血清線虫
天気はオムリンの仲間の赤ちゃんを、念力で海水の玉ごと浮かせる。
寄生虫はいない。居ても特殊な分泌液で、胃や体表から追い出しているようだ。
「生まれてすぐに、殻が成形されていくのか」
(ナニー? オムリンさんの友達さんー?)
もう喋れるんだ。いや、思念だから思うんだ。
(我々は生まれてから親の思念を、浴びたり拾ったりして、色々と学習していく)
(へぇー。オムリンは嫁さんいないの?)
(自分はメスだ。オスは交尾腕を持つ)
頭足類の部分は進化しても残っている。人間だって副乳が脇にある人がいる。乳腺もあるから勝手に母乳が出るとか。
「オムリンはメスか。やったねご主人様。ハーレムが増えるよ!」
「火星タコがハーレム要員……。ま、まぁ、銀河連合〇本国とかいう小説もあるから、異種族モノにはなるよね」
「タコのままはニッチ過ぎるってんなら、擬人化魔法薬でも飲ませれば?」
葛飾北斎の絵にタコのヤツがあるんだよね……。
(飲んでみる? オムリンはタコから、二足歩行の知的生命体になるよ)
「いや、あるんかい。擬人化のヤツ」
(ふむ。人間モードだとエラ呼吸から肺呼吸になるんだよな? いつも通りに歩いたら転けそうとかもあるか。まぁ、フォローよろしく)
赤ちゃんをプールに戻し、天気はフチにいるオムリンへと擬人化魔法薬を差し出す。
(丸々飲み干すのか?)
(それだと丸一日は人間モードになるよ)
(タコをやめるぞー! URYYY!!)
ブルボン、冬の間に色々とアニメを見せたんだね。影分身は消さないと経験をオリジナルに還元出来ないから、知らない部分がどうしてもでてくる。
授業中とかは自律させてるし?
彩華はこまめに消しては、再配置してるみたいだけど……。
「…………あ、あー。んっ! おぉ、日光を浴びても平気だ! これが人間というヤツか!」
煙が晴れると、殻をリュックサックにした全裸の女性がいた。
うーん、プ〇コネでいうと、ア〇ナに近い髪型と髪色、スタイルだけはやたら大人びているね。たぶん、アン〇が成人したらこんな感じってくらい、プロポーションは整っている。
吸血鬼みたいな発言してるけど、鬼滅も見せたのか。いや、ジョジ〇つながりか?
「オムリン、これを着て」
赤でも白でもなく、水色の肌な全裸にリュックサック。ひっでぇ絵面だ。リュックサック置いたら、フィフス・エレ〇ントの歌手みたい。
身体の中にエレメント持ってないよね? 確か、からく〇サーカスだと賢者の石を、赤子に移植してたんだっけ?
「これは、バスローブか」
(お、それが未来の姿か?)
(それは分からない。おっと、思念伝達はこの状態でも出来るのか)
「……これでいいか。む、もよおして来たが、トイレはどう使うんだ?」
「こちらですよオムリン。説明致しますので一緒に入りますが、基本的には一人でします」
(そうか。おっと)「そうか。宜しく頼む」
「人間やモンスターの多くは、口答で意見やら意思を表現します」
「うん。その言わんとする事はアニメで、まぁ、ブルボンの思念伝達でだが、知っている。息継ぎやら呼吸も重要だとか」
呼吸法はいらないからね? 呼吸法をマスターしたとして、腹を刺された傷が塞がる事も無いから。ディズニー版であるフォースでの治療も無いし。ルーカス版のフォースの説明が基本だからね。
ジェダ〇のあれこれは1から6しか認めないから!
それからオムリンは排泄、食事、ストレッチ、火星タコとの会話やボカロ曲を聴き、小説を読んだりした。
読み書きに箸やスプーンの使い方は、アニメで履修済みなんだとか。
オムリン、日本語読めるんだ……。
いや、サッカーの結果を占うタコもいるくらいだし、読み書きが出来てもタコならおかしくはないか?
「あとはナニをやってみようか……」
「農作業する?」
「それはコボルト達のを見て知っている。……あ、あれをしてみよう! 人間同士でやるキスというヤツを!」
「抱けー! 抱けー! ご主人様!」
「彩華、黙って。イイネ?」
「ひゃっ! はぁ、はぁ、ハイっ!」
何で発情するの……。いや、ツッコミはしないからね。
「……どーん!!」
「はぅっ……!」
「それは無いと思いますよ、ご主人様」
笑うセール〇マンのやり方はダメ?
でも、記憶やら認識の改変はこれが手っ取り早いんだよね。
「ご主人様はセールスマンからも逃げ切れそう……」
「後ろから、どーん! されない限りだけどね」
真っ正面に立ってやる事が多いから、どーん! も光速と同等だとしても、同時に動けば何とか逃げ切れるはず。
さて、気絶、もとい、キスの体験中のオムリンを詳しく調べてみよう。
睡眠姦じゃないから、彩華はそういうシチュエーションか、とか納得しないで!?
気になったんだよね。寄生虫の特性はどうなったのか。擬人化はモノやモンスター、植物にも効果がある。
人間モードだと、赤血球とかと同じ状態なのか、それとも寄生虫の部分が別にあるのか。
血小板が寄生虫のようにウヨウヨしている。
血流に逆らう事なく血管内を泳ぎ、一定の場所に留まる血小板もあれば、腎臓で濾過されて膀胱から体内へと戻る血小板もいた。
「チクッとさせますよー」
「しますじゃなくて、させるんだね」
注射器を収納魔法から取り出して、適当な箇所から採血する。傷は治癒魔法で治す。
魔石は腎臓にあった。まだ尿路結石のままだから、大きさに変化はない。
ちょっと痛そうな気もするが、本人いわく排尿時に痛みとかは無いらしい。
「これを、生け捕りにしているゴブリン・ジェネラルにキメます」
「注射器の回し射ちはダメ、絶対!」
「これは医学の進歩の為必要な、最小不幸! それから最大幸福が生まれるのさ!」
「マッドサイエンティストなご主人様。……アリよりのアリですねぇ」
僕はトレーナーを光らせたりしないっ!
何故ならば、僕もトレーナーな立ち位置だから。光らせられるのは僕の方になるんだ!
嫌だ、七光りにはされたくない! コネ・メイド、ダイレクト・サポート!
……ちなみに七色に光ると、本来ならゲーミング・トレーナーが正しい。
いや、七光り的なトレーナーもいるし、代々優秀なトレーナーな家系とかもあるから。全否定とかはしないけどね。
世襲が悪いとは言わない。育て方が悪かったとは言えるだろうけども。
これはサブ・トレーナーにも言えるけど。
ゴブリン・ジェネラルに血小板な寄生虫、なんか血小板ちゃんが穢れそうだな。そうだ、血清線虫にしよう。コレをキメる。
特に痛みはないようだ。いや、日々の火炙りに暴れる気力も無くなっただけかな?
血清線虫は肘から肩、肩から頭部、人間でいう小脳と眼窩に集まる。
「…………」
虚ろな目に生気が宿るも、手足が無い上、下腹部も焼けて痛いためか、苦悶の表情に戻る。
「あー、オムリンと同期してるっぽいね」
「オムリンはどうもなさそう。感覚までは同期してないのかしら」
「ワイ、オムリン。お前、天気? はれっ? プールが遠い。自分の感覚もありゅ?」
「ある程度の自立は出来る。シド〇アの線虫みたいな感じかな?」
「こんな不細工なのがヒロイン? 無いわー」
操り人形な、パターン化された動きしか出来ない、支配されたゴブリン。
自我を持ったまま記憶を共有し、意識が混濁していずれは統合されるゴブリン。
どれもオムリンの血清線虫が操っているので、オムリンには従うだろう。
まぁ、謀反する可能性もあるけど、少なくとも僕が居る時にしたら始末するだけだし。
「火星タコにもやってみましょう」
「そうだね。同族にも効くんなら、ただの寄生じゃなくて毒とかになるよね」
適当な火星タコにキメてみる。
(イタッ! ナニするだー?!)
(ゴメーン。ちょっとした実験なんだ。気分はどう?)
(針の痛みはない。治癒魔法で回復もした。……む、オムリンの記憶? なるほど、人間モードはそんな感じか。人間での交尾の記憶もあるが、ヤったのか?)
(捏造です)
記憶の伝達はある様子。特に体調に変化はなく、役目を終えた血清線虫は血流に乗って、腎臓で自壊して排泄された。




