水星の魔女
「……えー、水星を調べるね。反応が金星より大きいし」
「お嬢様、疲れてない?」
生まれたての小鹿な気分。
……サイズは若干だけど、彩華君の方が大きかったような気がする。
グッ! これが男の尊厳破壊。いや、筋肉で出来ているなら、鍛えればいいはず!
ネットのはちょっと試したけど効果は無い。ならば官能小説とか、二次〇ドリームや美少〇文庫でも読み漁れば、何かしらあるでしょ。
あれ、コレはマズイか? ……彩華に相談すれば分かってくれるかな? お義父さんに押し付けてしまえばバレない? でも家族内紛争の火種になっちゃうか。
あ、でもハーレムのイメトレって理由つければいいのか。たぶん。
「だ、大丈夫。マグロだったから」
彩華の童貞を卒業させるのと等価交換で、彩華に処女を捧げただけ。
まさか、今世ではここまで痛いとは。前世ではそんなに痛くなかったのに……。
再び性転換すれば、股の痛みは消えるはず。
……消えなかったら、前立腺に痛みが走るのかな? まぁ、回復魔法で治せばいいか。
「そのまま転位ぶ?」
今、僕は彩華のメイド服を着ている。そして、性転換で伸びた髪を、彩華が性転換した際に伸びたショーツで、ポニーテールにしている。
……悪くない。彩華に包まれている。お下がり(?)のショーツも着けているし。
「転位するよ」
強烈な太陽光がバリアを炙る。回転寿司の焼きサーモンってガス臭いよね。
「炙りトロになっちゃうね~」
「お嬢様、水星はどこ? 公転軌道なのは分かるけど」
「普通、水星に来ないから。多少のズレはあるよ」
再度、テレポート! 転位魔法との違いは魔力か精神力かだけ。
水星は極限な場所だ。岩しかない。
太陽光が当たる岩と、当たらない岩。大気はないから、水と酸素はクレーターを掘り進めた地下に用意するしかない。
太陽が近いから、まともな生活は出来ない。
そんな岩場の、とあるクレーターの底。
氷の柩が岩と砂に覆われていた。
「……封印する」
「え、何て? そんなにヤバいモノ? ……うぉ。封印やむ無し!」
指定封印、術式コードを星座とリンク。と、見せ掛けて太陽の黒点とリンクさせておこう。
「ライフ・ストリームと太陽系の公転軌道を互い違いにして、微弱なチャクラと魔力でジャミングするわよ」
パクった核も仕込む。水星が砕けるけど、封印が破られたら、どのみち地球もヤバい。
核程度で停止する存在ではない。封印も気休めだ。セルフ封印されているのは、気まぐれか何かだろう。
太古の昔に、ここまで来れたとは思えないし。
古代文明のオーパーツでも、いや、反物質ならワンチャンあるか?
アステロイド・ベルトをかき集めれば、一つの天体となるらしいが、それはオーパーツのせいだった?
「ちょわ!?」
目が……目が!
「ちょわわわ!!?」
彩華も後退りしている。
「目が~! 目がぁ~!」
「あっちゃー……アッチャー」
インドのヒンディー語で、肯定的な返しに使われるヤツだったはず。クトゥルフ神話TRPGで、Lがやらない夫を交渉技能とか使わずに、話術だけで追い込む動画がある。ニコニ〇にあったが、ゴローちゃんが最後は蚊帳の外だったりする。かなり面白かったね。
目が合っちゃった……。コッワ!
戸締りしとこ……。封印の強度を重ねて、水星の重力にヒモ付けしておこう。
「メッチャ叩いてない?」
「アレ、自分で掛けたヤツじゃないのか……。くらえ、ルイ〇コピペ!」
彩華にも効いた精神攻撃! あと、地球の怨念と火星の怨念も!
メンタル・バスター! カース・エーテリオン!!
「ちょわ!!?」
「ヘッドバンドしてる?! 頭突きで壊すつもりよ! ねぇ、コレ、今ならメンタル・ブレイク出来るんじゃない!?」
「記憶の強制消去? アレには効かない! バックアップが金星にあると思うし!」
金星の微弱な反応はコイツの瓶詰め妖精だって! たぶん、火星のダンジョン(仮)はコイツの家か何かだろ。ロクでもないな、帰ったら封印だ封印!
「ゲッ!? 左目の魔眼よ!!」
「ウソでしょ。魔力強度が完全に、結界を上回ってるじゃん……」
目からビームを放ってくるも、二人とも避けた。
影分身で封印作業しつつ、光速の三倍で左眼を主に斬り刻むっきゃない!
滅せよ! ルーチェ・オブディシアン!!
「ライフ・ストリームよ、チカラを貸して! マイクロ・元気・カワイイ玉!!」
彩華が星の生命力をかき集めた、ビー玉サイズの元気にカワイイという概念を上乗せした、暗黒玉を作り上げて、虚空瞬動術という空中とか、足場がない場所での縮地で近付き、ゼロ距離でぶつける。
……封印ごと壊すな!? ビー玉サイズの穴が貫通してんじゃん!! 再封印しなくちゃ!
え、僕の斬撃? アレは光の剣で焼き斬るタイプだから、封印に影響は出ない。魔法の封印には魔力で雑に攻撃するのが、一番楽な対処なんだよね。
多少は減衰するけど、封印は反応して強まるから。最悪死んでも封印の中だから、脱獄とかの心配をしなくてもいいし。
「額、鼻、人中、顎、首、心臓、水月、子宮、豆! 爆裂、九頭竜神拳!!」
元気とカワイイを圧縮した玉のチカラを拳に纏わせて、居合のようにハンド・ポケットで構えつつ、正中線にそった打撃を打ち込む。
だから、封印を壊すなってば! 物理以外で攻撃して!?
「……き、効いてない!」
「お嬢様、撤退しましょう。アレ硬い、ムリ!」
再三封印して、時空間も弄って、これでどうにか遅延出来るはず!
「帰るよ、彩華!」
「オッケー、お嬢様!」
僕達はナニも見なかった、いいね!?
前世でも名の知れたハイエルフなんて居ない!
たぶん、分体。異世界召喚の送還に紛れて、瓶詰め妖精達が転スラでいう界渡りしたんでしょ。
オリジナルだったら暴れないし、そもそも覚醒したらこんな封印も魔力の解放だけで突破する。
僕が出来る事は、向こうも大体出来る。
封印解けたら、とっととお家に帰りなさい!
マスターは別世界だから、ここには居ないから!




