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現代魔術師の暇潰し  作者: 元音ヴェル
惑星魔改造(SF)
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ブルボンのオペレーション

 オムリンのタコ足……タコのような触腕を使って、タコ焼きにしてみた。

 結構美味しかったね。食レポはしない。

 お義母さん達にも好評だった。お義父さんも食べたよ。

 ありつけて良かったと思う。たいていはハブられるから……。いや、タイミングの問題なんだけどね?

 僕達小学生は授業以外は部活したり、塾に通うけど、それでも空いた時間はある。

 お義父さんとはその空いた時間が、合わない事が多いってだけ。

 ……休日にTS魔法薬飲んで、お義母さんと娘としてコスプレの写真を撮る事になったけど、彩華も息子になるし、お義母さんはお義父さんになるので、立場が逆転するだけ。


 化粧品の使い方が分からないよ!? 素っぴんじゃダメ? そうか。ナチュラルメイクを施す? なるほど?





 さて、一週間が経過した火星のゴブリンとコボルト牧場。

 オムリンは仲間と共に、緩やかな崖を行軍している。

 砂浜は遠いので、近くにあるこの緩やかな崖で日光浴をしては、ブルボンから石を投げる訓練を施されていた。


「突っ込んでくる貝の進行方向へ投げれば、勝手に事故ります」


 高速道路を走行中に、開けていない缶コーヒーを後ろへ放り投げると、大惨事になる。


(投げる必要はあるのか?)


「投げた速度の物体に、ジェット噴射の速度で突っ込んだら、威力が増します。止まっているモノに突っ込むよりもダメージは大きいです」


(崖や岩を背にしておくと、捕まえやすいが、たまに逃がすのはそういう事か)


 思念のやり取りをしているが、ブルボンは口からも声が出る。これはそういう仕様であり、復唱でもある。


「マスターが流木、雑草を持って来ました。これより、オペレーション・ウィードを実行致します」


(着いていってもいいかな?)


「同行にオムリンが加わりました。よろしくお願いいたします。流木は持てますか?」


(これか。おっと、こっちは重い。これは持てるな)


「装備を確認しました。……二体が等間隔で移動すれば、その重い方も運べますね」


(殻に載せるのか? やってみよう。こっちに来てくれ)


 オムリンの呼び掛けに三体の火星人なタコが参加する。

 ゴブリンとコボルトは異世界からの外来種。オムリン達も元は外来種だが、地球から持ち込まれた存在の進化した生命体。

 火星人としてふさわしいのはオムリン達だろう。人じゃなくて殻付きのタコだけど。


(よっと。そちらは、いいな。歩調を合わせて行くぞ)


(流木は沈まないんだな。いや、別のは沈むのか)


(でもこれって脆いらしいぞ。鉄なら硬いとか。まぁ、鉄は持てないんだけどなぁ)


(空きカンは投げやすいけど、子供達のオモチャだからなぁ。取ったらオカンに怒られる)


 天気は空きカンも持ち込んだりしている。あと、魔法で鍛冶をやってオムリンの生身が入れる程度の、鉄の筒を作ったりもした。

 蛸壺も海底にいくつか沈めてあるが、二枚貝によって砕けたらしい。


(筒は落ち着くよね。ご先祖様もたまに居るし)


(たまに締め上げてくるのは、良くないけどな)


 タコとイカも少数を放流しているようだ。

 オムリン達の言葉は通じないが、ボディランゲージでなんとかしている。


(ところで、あの、なんだ、緑じゃない方がコボルトか?)


 火星の海洋生物に毛皮や羽毛の概念はない。

 ラッコやペンギンもいない。


「そうです。あれは体毛といって、体の表面を被う毛です。夏と冬に生え代わります。ちなみにあの上から鎧を着る事もあります。暑いですけど、殻と同じ役割があるので、戦闘時は着る個体もいます」


(小さいのは子供か。我々とは意志疎通が出来るのか?)


「…………まだ難しいでしょう。コボルト・シャーマン系ならあるいは……」


 ちょっと宇宙ブルボンになりかけたが、質問にきちんと回答できた。


(そうか、難しいのか。……雑草はゴブリンに投げるのか?)


「はい、そうです。流木はコボルトの方へ置いていきます」


(投げるのではなく、置くのか)


「ゴブリンは適当でもいいですが、マスターはケモナーよりなので、コボルトを優先的に優遇するそうです。ゴブリンは逆に冷遇していきます」


(何故かね。共存は難しいだろうが、ゴブリンも知性を持つのでは?)


「マスターは、ハングリー精神を養うための処置と仰っておられました。ゴブリンは将来的に海辺にも現れ、オムリンの仲間を狩ります。コボルトは穴を掘って、一定の範囲をテリトリーとします」


(行動的なのがゴブリンと。コボルトは穴を掘るのに流木がいるのか)


「おおむねその認識で合っています」


 実際には建築資材と薪である。

 棍棒にはややむかない。ただ、無いよりはマシであろう。


「投げ終わりました。流木は適当に置いて下さい。では、帰還致しましょう。帰るまでがオペレーションです」


(帰るってよ)


(お、観察はまた今度か)


「コボルトと戦うのは、あまりオススメしません。陸上と海中では勝手が違いますので」


(ゴブリンはいいのか?)


「陸上で三対一ならゴブリンからは逃げて下さい。コボルトからは逃げきれるか怪しいですね。ゴブリンはコボルトより雑に戦うので、与し易いでしょう。物量面が厄介ですが、今はまだ繁殖していないので大丈夫です」


(そ、そうか……ブルボンが居る場所は安全なのか?)


「マスターが張った結界があるので、私は襲われません。自衛手段もあります」


 ゴブリンの一体が火星タコに襲い掛かるも、殻にこもってダメージを与えられていない。

 近くにいた仲間の火星タコが触腕でゴブリンの足を払って持ち上げると、殻にこもっていた火星タコが加勢して、ゴブリンの腕に触腕を巻き付け、前後に引っ張る。

 ゴブリンは断末魔をあげつつ抵抗するも、手足をもがれてしまい、痛みからのショックと出血によって死んでしてしまう。


(あんまりおいしくないな)


(糞尿と垢、土埃まみれだからだろう)


(骨と血はイケるぞ)


「心臓か腎臓に魔石があります。四等分にしますね」


 たまに脳の奥に魔石がある個体もいる。血栓や尿路結石に魔力が集まり、肥大化して凝固と圧縮を繰り返すとみられている。

 ブルボンは背面のウェポン・ラックから取り出した、マジック・カッターで魔石を十字に切り分ける。


「魔石は傷つくと急速に魔力が抜けてしまいます。お早めにご賞味下さい」


(あ、外側は硬いのに、内側は柔らかい)


(味は血と大差ないな)


(魔力を吸って、我々の魔石が大きくなるのか?)


「それは分かりません。異世界では年月と共に肥大化していたようです。オムリンの寿命が尽きたら解剖してみましょうか?」


(お、美味しく調理してくれ)


(家族には立派な最後だったと伝えよう)


(遺言があるなら聞くぞ?)


「まだ先の話ですよ皆様」


 ゴブリンとの戦闘後、プレハブ小屋前にて別れた。

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