嵐を呼ぶ保育園
天気達は保育園デビューした。
クソガキとワルガキとメスガキの坩堝だ。
年長組はそれぞれの学校へ行くから干渉はしないが、五歳と四歳児の多くはグループ分けされている。
天気と彩華は三歳。
ヒエラルキーは園長先生と保育士の先生が上で、三歳児は四歳児や五歳児のスケープゴートにされる。
「山を作ろう」
「砂場を掘ろう」
四歳児達が頑張って穴を掘ると、手伝っていた三歳児の一人が落ちる。
落ちた衝撃で山が崩れると、どんくさいと責められる。
「こんなヤツ埋めてしまえ」
「崩した罰だ!」
砂浜で埋められるが如く、三歳児は顔だけ出して埋められてしまう。
抵抗虚しく、服や靴は泥まみれ。保育士の先生は他の園児が気を引いていたので、ヤンチャしたと勘違いする始末。
「容赦無いなぁ」
「土遁か、ヤるわねアイツ等」
彩華の言葉に天気は、違うんじゃないかなと思うも、恐らく彩華もよく分かっていないと思うので、深くはつっこまない。
「おままごとしましょう」
「私お姉ちゃん役!」
「私はお母さん!」
「旦那役するー」
「お前、犬ね」
「犬!? わんわん言うの?」
「返事はワンだけよ?」
「わんっ!」
メスガキ達の昼ドラ劇場なおままごとに付き合わされる天気と彩華。
天気が犬、彩華は不倫相手だ。
何回も犬役をしていると、保育士の先生が紙で犬耳を作っていた。
「似合う~。お手!」
「わん!」
「お座り」
「わん」
「砂場におやつを埋めて来て」
「わ、わん……」
メスガキの飼い主の命令に従う天気。今日のおやつは無しだった。
彩華の家にて。
「天気、あんな女がいいの?」
「え、おままごとの続き? いや、逆らうと泣くじゃん。泣きながらグーが飛んでくるんだよね」
「避ければ?」
「避けたら、蹴りがくる。周りの女の子も蹴ってくるし」
ワルガキも容赦無いが、メスガキもだいぶ容赦がない。
クソガキは保育園の畑を荒らすし、全部の靴の中にダンゴムシを詰め込む。
下手するとハサミで園児の髪を切る事もある。
極めつけはメスガキ、ワルガキ、クソガキの代表格は結託して、園児のおやつを巻き上げるのだ。
特にメスガキは子供ながらに整った顔立ちを生かして、ワルガキやクソガキ達に貢がせる。
保育園のおままごとな人妻魔法少女や。リリカルみたいな名前してるし。
彩華も整った顔立ちだが、天気の近くについて離れないので、周りからは天気が独占しているとか、彩華が侍らせているとか思われている。犬役が多いので。
ワルガキに絡まれた事もあるが、クソガキが荒らした畑に埋めてやった。
クソガキはワルガキが掘らせた砂場に埋めておいた。
どちらも天気のせいにしたが、悲しいかな、普段の行いがモノを言う。彩華がアリバイを言うと先生も納得する。
彩華は天気を応援しつつ、ホースで水をかけていた。畑の水やりは大事です。砂場は、最近暑いし、キレイな泥団子作りたいし。
で、より悲惨な目に会ったワルガキとクソガキは、親にメチャクチャ叱られ、先生達も弁明に追われた。
「なら、ここでは私がメイドさんとして、天気をお世話する!」
「まだおままごとするって事? 別に犬扱いは気にしてないんだけど……」
「ご主人様、ご飯にします? お風呂にします? それとも、わ・た・し?」
「ご飯はさっき食べたから、お風呂」
「かしこまり~」
「……おままごとって随分高度なのね」
彩華の母親は目の前で見せられたおままごとに対して、軽く眩暈を覚えた。
こんなもの序の口よ。保育園の昼ドラに比べたら生易しいぜ。
ケチャップやオモチャの包丁、犬耳、首輪、リード、消防団の帽子、予備の園児服まで出しての迫真の演技。
飼い犬じゃなくて警察犬だったのか! 昼ドラというより、コ〇ンより? と、天気は思っていたりする。
不倫相手は刺されて死体役となるし、血糊代わりにケチャップを、ブルーシートの上にぶちまける。彩華は死んだフリが上手かった。
脈も呼吸もしてないと大騒ぎになりかけたが、天気が起こすと素直に生き返った。
仮死状態は忍者の十八番です。気配を消すにはうってつけなので。
まぁ、天気も彩華も言わないけど。
一緒にお風呂に入り、洗いっこして、天気は自分の家へと帰る。
彩華の部屋の窓づたいから、天気の部屋の窓を開ければ帰宅完了だ。
たまに彩華もやって来るし、一緒に殺風景な部屋で寝る事もある。
一応、天気の母親は、彩華の母親へいくらか払っていたり、菓子折を持って来たりしている様子。
ロシア人の父親は内心良くは思っていないが、郷に入っては郷に従うらしい。そんな郷はないんだが。
彩華の母親も、態度にこそ出さないが、天気の母親を良くは思っていない。格安なベビー・シッターではないのだ。
いっそのこと、天気を引き取りたい。今からでも双子として戸籍を弄れないか、たまに考えてしまう。
ほぼほぼ彩華の家の子なのだ。
保育園の仕度や朝食にお弁当、おやつに夕食、入浴も彩華の家で行う。下手すると寝る時も彩華の部屋だったりする。
ちなみに、生まれて間もない場合、戸籍登録を役所に済ませる段階までは赤ちゃんに戸籍は無いので、産んだ人や赤ちゃんの親を意図的に変える事が可能らしい。
作者の母親は、産んだ後で父親に押し付けて実家に戻ったりした。
体重480gくらいだったので市民病院の保育器に半年ほど入院。
保育器の中にいる間、父親が不倫相手を連れて抱っこしている場面を見た母親が、怒って押し付けたのだ。
退院して一ヶ月ほどは父親も頑張って世話をしたらしいが、根を上げて母親の実家に頭を下げたらしい。
出戻りの母親に祖父母が、祖母が産んだ事にするかどうか聞いたが、それは断ったらしい。
父親は生まれる前に、「五体不満足なら死産扱いで」とのたまったとか。
まぁ、母親も作者を一度捨てたようなモノなので、どちらもクソに変わりは無い。
自殺したら悲しいか聞いたら、金のムダと答えたし、成人して自殺未遂した時に「私は悲しまないけど、じいちゃんが悲しむから」等と言う毒親は実在する。
現在進行形で一緒に暮らしているけど、ローンは払わない。三人で住んでいるものの、浄化槽代と水道代を年間で三等分した額、電気代五千円のみ。二人で合計しても四万しか払わないのだ。作者は家のローンと区費と残りを払う。
勿論、固定資産税も払う。手取り17万弱ではキツいが、交渉しても聞いてくれない。
母親がプー太郎の時に出ていってくれ、と言ったら、お前が出ていけ。とも言われる始末。
産んだのは父親に対する罰の為で、愛情は無い子の面倒は見たくないと、成人して少し経ってから言われたりもした。
そんな親が天気の親のモデル。放任主義でも、愛情以外の面倒を見れば親として成立するのだ。だから毒親が減らない。
今でも覚えているのは、保育園の先生に対してクレヨンなアニメの象さんシーンを、父親に強要された事がある。未成熟なタマタマにマジックで点をつけただけだが、それで象さん再現は恥ずかしかったものだ。クソ親父は覚えてすらいないが、セクハラされた方は覚えているし、今でも作者は根に持っている。
それが許される程度の田舎でもあった為、親と環境のガチャは失敗したと言えよう。
事実は小説よりも奇なり。
ちなみに、保育園でイジメられても、子供同士の事だからと、ろくに相手にされなかったし、父親同士が友達だったので、なあなあで済まされる事が多かった。
小学校は別々だったから良かったものの、通う小学校では幼稚園でグループが作られていたので浮いたり、またイジメられたりもしたが、親は頼れなかった。




