教室前での足踏み
とある月曜日。
「……イキきたくないかも」
「ご主人様、安心して下さい。私もです」
それはどう安心しろと? 仲間がいるから大丈夫だと?
「弟君っ、今日も元気に学校へイこうっ!」
「イキたくないなぁ。イったら召喚魔法陣が発動するっていう。見え見えの罠があるんだよ?」
「イキたいって言え!!」
「ワンピー〇の名場面の一つを汚さないでよ」
「イキたいっ!」
「なんで彩華が言うの??」
ツッコミが追い付かなくなるから、ボケ倒すのはやめてって言ったよねぇ?
「あっ、その冷たい視線。スゴくイイ! 眼鏡かけて下さい」
つっこまないからね。かけるけども、眼鏡を。
なんか大きくない? ロブロイが掛けてそうな眼鏡だけど。……キッ!
「はぁ、はぁ……!」
スマホで連写してるし。ちょっと、シズルお姉ちゃんにリノちゃん、お義母さんにお義父さんまで!?
鬼畜眼鏡、そんなに需要があるの!?
「息子ヨ、サングラスにスカジャン着る?」
「……着ます」
着ないといけない圧がツヨイ。くっ、コロ!
「お父さん、ナイスゥ! 半グレなご主人様もイイ!」
これが、ダーク・サイドか。
彩華、いや、イロハ君の方が似合うんじゃね?
撮影後、渋々自宅を出る。
「マスター、元気がないな! ターボが頭を撫でてやろうか?」
「そういうの、間に合ってるからいいです」
「そっか。ターボ、目の前でブルボンが壊れたんだけどなぁ」
「その節は誠に御愁傷様でした」
「マスターが自爆させたんだよ!?」
「ターボ、オートマトンはね。こっちでいうと、ペッパ〇君並みの存在価値なんだ」
元々居ないようなモノだから、壊れてもいいのだよ。所有者たる僕がどうしようと、所有者の勝手だし。
車を自損事故させて、とやかく言うのは保険屋くらいなモノらしいしね。
「ターボはいらない?」
「そうだなぁ。もう学園とか基礎や基盤が出来たらしいし。収納魔法内に帰っていいよ」
「そ、そんなぁ……」
「ちゃんと石像を立てておくから。三女神として後世に語り継がれるよ」
「ご主人様、それはブラック・ジョークが過ぎますよ。ターボ、ご主人様に文句を言うのはオートマトン三原則に反します。存在理由を見つめ直しなさい」
オートマトン三原則なんて無いんだけどね。ロボット三原則みたいなのはそもそも前世に無いし。
ターボはおバカだなぁ。ブルボンに聞けばオートマトンをからかう方便だって、気付くと思うけどね。
まぁ、ペッ〇ー君は可哀想な結果に終わったけども……。
「ブルボン、マスターがターボをイジメる~!」
「……そもそも、ターボってお義兄ちゃんが作ったんだよね?」
「そうだよ。収納魔法内でちゃちゃっとね」
「……ああいう、ちょっとオツムが弱いのが好みなんです?」
「くっ、学年内完璧美人を手放すのは惜しいっ!」
「ブルボンがちょっとポンコツだから、ポンコツに振り切った性格にしただけだよ」
ターボはおバカなキャラ付けだけど、オートマトンだから本当にバカな訳ではない。分かっていてバカな振りをするタイプってヤツ。
賢いバカではなく、バカだけど賢い。
言動的にはオムリンよりになるし。声だと違いが分かるけど、文字だと分からない。
「カッコ良くて、お清楚なシズルお姉ちゃんはそのままでいてね。リノちゃんも脳ミソまで筋肉にならなくていいからね」
クラッ〇ュじゃなくて、ココ・バ〇ディクーの方が似合うよね。妹キャラ的にも。
「ご主人様、私は?」
「……姐さん女房。かな? 僕をダメ人間にするし、僕が出る大会とかで闇賭博に参加してそうだし?」
「手元に勝てる手札があるからねー」
必勝を捧げよう! でもバレたらマズイから、賭けはほどほどにね?
教室前。
「うーん。足が重いなぁ」
「その根性の重りを外せば?」
ロッ〇・リーか!
鳴門は今だとボルトなんだっけ?
「彩華、足をナメろ」
あのさ、本当にナメないで……。なんで上靴と靴下を脱がせたの? 誰も足先をナメろなんてイってないからね?
「ヒソヒソ……。月曜日から久野夫婦は飛ばしてるわ」
「ヒソヒソ……。土日だけじゃ足りなかったのよ」
「ヒソヒソ……。う、裏山」
「ヒソヒソ……。せめて自分の席でやって貰いたいわね」
あぁ、そういえばまだギリギリ廊下だった。みんなもだけど、慣れって怖いなー。
「席に行こうか」
「ダメメイドにご褒美を下さい」
足をナメたご褒美? その行為がご褒美じゃないの?
なんで尻を軽く突き出すのさ。え、叩けってこと? 軽く? 思いっきり?
「闘魂注入の手ムチ!」
「ぷほー!!」
世羅天気、闘魂注入、ムチがトぶ!
彩華、アキュートばぁばのソウル持ちか……。
席に着くと、案の定、足元が発光し出した。
クラスだけじゃなく、学校全体みたいだ。
鬱陶しいから壊そう。
オーラ全開! 彩華もチャクラ全開だね!
ん? シズルお姉ちゃんとリノちゃんも姉妹パワー全開だ!
チッ、壊れない。というか、これは僕達のを利用してるな?
解除しても、今までので賄えるという算段か。
なら、回収しよう。収納魔法で魔法陣を封印だ!
解析してアンチ・召喚魔法陣を展開!!
む、アンチも吸収して発動させるのか。大分大掛かりなヤツだね。
収納魔法に仕舞おう。さて、アンチ・反転・対物・耐魔な召喚魔法陣だ。
「ご主人様、もういいのでは?」
「うん? 眩しいからもういいって?」
「リノちゃん達が来たら、範囲が狭まってますからね」
なるほど。なら、ここまでにしておこう。
良かったね、異世界の神様。彩華の顔に免じて、召喚されておこう。




