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現代魔術師の暇潰し  作者: 元音ヴェル
惑星魔改造(SF)
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静かなる侵略

 オーストラリア大陸には、砂漠気候が約三割、ステップ気候も含めた乾燥地帯は五割を超えた、広大な荒野があった(・・・)

 しかし、突如、最東部の山脈にある山頂部分が崩れ、雨風が中央部へと流れ込む。


 その瞬間をハイスピード・カメラがとらえていたが、何故かコマ落ちしたかの如く、重要な箇所の写真や映像が無い。

 SNSにも関連動画が投稿されたが、機器の故障か、手振れが酷かったのか、映っていないのだ。


 世界規模で気候変動が起こる。オーストラリア大陸に、マトモな草原が生い茂ると、動植物の移動、繁殖、生態系の変化も起きる。

 そんな予想がされていたが、不気味なほど穏やかだった。

 まず、ある地方に降るはずだった雨が降らないと、普通は農業に被害が多少でも出る。酷い場合は、日照りや干魃(かんばつ)に繋がるだろう。

 だが、そんな気象情報は無い。驚くほど例年通りな場所が多い。

 オーストラリア大陸方面は異常気象、と言っても中央部に雨が降ったりする事だが、今までマトモに降らなかったので、驚くのもムリはない。


 中国は国境の多くが他国と地続きだ。

 他国の軍隊と小競り合いも珍しくはない。

 時にはマフィアの密輸を黙認したり、手伝ったりもする。

 中国の軍隊は、共産党の各派閥が持つ武力。一枚岩でも運命共同体でも無い。

 連携も少しだけしかしない、基本は派閥間の政治闘争と同じように、相手の足を引っ張りつつ自分達のミスを隠す。

 軍隊とは名ばかりの武器商人であり、その金を賄賂として上に送る事で、階級が上がったり、派閥の天下りに(あずか)る。


 そして、中国とは面子を重んじるが、どうやっても面目丸潰れとなると、面子を埋めて無かった事にする。


 どこでもデカい面したり、麻雀したり、爆買いしたりと好き勝手するのは、面子のケツ持ちが共産党となるから。

 共産党が弱みを見せる事なんて無いから。

 他国と揉めても、例え経済戦争をしても、最後には共産党が優位に立つと思ってしまうからだ。


 中国の内陸部には幾つかの砂漠がある。

 タクラマカン砂漠。新疆ウイグル自治区に位置し、中国最大の砂漠で、世界でも有数の大きさだ。

 ゴビ砂漠。内モンゴル自治区を中心に広がる砂漠で、中国北部に位置している。

 バダインジャラン砂漠。内モンゴル自治区に位置し、中国の四大砂漠の一つ。

 グルバトングータ砂漠。新疆ウイグル自治区に位置し、タクラマカン砂漠に次ぐ広さを持つ。

 これらの砂漠は、黄砂の発生源としても知られており、偏西風に乗って日本へと飛んできていた(・・・・)


 ここ最近、中国の砂漠地帯には異常が見られている。砂が明らかに減っているのだ。




 世界各地で砂漠化の進行は深刻化の一方だ。だが、砂漠=不毛の地というイメージは間違いでもある。本来の砂漠は自然界になくてはならない存在で、アマゾンの密林も大西洋のサケも砂漠に養われているという。


 ならば、砂漠は保護すべきなのだろうか。

 砂漠の前身である荒野や乾燥地の管理の失敗と気候変動が相まって、メキシコからモンゴルまで、サハラ砂漠南端のサヘルからインドのタール砂漠まで、砂漠化への懸念が生じている。

 中国の中央にあるゴビ砂漠は、毎年ロンドンの二倍以上の面積を吞み込んでいるという。国連の推測によると、世界の乾燥地の五分の一が植物の消失や土壌劣化の危険にさらされている。これは米国に匹敵する面積だ。


 だが、砂漠化の進行は食い止めたいとしても、今ある砂漠は大切に育んでいく必要がある。

 ほとんどの砂漠は、生物のいない不毛な地とはほど遠い、独自の生態系を持ち、他の地域では見られない特殊な適応を果たした、動植物を擁している。植物は水を蓄えられるよう茎が膨らみ、根系も特殊なものに進化した。小動物は暑さを避けるため、地下に潜るか夜間のみ行動する。


 砂漠は世界に対し、驚くべき機能も果たしている。砂漠の砂嵐は、痩せた土が大地から吹き上げられ、まるで自然のメルトダウンのように見えるが、生命に恵みをもたらしている。砂漠のミネラルが遠い熱帯雨林を肥やしているのだ。リンの豊富なサハラ砂漠の砂塵は、毎年数億トンも風に運ばれて大西洋を越え、その多くがアマゾン流域に落ちる。アマゾンの森には植物の生育に欠かせないリンが不足している。サハラの砂塵がなくなったら、この世界最大の熱帯雨林は生き残れない。


 で、中国の砂漠から飛んでくる黄砂からは、土壌起源の多様な鉱物はもとより、微生物や酸性雨の原因となる、硫酸イオンや硝酸イオン、アンモニウムイオンなどの大気汚染物質も検出されている。


 そして、未だ未解明の部分もあるが、黄砂のこれらの含有物によって様々な健康被害が発生している。

 まず、黄砂に含まれる鉱物が、金属アレルギー症状を引き起こす事が報告されている。


 黄砂はそもそも、金属の元となる鉱物から構成されており、日本に飛来する黄砂には、アルミニウムやカルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウムなどが含まれている。

 そのため、黄砂の飛来日に皮膚が赤くなったり爛れたりするなどの、皮膚症状が現れる方は、金属アレルギーの疑いがあると言える。


 黄砂が鼻水やくしゃみ、目のかゆみ、結膜炎などの、アレルギーのような症状を引き起こす事もある。

 その上、黄砂は、喘息や花粉症などのアレルギー症状を、悪化させることも確認されている。

 特にスギ花粉症は、花粉の飛散と黄砂の飛来の時期が重なる。


 花粉症、小麦粉とかのアレルギー持ち、そんなアレルギー症状のクッソ酷いのがアナフィラキシー・ショック。

 人体は免疫の暴走で簡単に自壊するのだ。

 そこでサナダ虫等の寄生虫を、腹に飼う事で免疫抑制を身につける。なんて治療方法もある。


 黄砂に金属粒子が含まれている理由の一つとして、モンゴル方面でのレアアースの採掘がある。

 レアアース以外の残土が、砂漠に棄てられており、砂漠の砂と残土が放牧で混じったり、風で残土と砂が飛ぶのだ。




 その被害が少ない。人間にとっては喜べる事態だ。植物にとっては喜べないだろうが。

 まぁ、中国のある地域では、残土の管理が不十分で放射性物質を含む残土が、野ざらしだったりする。

 いわゆる黒い雨が降ったりもする。詳しくははだし〇ゲンを読めば分かるよ。たぶん。

 黄砂にも混じっている可能性もあるので、外出には気をつけなければならない。夏場も長袖を着るとか。

 そういうモノを含めれば、天気の砂漠の砂を減らしたのは、日本にとっては良かった。オーストラリア大陸に持っていったのは、ちょっと良くなかっただろう。


 植物魔法で放射性物質にも負けないように成長させ、微生物の分解を促進させていく。放射線を浴びせて成長を促す栽培方法もあるにはあるが、人間が被爆するリスクの方が高い。

 あと、根っこに硝石を貯める植物もあるので、抽出すれば火薬にも肥料にもなる。放射性物質の放射能で異常成長するよう、品種改良してもいい。

 あるいは放射性物質を含んだ砂と種を、火星に持っていってもいいか。


 水やりで流出した物質や微生物の死骸を海に流し、プランクトンや小魚に食べさせ、放射性物質の生体濃縮を経て、成長した魚やエビは火星の海に放流していく。

 これは放射能によって、染色体異常となる魚も出てくるので、バレる前に回収するのだ。


「マンボウは寄生虫だらけ。しかもすぐ死ぬ。デカい図体にザコメンタルな魚」


「肉は不味いんだっけ。億単位の卵を産むらしいけど、自然界では淘汰されやすいのよね」


「伊勢海老は不老不死に近いけど、人間に食われて死ぬ」


「タコもイカも、日本人にとっては食べ物。外国人にとっては悪魔らしいわ」


 食糧難な国が多いアフリカですら食べない。

 日本人は悪食と言われるほど、何でも食べるし、味が合わないと自分達に合うように魔改造する。

 結婚するなら、日本人の女性がいい。なんて言葉もある。和食、洋食、中華、何でも作れるし、作れなくても、レトルト食品を買ったりして、研究してもらえる。

 創作料理という、暗黒物質もある。

 ご飯にお好み焼き、たこ焼きをおかずにする大阪だってあるし。

 ちなみにたこ焼きの中身を、タコ以外で焼いて売ったら、捕まった人もいる。屋台の店頭に表示しておけば、捕まらなかったかもしれないけど。


「なので、マンボウとタコとイカとエビも、火星に放流するよ」


「海洋生物、ちょっと偏ってない?」


「陸上にはゴブリンとコボルトがいるから、偏ってもいいと思う。本拠地には結界を張ってるし」


「マグロは?」


「火星の海底やら海流が安定してからだね。今はまだ不安定だから」


「マンボウ死んでそう……」


「微生物が欲しかったんだよね。火星には微生物がほとんどいないから、寄生虫についている微生物で代用するつもり」


「ゴブリンやコボルトが、そのうち寄生されてそうね」


「マンボウ食ったらね。本当はクジラがいいんだけど、まだ連れていけないから」


「死んでも誤差なマンボウにしたと」


「シー〇ェパードはクジラの保護に躍起になってるけど、クジラが増えすぎたら、それはそれで自然界のバランスが崩れるんだよね」


「ツッコミ待ち? ご主人様が盛大にぶっ壊してるって」


「まだ海には手をつけてないよ。……塩は備蓄してるけど」


「異世界の塩も持ってるんでしょ。こっちのはいらないんじゃない?」


「えー、イチゴ風味の塩を作ったりするから」


「賄賂とか贈答品みたいに配ってるけど、効果はあんまりないみたいよ?」


「料理人にはウケがいいじゃん。将来的には火星産のジャガイモとかで、何か作ってもらう予定だし」


「あぁ、ゴブリンの死体を肥料にしたりするのね」


「地球のジャガイモを食って育ったゴブリンを害獣として駆除し、火星の土とゴブリンの死体でまたジャガイモを作る」


「で、火星のジャガイモやサツマイモを、地球でさらに増やす。……地球はすでに侵略されている!」


「な、何だってー!!?」


「的なヤツになるのね?」


「問題は、ゴブリンの死体を使う以上、少なからず魔力が土に浸透すると思うんだよね。空気と海にも魔力が拡散するから、ジャガイモにも魔力が宿る可能性がある」


「名護屋川さん達のような、ちょっとした魔力持ちが増える可能性もあるってことかぁ」


 遠い未来、異世界からの侵略と、宇宙からの侵略が地球にもたらされるのだ。

 まさに現代ファンタジー。いや、SF? それともサイエンス・ファンタジーか?

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