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現代魔術師の暇潰し  作者: 元音ヴェル
惑星魔改造(SF)
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整地作業

 ある日。火星に居るブルボンはターボと共に、拠点の裏側に当たる陸地をダンジョン・コアのチカラで整地していた。


「トレセーン!」


「ファイト! ファイト!」


 オートマトンの二体は走りながら、時に歌いつつ、地面に地球からかき集めた雑草を撒いていく。

 結構な時間、テラフォーミングから地球換算の時間で一年以上経たが、草すらない荒野が広がっている。


(ここに学園を造るのか)


 火星タコのオムリンが、たらいに入ってはエラ呼吸して、たらいの外を見回しては、たらいへと戻るを繰り返している。

 付近には水辺が無いので、思った以上に乾燥しているようだ。


「えぇ。この辺りに建てます。しかし、まずは土台である日本列島を模した地形からです」


「幸い、ここの陸地は山がある。川の導線を引いて海と繋げれば、オムリン達もここに来られるんだぞ!」


(でも乾燥してるな)


「雑草の種が届いてなかったから、保水力がなく、乾いた土地だったようです。地下水はありますから、整地したらボーリングを開始します」


 雑草を撒き、植物魔法の魔道具で急速に成長させては、次々と次世代を作る。

 整地が終わると、山の山頂付近から地下水をボーリングで湧き出させ、川となる部分を削る。


「出来ました」


(スッゴい力業……)


 オムリンの仲間が、鮭のように川を遡って来る。


(流れがちょっとキツいか……?)


(出来立ての川だから、そこは仕方ないだろ)


(淡水だとちょっと呼吸しにくいなぁ)


「……淡水と海水を両立した液体があります。飲用には適していないので、井戸とは別にして、川の水は飲めないように注意しておきましょう」


 これは現実にも存在する。淡水魚と海水魚を一緒に飼える液体だ。

 主にコボルトと天気達に向けての注意喚起だ。

 ゴブリンは死んでもいい。


「プレハブ工法で、三十棟くらいは建てますか」


「チケゾー達も呼ぶか? ターボが輸送するぞー」


「ふむ、子供達を借りましょう。リアルなシム〇ティとか、マイクラとかな感じで、町の地図とかを書いてもらいましょうか」


 オートマトンだけでは、創意工夫に限界がある。やはり人間、ないしは人間に近い知的生命体が必要不可欠だ。


 コボルトの子供達と引率の大人を交えて、町の導線やら店の配置を決めていく。

 コアによるインスタント召喚魔法で、一時的にゴーレムを召喚し、土木工事にて山の斜面を削っては盛り土で道を作る。


「植樹をしたいところですが、低い木しか無いので、山を切り開いた感が薄いですね」


「いっそのこと、竹でも植えるか?」


「プラント・テロは最終手段です」


 山頂まで道を繋げ、蛇行しながら海辺へと向かう別の道も作る。

 直線にしないのは川に橋をかけ、橋を基点に道路を作っていくためだ。


「マスターが雨と風を起こします」


 天気の影分身が魔術で、熱帯低気圧となるように天候を操作して雨を降らせ、風を吹かせる。


「植物魔法で成育を早め、町の周りに緑を増やしましょう」


 雑草が生い茂ることで、地面の保水力や含水率が上がる。

 これまでは草がなかったので、雨が降っても地表で流れてしまい、ほとんど吸水されなかった。


 現実の中国も池や湖を潰して、都市の土地としてコンクリートで固めているが、そのせいで池に流れる雨水が川へと流れていき、鉄砲水となるとかが多発している。

 元々あった自然を壊すと、ロクな事にならないのだ。

 中国ではダムを作った影響で、雨が降る地域が変わっているところもある。


 日本もアスファルトとコンクリートを多用して、ヒートアイランド現象が起きている。

 近年の猛暑も、昔は暑くなかったと言うが、ソーラー・パネルを設置するのに山を切り崩し、コンクリートの土台を作っている。それが日本各地にあるのだから、昔よりもコンクリートが増えたと言えよう。

 地面をアスファルトやコンクリートで被うようになったから、保水力や含水率がなくなり、太陽光の照り返しで家や壁も熱くなる。

 それら熱の逃げ場がなくなって、気温が上がるのだ。


 ちょっとした台風もすぐに晴れ、草が生い茂っては枯れる。


「プレハブ工法を指導致します。集合して下さい」


「はーい」


「これ、コボルトには……」


「ゴブリンに盗られたら面倒なので、却下します」


「子供達を避難させるって言うのなら、アリだと思うんだぞ」


「インフラを最低限整えたら、人間を移住させます。ですが、その繋ぎに掃除をして貰いましょう。対価は一棟だけ好きに使う権利を、火星支部トレセン学園の三女神として与えます」


 オートマトン三体が、三女神宗教団体が運営する学園の、火星での三女神である。残り一体はまだ決まっていない。


「マスターからの了承もあるぞっ! 良かったな!」


「……その学園とやらは?」


「これから造ります。基本的な土台は地球のを参照していますが、火星と地球では惑星のサイズが違うので、地球の学園よりスケール・ダウンしますね」


 火星の大陸は狭い。海を越えると天気達が拠点とする大陸に着く。

 その海を越える手段が少ないだけだが、大陸間の移動を断絶している原因でもある。

 ウォーター・カッターを防ぐ船が最低条件、なんなら、デカいシャコのパンチを受けても沈まない、分厚い鋼鉄もいるだろう。

 空を飛ぶには飛行機と滑走路がいる。ただでさえ大陸は狭いのに、滑走路専用の土地を確保したら、農地が減るので天気は用意しない。

 肝心の飛行機は中古を引っ張ってこれるが、運転は出来ない。

 ヘリでは海の横断が出来ない。飛行船も気球もムリだ。

 というか、天気達は浮遊も飛行も自前で出来るので、航空機はいらないのだ。


「ダートコースはあるから、ターフコースを整えに行って来る!」


「雑草を適度に刈って下さいね」


「分かってるって!」

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