火星人(?)
「……火星人?」
「そう言えば、海の中は時間加速させてあるんだった。鑑定……タコとイカ、エビに貝の遺伝子情報があるね」
海中は地上より速く時間が流れている。地上での一秒は、海中では百年くらいとなるはず。
進化を促すには、何度も交配を繰り返す必要があるので、手っ取り早く時間加速状態にしたんだ。ゲームでいうスキップ機能だね。
新種が現れたから、解除しておこう。
「寄生虫は? オムナ〇トって食べれるの?」
「ちょっと待ってね。念力で浮かせて、ぐるぐる回すから」
ちょっと暴れるけど、普通の反応?
寄生虫は……いない。触腕、触手、殻の中、反応無し。
リアルなタコの眼に、カタツムリのような渦巻きの殻、赤と白の触腕と細長い触手。
オムナ〇トをリアルに再現した姿と言えよう。
色はオリジナルと違うけど、タコとイカのハーフが、寄生虫を通してうまく成立したんでしょ。
で、また寄生虫を通して貝類とのハーフが産まれ、寄生虫としての能力も獲得したから、寄生虫は追い出されていったと。
ルビー・サファイア版のポ〇ルス的なヤツかな?
アレ、つまり、このオムナ〇トそのものが寄生虫? いや、フェ〇ス・〇ガーか!
「コイツ、エイリ〇ンだ! リアル寄りなオムナイ〇風エイ〇アン!」
「酸性の体液持ちってこと!?」
暴れていたが、騒いだからか、殻に籠るエイリ〇ン。
命名、オムナイリアン。露語が悪いか、オムリンにしよう。
ちょっとカワイイ名前かも知れないけど、見た目は全然可愛くない。まさに名前負け。
「ボールで捕まえる?」
「モンスターと魚類エイリアンなオムリンは、違うと思うよ。一応は海洋生物みたいだし」
「たらいに入れて飼うかー」
「食べるんじゃないの?」
「酸性の血肉、タコ肉? はちょっとムリかな~。アルカリ性の海水で中和でもする?」
「スキャンしました。血液成分は中性です。海水も中性ですが、場所によって弱酸性と弱アルカリ性の海水が存在しています」
「結構高性能だな。ブルボン」
「コイツ、戦闘分析や観測要員だったとかじゃない? 指揮官クラスとしては、ちょっと専門的な機能が多いし」
いやー、ダンジョン物のこと、とやかく言えないね!
彩華が念力で、たらいに海水を入れて持ってきたので、それにオムリンをシュート! 超! エキサイティング!
近寄らないのは、オムリンの仲間がいたら、海に引きずりこまれてしまうから。
「海には魚っているの? マンボウ以外で」
「ちょっと海中を鑑定するよ」
探査、鑑定、測量、分析、それぞれの複合魔法で軽く周辺の海中を調べる。
……二枚貝が高速で泳いでいる。でろんと出してた管でジェットのように海水を噴射して、貝殻の強度を用いた突撃により、オムリンの仲間の触手を突っ切る個体が多い。
あ、貝には寄生虫が巣くっている個体もいるのか。
ミミズ並みの大きさをした寄生虫もいる。
マンボウを五分の一の大きさにした魚もいた、イカの触手が口から生えていて、泳ぐ貝を捕食しているけど。
別の貝は、サザエのような巻き貝にタコの触腕が生えていて、海藻をちぎって食べている。
「二枚貝を念力で釣り上げるよ」
「それは釣りって言えるの?」
ちょっとそのツッコミはなしで。言ったもん勝ちだとは思うけど、そもそも貝が高速で泳ぎ回ることも無いからね。
とりあえず、情報共有として魔法で見た結果を、彩華にも飛ばしておく。
「……なるほど。ジェット噴射で泳ぐ二枚貝か。でも海洋生物である事に変わりはないわ」
「そうだね。魚もエラ呼吸のままだし」
貝の呼吸方法は知らないけど、空中に出してしまえば、ジェット噴射も出来ないはず。
まぁ、魚や貝が魔法使ってたら無意味だけども。
「……よし、順当な進化だったね。モンスター化した訳じゃなさそう」
「でもさ。異世界の海と大気なんだから、魔素やら魔力はあるのよね?」
「あるよ。魔石も確認した。かなり小さいけどね。尿路結石みたいな砂粒だよ」
「あ~。なら、魔法はまだ使えないかな。ゴブリンの魔石がビー玉くらいで、ゴブリン・マジシャン系もそれくらいだし?」
「問題は知能だよ。進化しているから、タコやイカよりも頭はいいはずだからね」
思念を飛ばしてみる。魔法でいう念話だ。
通じるかな? オムリンの言葉だったら分からないぞ。翻訳魔法も使うか?
(あぁ、通じてるよ。陸の者)
(おぉ。突然の無礼を許してね。僕の名前は天気、こっちは彩華。あなたのお名前は?)
(オムリンでいいよ。食べるならシメてくれ。踊り食いは苦痛なので)
(食べませんよ。あ、触腕を一本くらい切り落とすけど、また生えてくる?)
(手足くらい生えるさ。そこの貝とかを定期的に食えばな)
(なるほど。次に、陸上での活動時間はどの程度?)
(長くても一日が限度だ。たまに陸上に出るヤツがいるが、ほとんどが行方不明となるからな)
そ、その節は誠に申し訳ありません……。
(陸上だと時間の流れが、海中と違う? 今は同じにしたから時差はない? ナニを言っているんだ。神にでもなったつもりか?)
天気と彩華に精神的ダメージが発生する。
オムリン、つおい。
火星人(?)、アンモナイト型火星人? ゴブリンより知能は上のようだ。
そっか、神の概念があるのか。海洋文明怖いなー。クトゥルフって名称の文明だったりしない?
(と、とりあえず、コレをどうぞ)
二枚貝を水面に近づけると、オムリンの触腕が素早く巻きついた。そのまま貝殻ごと食らうオムリン。
(この貝は殻が砕けるともっと速い。殻も再生するから、平然と突っ込んでくるのだ)
(へぇー。他の貝も?)
(我々の殻と同様に再生する。魚は鱗が硬い)
殻も触腕も再生するのか。逃げたら面倒なヤツだね。
触腕を切り取り、オムリンを海へシュート! 超! エキサイティング!
(目が回るからやめて欲しいのだが?)
(スミマセン。次からは気をつけます)
(怒ってはいない。やる時は合図をくれ。いきなりは目が回るんだ)
オムリン、寛容。実に心が広い。
タコ足も対価を払えばくれるし、シュートしても怒ってないとは。
ゴブリンやコボルトも見習って欲しいね。




