マジカル・スティック
ターボがランドメイ〇型パワードスーツから出て来る。
「マスター乗ってくか? ハイパー・ターボエンジン全開だぞ!」
魔力やら魔素をコンバートする機関で動いているから、ガソリンを使うエンジンの類いじゃない。そもそも、地球の魔素はクッソ低いから、僕のオーラが包む空間でないと、そのエンジンは即エンストするぞ。
ちなみに車とかをエンストさせると、ガソリンで動くエンジンでも、魔導エンジンであろうとも負担が掛かるから、なるべく止めてね?
前世の魔導式バイクは、分解も組み立ても面倒だったし。
「お義父さんを乗せてってね」
乗るというか、スレイブアームで担ぐというか。
職場までオーラを伸ばしておけば、たぶん大丈夫なはず。
一応、予備の魔石からコンバートも出来るけど、変換効率やら燃費はあまり良くない。
魔導バイクなんて、ドラゴンの魔石で十キロも走れるかどうかだったし。カタログ・スペックは所詮、整備されたレーシング・コースのモノだから、当てにしてはいけない。
オートマトンは魔導エンジンを積んでいないが、複数の魔術回路やら補助魔法の回路やらが組み込まれている。だから、燃費が悪くても少ない魔力で人間のように動く。
ランドメイ〇は魔導バイクと同じ扱いなので燃費が悪い。
「分かった。ターボに任せろ!」
「ヨロシク!」
小型の車か、大型バイクの見た目になるよう、認識阻害魔法や隠蔽魔法も展開させる。
世間の認識もそうなるはず。
お義父さんはターボによって、職場へと出荷されていった。
「……逆噴射しない?」
「オートマトンが逆噴射したら、ただの不良品だよ。その場合はブルボンによって、点検と整備させるかもね」
「壊さない?」
「今更だよ。機械オンチだったら、プロジェクターの魔道具とかぶっ壊してるって」
「それもそうね」
ブルボンが不良品だったら、火星はダンジョン・コアの暴走で、トンでもないことになってるはずだし。
「それじゃあ、行こうか。……シズルお姉ちゃん、リノちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、だよっ!」
「大丈夫だ、問題ない……」
彩華を含めた三姉妹には、マジカル・ホールに僕のを模したマジカル・スティックを入れて、ホールだけリンクを繋いでいる。
自室のテーブルに置いてあるから、倒れたりはしないはず。
スティックは重力に従って落ちるけど、リンクしているホールはスティックを押し出そうとする。中が動くのではなく感覚的にだけど。
「ねぇ、ご主人様。ちょっと小さい気がする、ンッ、だけど?」
「見栄張って大きくしたら、あとから物足りない感じになるでしょ。だから少し小さいし、ほんの少し柔らかいんだよ」
「硬さは?」
「スティックの基準で、毎回硬くなる訳ないから。今は良くても、加齢と共に角度も落ちるし……」
「おりゃっ、前立腺パン〇☆」
グッ、バカなっ! 僕のホールは取り返して封印したはず!
いや、テレポートの応用による指先か!
「おや、ご主人様。前屈みですね? メイドに欲情しちゃいました?」
「太ももスベスベ、首裏にショーツ、女子特有の匂い、頭上からのメスガキ声」
股間に悪いよ。あっ、前尻尾と前立腺を同時にグリグリするのらめぇ!!
「出してスッキリしましょう。ほら、出せ!」
「うぁっ!?」
「……う、羨ましいっ」
「姉さん代わってよー」
「二人にはお裾分けをあげるから、黙っててね」
「おっ、これは! あふっ!?」
「うぐ、ちょっと熱い。ああ!」
本当、超能力の無駄遣いだよね。
え、マジカルなホールやらスティックを使ってる人には言われたくない? それはそう。
素を味わっている三人のホールに入れてある、スティックを震えさせる。
人力バイブレーションをくらえっ!
「くっ……ご主人様、前尻尾から髪を入れてあげましょう」
「ああぁ!?」
前後で前立腺を刺激するのは、待って、今イったから出ないってば!
「タマタマを揉みましょうねー」
生産速度を上げにかからないで!?
結局、登校までに何度か空イキしたり、三姉妹がちょっとアヘッてしまったりしたが、遅刻はしなかった。
周りからは、いつもよりイチャイチャしてるとしか思われていない。
流石に、トロ顔は認識阻害で誤魔化すよ。衆人環視の前だと可哀想だし。
ターボはマスターのファザーを送り届けると、帰りの時間を聞く。
「では、17時にはここにいるぞ」
「それまでドコに?」
「火星にいるから、何かあったら、このペンダントに触れると、ターボかブルボンに繋がるぞ!」
「分かっタ!」
ターボは見送ると、町中の家と家の上を駆けていく。
「ただいま!」
天気達の自宅の風呂場から、火星の拠点へと飛ぶ。
ブルボンが人間モードのオムリンと、何かの模型を作っていた。
「それが作る予定のヤツか?」
「はい。火星は地球の約半分ほどの直径です。重力は地球の約五分の二しかありません」
「高低差がエグいものになる。コレを走るとなると、下り坂で転ぶのでは? あるいは、登り坂で転ぶと下に転げ落ちるぞ?」
「……コボルトやゴブリンは走れてます」
「普通の人間は?」
「リノ様とシズル様は走れてました」
「もう一度聞くぞ、ブルボン。普通の人間は?」
「サンプルがいません」
「……このターフは無しでいいのでは?」
オムリンの進言を聞き入れるブルボン。
「勾配19パーセントで、何度もアップダウンするコースはボツ、と」
「場所によっては、スキー場の上級者向けみたいな急勾配もある。いや、これはボツにもなるってブルボン」
ターボからもムチャなコースと言われてしまう。
ブルボン的には地形を大幅に改造しなくて済む、というメリットもあったが、不評なので魔石をもっと貯めるようにする。
「魔石が足りません。ゴブリンを一体だけ残して、全滅させましょう」
ゴブリンは近いうちに駆逐されるようだ。
うっかり絶滅させても、天気の収納魔法内にはまだゴブリンがいる。
また、ゴブリン・ジェネラルを解放して、増えるまで待つ選択肢もある。




