撃ダメージが残る。流石ハンター、無限毒蓄積戦法は無印の作品にだけ使えるバグなんだけどなぁ。
女神は胴体と泣き別れになった首を感知する暇も無く、収納魔法で没シュート。
白い空間がひび割れていくので、一時的に補強しておく。
「女神の目的は……召喚した国が侵攻して、自分の信者の拡大。他の神を信仰する他国の排除か」
女神の脳内を超能力で漁り、この召喚の目的を暴く。
「要するに、召喚されて魔王とかを始末して来いってこと?」
「それに近いけど、問題は魔王一人じゃなくて、複数いるってところだね」
「世界征服が望みか。今時小学生でも妄想しないって言うのに」
「弟君っ、転位するなら服がいるよっ!」
「ちょっと待っててね。……召喚先は中世ナーロッパか。衣服は、コレでいいね」
女神が用意していたメイド服を出す。ついでに前世のメイド服も出して、どちらかを彩華に着て貰おう。
デザイン的に下着は変わらないから、前世のを出すか。女体化した際のサイズだから、自動調節魔法を付与させておこう。
「彩華、どっちがいい?」
「前世のヤツ。ご主人様のおさがり。女神の方はなんか呪われそうだし……」
帰ったら返却を求めるからね。しれっと自分のにしないでよ?
「シズルお姉ちゃんには、法衣と騎士のデザインが合わさったアーマー。リノちゃんにはこのハンター装備一式ね」
「魔法騎士かっ! マジック・ナ〇トなのかっ!」
ロボットは呼び出せないけどね。いや、ブルボンを呼んで、巨大化させたゴーレムを操らせればいいのか?
「Aランクなのに、初心者装備。リノ、屈辱ですだ!」
悔しさのあまり訛ってる……。弓は普段使いのだから許して。
僕は前世の魔術師スタイル。懐かしいなぁ。
ま、召喚先もろとも、周辺国家を凍らせるだけの簡単な魔術で済む。
「三人とも離れないでよ?」
「肩車して」
「弟君っ、ハグしようっ!」
「お義兄ちゃん、おんぶー」
肩車しながら背負うって、難しいこと言うなぁ。シズルお姉ちゃんは勝手に前から抱き付いててくれるからいいけど。
空間が崩れさる直前に転位し、次元が切り替わる。
「氷地獄!」
デイ・アフター・トゥモ〇ーっていう台風の映画がある。台風の目の中だと酸素すら凍るんだよね。人間が生きたまま氷るから、解凍が速く、うまくいけば冷凍冬眠から目覚めるかも?
召喚先の儀式していた場所を中心に熱を奪う。
最初は直径10メートルが瞬間凍結。次第に範囲を広げていき直径100キロが最大範囲で、時すら凍る永久凍土となる。
儀式会場は一瞬で凍り付き、近付く者や魔法も次々と凍るので、被害を受けないのは封印された場所と僕の周囲のみ。
直径100キロはほぼ即死。なおも止まらない凍結の渦は熱を求めて広がり、直径300キロが猛烈な寒波に襲われる。異世界の冬将軍がイキイキしてるね。
さらに熱を奪うも、寒波は次第に弱まり、最終的には冬の季節が早まった程度に収まる。
奪った熱エネルギーを手中に納め、三姉妹を抱き付かせたまま、構えをとる。
「か~め~っ、ハ~〇~っ、波ぁ!!」
波をぶっぱなしつつ全周囲へ向けて、回るように波を振り回す。
波というか、ビーム? 会場の壁も城壁も魔法障壁も溶断しつつ、首都を構成する全ては斬られたように崩れていく。
地上の建物だったから、一階は全ての建物がビームで焼き斬られ、二階より上は自重で倒壊してしまう。
生体反応を探るも、首都内の国民は全滅。
地下も熱を奪われ、二階の残骸で埋まるので、川に出ても川が凍っていて出られない。
人間も魔物もアンデッドも凍り付き、僕達以外は生き残りも居ない。これは首都近郊も波でぶっ壊したので、この国は召喚から五分くらいで全滅した事になる。
特に心は痛まない。
前世でも大量虐殺はしたし。そもそも召喚という拉致は犯罪だからね。
「……これって着替えた意味は?」
彩華の問いに明後日の方向を向く。
「ご主人様、彩華の目を見て応えて下さい」
「さて、さっきの空間を作って、制服に着替えようか」
「帰れるの!?」
「リノちゃん、魔術師を侮ったら死ぬからね? というか、自分の力量を超えた存在を召喚するって、とてもヤバい事だから」
「ご主人様?」
「彩華のガチメイド・モードは可愛いね」
「ふむ。……追求はしないであげましょう」
許された! ヤッたぜ!




