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現代魔術師の暇潰し  作者: 元音ヴェル
スポーツマン・シップ(笑)
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お寿司

 リノは宗教団体主催のレース・イベントを荒らし回り、数々の脱法麻薬を回収した。

 天気はトレーナー契約を複数人と行い、アスリートとしてまともに成長するように、普通よりのスペックから一流に成り得るスペックを持つ、同世代の女の子を集める。


 そのままではヤク漬けか、臓器を生む雌鳥扱いとなっていた可能性があったのだ。

 日本中に散らばっているものの、転位魔法が刻まれたチケットで、私有地の一ヵ所にまとめて飛ばせるようにした、指導対象の女の子達。往復券なので土曜日は全員が集まる。

 勿論、シズルの組織が所有する土地を借りているので、天気達も出入りは自由だ。きちんと対価として、彩華が抜き取ってくる情報をアレコレ渡してある。

 早朝時のトレーニングは、天気の影分身を日本中に配置しているので、各員の行動に合わせて個別に対応出来る。


 何故か女の子が多い。二十人もいる。いや、これからも増えると思うので、まだ少ない方なのかも知れない。

 陸上競技の競技人口の三分の一が三女神宗教のレースを走っていると考えると、その落ちこぼれから見込みのある女の子だけでもかなりの数となる。

 約四十五万人の三分の一、ざっくり十五万、いや、リノと同世代から中学生までとなると、全国規模の宗教の信者の子供達となり、だいたい十万人ほどいる。

 三女神宗教の二世信者は、下は保育園から上は高校三年生までいるので、全国各地で毎月レースをしているのだ。

 そんなレースから次々ふるい落とされた、落ちこぼれだけで結構な人数となるものの、表向きは陸上競技に力を入れる宗教なので、現実ではマンモス学園と共存も出来ている。


 宗教というか、私塾に近い扱い方や認識だ。男塾的なヤツ。

 殴り合いじゃなく、レースの順位で白黒着ける。

 部活動とも共存しているので、場所によっては部活動の全員が、三女神宗教の信者だったりもする。


 で、そんな宗教団体が催すレースは、闇賭博の一部としても成り立っていた。

 信者が外資系の会社員、輸送業の運転手、スポーツ用品店の関係者、大企業の幹部とかだったりするのだ。

 当然のように金が動く。

 金が動くと、レースの賞金も大きくなるし、賭けの倍率も動く。一番人気やら大穴やら。

 リノは宗教団体主催としては、大きなレースで一位となった。菊華賞という競馬と同じヤツだ。コレ大丈夫? 名称も漢字がちょっと違うだけで同じだし、賭けやってるぞ? 人間が走っているとはいえ闇賭博はアウトだろう。と、天気達は思った。

 グレード分けやライブはないけど、宗教側が用意したトロフィーとクスリはある。


「コレ、どうするの?」


「首領に渡してクスリの回収は完了となるはず。信者の浄化は弟君次第さっ!」


「そうか。なら、請け負った任務は半分完了したって事だよね」


「そうなるねっ! リノちゃんも頑張ってたし、回らないお寿司もちゃんと用意出来たしっ!」


「リノちゃん、覚悟はいいかい? 引き返すなら今のうちだよ?」


「狩人に二言はありません!」


「本当かなぁ……?」


「催眠の時は二言どころか、三言四言くらい、平気で繰り出していたわよ。この義妹」


「そんな事ないです! 姉さん、空気呼んで下さい!!」


「なんで私が怒られるの……」


「ま、まぁ、改めて。この先は一方通行だ。目先の快楽の先には、想像以上の苦難が待ち受けていると思う。それでもいいんだね?」


「くどいですよ、お義兄ちゃん。それに、妹たるもの、お義兄ちゃんと一緒ならどこまででもイけます!」


「そっか。リノちゃんや他の女の子を支える事が、今はいい暇潰しになるんだよね」


「イイハナシダナー」


「彩華。文句があるなら聞くけど?」


「私は支えてくれないの?」


「僕を支えてくれてるから、持ちつ持たれつだよ」


「……さてさてっ、このパンドラの箱を開けましょうかっ!」


「そうしましょう! 始めましょう!」


「おっと、リノちゃんのレース勝利を祝して!」


「寿司パーティーを開催するわよ!」


 シズルが口ピアで買ってきた、寿司メインのパーティーが始まる。ピザも肉もあるが、リノたっての望みである、回らないお寿司がメインだ。

 スーパーのパック品と回らないお寿司は違う?

 でも、回ってない点は同じだから。ウソではない。というか、回転寿司の店でもレーンの上を回る寿司は手をつけず、注文して取り寄せた寿司やうどんを食べる。

 だから値段以外はウソではない!

 口ピア、精肉店から始まったと言われているスーパー。身近にはない食生活ユートピア口ピア。


「いやー、壮観ですね! 見渡す限りお寿司、お寿司、お寿司。たまにピザや肉。まるでハンターなネコ飯の如き陳列! この世の楽園ですー!」


 安上がりと思うなかれ、ネタもシャリも大きい。値段もスーパーとしては、ちょっと高い、デカい、美味いの三拍子。

 場所によっては激安業界荒らしだなんて、恐怖の対象となっているとか。

 養殖のウナギが八百円で売ってある。正気度は投げ捨ててきた。


「お姉ちゃんの奢りだよっ! さぁ弟君っ、たーんと召し上がれっ! リノちゃん達は弟君の残りを食べててねっ!」


「残りって言うか、手が届かない場所のヤツだね。ネタが乾く前に食べるんだよー!」


「お義姉ちゃん、やりますねぇ」


「さらに朗報だっ!」


「ん? このお寿司の山に加えて朗報が!? ……お寿司の山って表現、おかしくないですか?」


「まぁ、うん」


「海産物じゃん」


「そうだね」


「だったら、お寿司の海の方が適切なのでは?」


「どっちかというと、ベイト・ボールが近いんじゃない?」


「切り身のネタが魚群の、ベイト・ボールって事かぁ。スイ〇ーかな?」


「どうでもいいけど、食べましょうっ!」


「そうですね! ところで朗報とは?」


「ガリも食べ放題だっ!」


「へぇー」


「お店の人にお祝いなんですよって言ったら、ガリも持っていけってくれたんだっ!」


 ネタの味や醤油をリセットし、次の寿司の味が良く分かるようになる。また、食中毒の予防にもなる。


 口ピアは現金払いしか出来ない代わりに、とても安い。

 鮮魚や肉コーナーの天井を見ると、廃棄するくらいなら最初から安い、毎日全部売る、みたいな禍々しい経営理念が書かれた、ポップが垂れ下がっている。

 コス〇スもだけど、支払い現金オンリーだと、手数料で数パーセント取られるから、安さ追及している店には致命的だ。

 支払額の数パーセントと言っても、利益分に占める割合でいったら結構な額になる。具体的には現金以外のクレカ決済は、事業者の五パーセントから十八パーセントの負担となる。

 キャバクラとかでクレカを使うと、手数料と称して二十パーセント前後を取られる。これは店舗にカード導入する際の、規約に違反してるらしい。

 さらに言うと、手数料を理由にクレカ限定の金額設定をするのは、契約違反になるのでクレカ以外の方法だと、ポイントつけたりして悪あがきする。


 口ピアって伏せてないけど、ロじゃなくて漢字の口なのだ。トも名前の水卜の卜を使っていたりする。プールでの催眠によるアームストロングの(くだり)で、最初から気付いていた人はスゴい。


 元々が精肉店だったからか、バラエティーミートに強い。タン一本とかマメも置いてある所はある。ただ、豚の鼻や耳は置いてない。専門店に行こう。

 弁当だとトチ狂った量のカツ丼がある。一キロ超えのカツ丼だ。エビを乗せまくったエビ天丼、総菜コーナーには一キロくらいのパスタがある。


「ん~、美味しい~!」


「ほぼ具巻き、米が本当に少ない……いや、美味いからいいんだけどね……」


 しばらくして、全員で牙城を崩し、完食した。


「食った食った」


「いやはや、いくらでも入りますねー」


「お義姉ちゃん、また買って来て下さいよ」


「弟君が食べたい時は買ってくるっ!」


「んー、そろそろいいかな。食べる前に聞かせてもらった、リノちゃんの覚悟を見せてもらおうかな」


「え?」


「こんなにも食べたんだから、多少はトレーニングがハードになるって事だよ。だから覚悟を問うたんだよ」


「大量の寿司メインの晩餐を、目の前にしてノーだなんて、言える訳ないじゃないですか!?」


「問答無用!」


「むむむ……」


「狩人に二言はないはずだよ?」


「あ、明日から……」


「今日からだよ。とはいえ、食後の激しい運動は消化不良の原因になるから。……一時間後にジョギングしよう」


「食った分は動こうっ!」


「はぁ、頑張りますよ~……」

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