表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代魔術師の暇潰し  作者: 元音ヴェル
スポーツマン・シップ(笑)
36/141

プール

 ある夏の日、天気達は学校のプールに来ていた。リノが泳ぎが苦手だから特訓をするのだ。


「ロシア人は泳げない人が多い。泳がなくても生きていける」


「泳げないのは、寒さと冷たさによる凍死が原因だよね。温水プールとか普通に入ってたじゃん」


「アレは泳ぐというより、歩いていただけ。周りも浮き輪で浮いてたし、歩いてもいた」


 基本的に日本人はプールでも海でも泳げる。だが、海外の学校にプールはない所が多いし、海で遊ぶ事も少ないらしい。

 インドなんて川遊びすら出来ない。海や川の清掃や保守に割く予算がないとも言う。

 ロシアも地域差が大きく、北極に近いと泳げないので、犬雪車での移動となる。クリミア半島は戦場。アラスカ州と隣接する場所は、密漁や密輸を警戒する。

 千島列島では温泉に入るだけ。泳げる環境でも泳ぐ必要はない。

 ツンドラやシベリアは永久凍土で、最近はその永久凍土が溶けてきている。雪解けの地面の下には、古代から封印されてきたヤバい細菌やウイルスが、コールド・スリープから目覚めているとか。

 プールで泳ぐのはオリンピックに出るようなアスリート達のみ。海ではサーフィンすら出来ないのがロシアである。

 あと、フィンランド方面はシモ・ヘイヘの親戚が警戒しているので、迂闊に騒ぐと狙撃される。スキーしながら命懸けの鬼ごっこはしたくない。


「ハンターは泳げるよ?」


「リアル狩人は泳がない。ゲームとは違うんです!」


「でもさ、泳げた方が利点は大きいわよ」


「例えば? 水着を着れるとか、褒められるとかですか?」


「クルージングで取り残されても生活出来る。着衣水泳で溺れても、人工呼吸してもらえる」


「……溺れてるじゃん。泳げてないじゃん!」


「着衣のままでは泳げないから。浮かんでおく事が重要よ」


「弟君、プールサイドって熱いから、お姉ちゃんと泳ごうっ!」


「まずは準備運動しよう。足がつっちゃうからね」


 両足をこむら返りすると、地上でも身動きが取れない。水中は死ぬ。溺れる暇もないので、発見が遅れてしまう事だろう。


「ちょっと待ちなさいよ。ご主人様」


「あ、背中押してくれる?」


「違うけど、手伝います。それはそうと、リノに催眠掛けて。私がやると、百合の波動が出るかもしれないからさぁ」


「どっちかと言うと、シスコンの波動なのでは?」


「お姉ちゃんにもして、弟君っ!」


「まずはリノちゃんからね。効果があるかの確認は必要だし」


「……催眠云々は聞かれてちゃダメなんじゃ?」


「忘れなさいっ!」


「ぐぁーーっ! ーーっ!! ーーっ!!?」


 リノの疑問にシズルは頭突きで返答し、一部の記憶を物理消去する。プリ〇ネ・レベルの頭突きと衝撃波が一瞬見えたが、気のせいだろう。


「……コレ、大丈夫? ダメージデカ過ぎてのたうち回ってるんだけど?」


「メイドちゃんも食らってみるかいっ?」


「天気ガード!」


「ちょわ!?」


「弟君から来てくれるなんてっ!」


 シズルは頭突きをすると見せかけ、軌道と勢いを変更し、天気の顔を両手で掴み、そのまま接吻(せっぷん)する。

 シズルとしては長くしたかったが、公衆の面前なので軽くに留めた。


「やりますね~。お義姉ちゃん」


「リノちゃんも泳げたら、弟君とベーゼが出来るぞっ」


「はわわっ、姉弟でキスなんて。ハレンチだよ」


「脱衣麻雀した仲でしょうに」


「……いや、お義兄ちゃんは審判員だったからっ!」


「姉妹揃って、弟君に頂かれた仲じゃない」


「何を言ってるの、お義姉ちゃん!?」


「……ウソつき」


「うっ! 不整脈が……」


 彩華による言葉の狙撃で、天気は胸を撃ち抜かれて倒れそうになる。

 突然の流れ弾! アンブッシュ! 白昼堂々の心臓(グラスプ・)掌握(ハート)


「あら、ご主人様。私にしなだれてくるとは、あちらで休みます?」


「あっあっあっ……」


「短距離掛ける3は長距離」


「カヒュー……カヒュー……」


「おやおやおや?」


「おやおやおやおやっ?」


「え、ナニこれ……怖っ!」


 天気を前後で挟み、彩華とシズルが心配しつつ運び出す光景を見て、リノはSAN値が削られる。

 やや唖然としていたが、姉達を追いかける事にした。


 しばらくして、介抱されつつ戻ってきた天気達。

 シケこんだとか、ウマぴょいしたんだとかではなく、普通に看病されただけだ。

 彩華の肩を借りているが、ただ彩華が密着したいだけである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ