第14話「大きな力があるなら、それを正しいことに使う責任がある」
「それでソーのハンマーを持ったキャップを入れたビッグスリーとサノスの最終決戦が始まってね」
「君の世界はたくさんヒーローがいるんだな」
ストライカーさんの声が途中で入ったところで、僕がいつも以上に早口で話してたのに気づいて、それで1回だけ声を出しながら軽く謝る。一緒に両方の腕を折り曲げた状態のまま上に上げてたのを落っことして。僕が座ってるベッドの斜め前にある丸テーブルに肘を置いてる向こうから視線を逸らす。
その間も、向こうはテーブルの上の肘の方に体重を乗せる感じの体勢のままいて。それに対して僕は少しだけ体を前のめりにしながら膝の上に両方の手を乗せてグーにした手に力を入れずにしておく。
「いや、ほんとにいる訳じゃなくて……」
声を出し終わった後、重ね合わせてる唇を一度だけ結びなおしながら瞼を両方とも落っことす。それから1回だけ喉を鳴らしながら視線を横の方にずらしていって。だけど、それで見てるのはベッドと壁の間のわずかな隙間くらい。僕の世界だったら暗くなっていそうな場所がある。
今僕が座ってるベッドの上に所には天蓋も付いてて、大きなレースも付いたカーテンがボード側意外には全部垂れ下がってる。左右で斜めに開いてる場所の間の所に座ってるけど、僕はそれらに肩が触れないようにしてた。
そんな中で一度ため息を付くと目元を手で一回だけ指の硬いところで押しつぶす。それが終わった後も何度も瞬きを繰り返して。それから上の唇で下のを押しつぶす感じに。鼻から1回だけため息を吐いた。
「映画って言うのはその、作り話なんだ」
相手の方に視線を向けられないまま、両方の手の指同士を組み合わせて。それと一緒に首を使って体を前にめりにしながら、何度も親指を使ってそれを交互に擦るみたいにする。その間、辺りからは何も音がしない。
そう思ったのも数秒後、ストライカーさんが椅子を引く音がして。その茶色でつるつるした表面をしてるのが一瞬だけしかしない音を立てた後、両方の手をそれぞれ机と椅子の背もたれへ縦に突いて。それから1回だけ声を出して立ち上がる。
それから僕の前に来ると、そのまま片方の手で1回、肩に握りこぶしをくっつける。それと一緒にこっちは、唇同士をくっつけて。相手の様子を目線だけで追ってた。
「いるさ、ここに1人」
すぐに返事が出来なくて、僕は口を開けた状態で上下に何回か動かした後に、すぐそれを伏せる感じで下に向ける。それから、ただ大きな目を開きながらそれをストライカーさんに知られたくなくて。ずっと背筋を丸めたままそこにいることにしてる。
ただ、その間、向こうは僕の様子をずっと待っててくれてたみたいで。その場で何もしないでずっとそこに座ってるだけにしてた。
数えてないけど数十秒くらい経ってから、相手の様子を見ると、さっきまでと同じ金髪を降ろした姿のままでまだ僕の前の所に立っててくれてた。
「大きな力があるなら、それを正しいことに使う責任がある」
「それって……」
見上げるみたいな姿勢で相手のことを見つめ続ける。それは同じまま相手を見た状態で唇の両端で頬を押し出すみたいに。それだけで鼻から息を出しながら頬を膨らませる。それから目線を瞬きと一緒に左右に動かすことに。
「うん、僕も、そう思う」
とてもストライカーさんのことを見れない状態のまま、自分でも聞こえてるかわからないくらいの声の大きさで、単語を1つ1つ言ってくみたいな話し方で向こうの言葉に応えた。
それだけ聞いたら、相手は一旦さっきまで使ってた机の方に行って。そこに乗っかってた水が入ってる透明なコップを取り上げて、そこに反射して映ってる自分を見つめてるみたいだった。
「あの」
向こうが水を飲んでる時間を待ってる間、僕も両方の手を組み合わせたまま自分の膝の上に乗せてた。そのまま口を小さく開けて、そこからこぼれさせる感じで話し始める。それから向こうは「なんだ?」って軽く声を出しながら振り返ってくれてるのを気配で感じるけど、でも、こっちは同じ姿勢でいることしか出来ない。
それからもしばらくずっと話せる状況じゃなくて、ただ静かに時間だけが流れてた。そしたら、向こうから一回だけ言葉になってない声を出してから僕の横の所に座ってて。
それでベッドが重さでへこんでる感覚をこっちのお尻でも味わう。それから、僕の肩を抱いて。それでこっちの唇を強く締め付けるみたいにする。一緒に僕が使ってるのとは違う甘い香りがこっちにもやってきた
「ストライカーさんは薫子って人の仲間なの」
言葉の途中でまた言うか言わないか迷ってその言葉を止めることになった。だけど、それでも喉が締め付けられてるまま、相手がいる方とは逆方向に視線を向けながら声を出す。
言い終わったあと、向こうの返事が来るまでまだ時間があって、その間両方の手の指だけが重なり合ってるだけだったのを平の根本も一緒にくっつけてる形に。
そしたら、こっちの横で肩を抱くみたいにしてたストライカーさんは体重を反対側の突いた手に乗せるみたいにして。そしたら僕も自然と視線がそっちの方に吸い込まれて。向こうの頭のある高さと同じくらいになってる。そっちをただ首を回して目尻を落っことしながらじっと見つめ続ける。
「よく知ってるな」
いつもよりは少しだけ低めの声を出してるストライカーさんの言葉を聞いたら。眉を使って目を開きながら口をちょっとだけ開けるみたいにしてて。それに対して向こうは今も1回鼻から息を吐くだけ。
それから視線を上の方に向けながらいるだけで。ただ一心に僕だけが相手の様子を見ながら、自分の手元をお腹の方に寄せて見つめるだけに。
その間も、この場所は暗くなる場所がどこにもないせいで、相手の金髪もスーツもどこも影になる場所なんかないどころか、光を反射して白くなる場所もない。さらに、その人の背中の下部分のベッドにも暗くなる場所なんかない。上の天蓋になってる場所や柱も全部白色と変わるところなんかなかった。
「薫子とは長らく会ってない」
同じ姿勢のまま話すその姿に対して、僕もまだ上げ切れない角度で同じ方向を見る。だけど、そっちに何かがあるわけでもないというか、ただ四角く天井の模様が切り分けられた天井の様子を見ることになるだけ。
そこの天井は手で届くって程じゃないけど、すぐそこにあって、僕が暮らしてる部屋よりも近くにあるように見える。
その四角1つ1つも白いだけでただこっちに盛り上がってるけど、それらよりもへこんで見えてる枠の部分もザラザラしてるように見えるくらい。
「でも、会った時は一緒に戦ったんだ」
体を起こしながら歩き出す。ストライカーさんは僕の方からは視線を逸らすことになる。そのままゆったりとしたペースで足を進める。
そのままそっちの方にあった本棚と壁の間にあった窓に手を当てると。そこから外の様子を眺めてた。それを見てたら、自然と僕もそっちの方に近づいて。枠に両手を当てたまま立ってる向こうのすぐ斜め後ろから窓の向こうを見ることに。
そしたら、ストライカーさんは一度こっちに振り返って一緒に見るか聞いてくれてくれて。続けてこっち側の枠から手を放してた。それから、僕もこの街の中で一番高い建物なおかげて町全体を見渡せるようになってる窓から、周辺の様子を見つめる。
街の家々や道や城壁もその全部が真っ白になってるこの街の様子を眺めながら、その先の灰色をしている砂地の様子を眺めることに。ここからだと、ンウニュさんや兵頭彩芽がいると思う洞窟の辺りは見えない。でも、何とか目を凝らしてそっちを見続けてはいた。
「そこに、君もいてくれたらって思う」
向こうが声を出したところで、僕は素っ頓狂な声を出しながら後ろに下がったら、そっちにあった本棚が大きな音を立てながら揺れてて。後ろの方を振り向きながら両手を肩のあたりまで持ち上げる。それに対してそっちでは何も落っこちることはなくて、それにほっとしてからストライカーさんに謝った。
一方で、相手は別にいいってだけ言ってくれてて。それから僕は相手の方を見れないまま小さく「ありがとうございます」とだけ、言葉をちょっとだけ伸ばす感じで言ってた。
それから僕が唇を結びながら何度もその位置を変え続けて、少し離れてから来た時と同じ色をしてる空の様子くらいしか見えてる所はないけど、目線を外の窓の方へと向けてるままにしてる。
ただ、その間もストライカーさんは外に歩いて行ってて。それと一緒にこっちに軽く声を出すと、僕もただそれに返事をしながらただそっちの方を見るだけにしてた。だけど、部屋のドアが締められるときに、相手の体の見えてる範囲がどんどん狭くなって行くのを眺めることになって。
それのせいで僕も慌ててそっちの方に駆け足で寄ることになる。もう締まる直前だったドアと枠を両手で掴んで体を乗り出す。それで首だけ出してる状態になって相手の方を見たら、向こうは最初は進行方向を向いてた所からこっちに振り返ってくれる。
こっちもストライカーさんのその姿を見るなり、肩を落っことしながら何度か呼吸をしてた所から声を出しながら姿勢を元に戻す。
それからゆっくりと相手の様子だけを見ながらドアを閉めたら、そのまま最後の方は背中を使って押し込む感じにしてて。顔を下に向けたまま口を小さく開けてそこから呼吸が行ったり来たりしてるのを感じる。それも数秒間だけで。目線をストライカーさんがいる方とは逆の方の斜め下に向けながら下の唇を押し込みながら足を交差させる感じで足を進めて行った。
「あの、今日は泊まって行ってもいい?」
最初に声を出した時はその音を伸ばしながら、また斜め下に顔事視線を流して。それに続いた言葉も同じ感じで伸ばすことになる。それから両手を後ろで重ね合わせながら今度は顔を反対側の斜め上に向けながら声を出すみたいにしてた。
言葉が言い終わった辺りで、首をかしげる感じにしながら相手のことを下から見上げる感じで見つめる。そしたら、僕の手を片方だけ取ったストライカーさんが握手する感じでそれを上下に振った。
「もちろんだ。一緒にいよう。君のこと。君の願い。もっと聞かせてくれ」
それだけ言ったら向こうは体を翻してまっすぐ廊下の中を歩いて行ってて。壁同士のちょうど真ん中あたりに残ってた僕は握ってもらった方の手をもう片方の親指と人差し指で包む感じにしたまま見つめる。
向こうの姿が見えなくなったところで、反対側を見ながらクスリと息を出して笑う。続けて、頬を膨らませながら斜め下に目線を向ける。それからも自然と目尻にしわを作りながら目を閉じて笑ってて。一緒に体を肩から左右に揺らしてた。
ただ、それから目を開けたら、顔をひょっこり出す感じでストライカーさんがこっちを見てて。それと静止した僕が目線を合わせることになる。特に何も言うわけでもなく、そのまま体を前のめりにしてさっきの部屋に戻ることになった。
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