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第11話「なんでもする」

 思った以上にあっさりついて行った兵頭彩芽についていく感じで、僕もトカゲの上に乗って。それの結果、砂山の裏側の下にあった洞窟の中に入ることになる。

 そこには僕らの世界のと同じ感じで一部の肌は尖ってたり、触ってもないけどザラザラしてそうな所があったりする。


 だけど、その色は上の砂地で見てた赤色と黒色が交じり合った色が前面に出てる上に、それがここでもどこに灯りがあるのかわからないのに、影になってる場所がなく全面に見えてるから、それだけで喉が一気に締め付けられる。


 トカゲから降りた女の人はそのまますたすた一緒に歩いて行ってるけど、兵頭彩芽も僕と同じようにそこで足を止めてた。だけど、向こうも相手がまっすぐに進んで行ってるのを見てから、変身はしないけど自分の手元にハンドガンを召喚してからそれを背中に隠して進んでた。


 それを見た瞬間、僕は目元に力が入ってるのか入ってないのかわからない状態のまま、ただ中途半端に口を開けてた所から、相手に向けて1回だけ声を出す。それでも、向こうは大きな穴に沿うみたいに出来た、下り坂をただ進んで行く。

 暗闇がないから穴の底の方まで見えてるはずだけど、今僕がいる入り口からだと角度的に見えない。


 ただ、後ろに振り返っても、そこには灰色をしている砂が積もりあがっている様子だけが見えてて。そこに手を入れてるとそれで動いた赤色が見えて来ながら、砂が上から下に流れてく様子が見える。だけど、すぐにそれも終わって僕の手が砂に覆い隠される。


 それで見えてるのは完全に灰色側だけだったけど、でも、それで抜けた手に残ってたのは、赤色の砂。だけど、それを見た途端、一気に息を吸いながら腰を抜かしちゃって。両方の手とお尻を突いた状態で少し後退。


 まだ洞窟の中に入るほどじゃないのに気づけたのは、何度も呼吸を繰り返して一度ため息を吐いた後だった。顔を下に向けた状態のまま顔に手を当ててそこを覆う。さらに強くため息を吐いた。


 突っ込んでた方の手を勢いよく払う動きを何度もさせ後に、兵頭彩芽たちの後を追うことにした。それと一緒に入り口すぐのところにあった大きな穴の底を見ようとしたら、遠近法でどんどんそれが狭くスリバチみたいになってて。その一番奥の所はほんとに米粒よりも小さく見えてる。


 そして、そこまでの間の外周になってる箇所には、左右に並ぶ穴が2つとそれよりも少し下の所に1つの穴、合計3つが1セットになった物がいくつも並んでいる訳でもなく何個もある。一方で、それら個別の穴の形はどれも違ってた。


 数秒間見てたら、僕の靴の大きさからしても足元にも及ばないくらいの、ほんのの先端のちょっとだけだけど、地面が崩れる。それのせいで僕はぎょっとする勢いで後ろに下がるけど、それで転がった小石はすぐに音もなくなるし目でも追えなくなってた。





 ずっとイスラム系の服を着てた女の人が強い息を吐きながら頭に被ってたのを脱ぎながら一息ついて。腰に下げてた水筒を手にするとそれを一飲み。それから一度声を出して近くにあった石の上に座る。続けて、僕らへ座るように、斜め上の方へと伸ばした腕を振るってアピールしてきた。


 一方で、相手に対してまっすぐに体を向けたまま片手を背に隠したまま握って立ってた兵頭彩芽が一度息を吸いながら近くの程よい石の上にまっすぐ座りに行ってた。その足元にはもう外を支配してた砂はないみたいで、周囲の真っ赤な色のまま変わることは一切ない。


 だけど、その足元で転がってる小さない石が転がされて行くところを見てると、さっき底が相当小さく見えてた石のことを一瞬だけ思い出した。


 そうこうしてる間、僕が顔はトカゲの人の方に向けながらも、首から下は全部兵頭彩芽の方へと向けてる状態でいたのに、もう相手はだいぶ足を前に進めてるのに気づいて。僕も来た道を戻る感じで、今座ってる2人とはまた離れたところ、座ってる岩の出っ張りで体の一部が隠れる位置になる場所に座る。


「私、一緒、帰らせてほしい。なんでもする」


 両手の平を自分の体に当てたり、小さなボールを掴むみたいにした手を上空で弧を描く感じで流したり、身振り手振りを繰り返しながらその人は特にトーンは変えずに、座ったまま体を前のめりにして話してた。


 その声が終わった後、兵頭彩芽の方に僕は顔事視線を向けるけど、細く伸びた岩があるせいでその姿はほとんど見えてない。だけど、片方の足が空中に放り投げられるみたいに動いたことで足を組んだんだってことが伝わる。


 それから、前髪が見えて前かがみな姿勢になってるのが見えてる間、僕も体を斜めにしてそっちの方を見ようとする。だけど、それでもお尻を岩の上から動かすことはしない。


 だけど、数秒後にすぐに前髪はまた元に戻ってくような動きをしてるせいで、組んだことで上側になってる膝に手の平が乗っかってる様子だけが見えることに。ただ、それから一度鼻から息をする音がしてるだけだった。


「悪いが私たちも任務を終えるまでは帰れないんだ。世界を守るためにどうしても必要なことだ」


「でも私、すぐ帰らないダメ。私、クルド人、子供、夫、ギャング狙ってる」


 その人は兵頭彩芽が言葉を1つ1つ進めてく感じの話し方をしてたのに比べて、間髪入れずに話をしてて。相手のと全然違う早口で話し始める上に、その大きさも大きい物になってた。

 その上、さっきしてた手ぶりはなくて、一気に手を下へと向けて振り下ろすだけ。


 だけど、その早口な声が止まったあと、その人はただ静かな時間だけが流れた後に前のめりにしてた姿勢を猫背気味な曲がった物に戻してる。それから、鼻から1回だけ息を吐きながら大きくしてた目も元の開いた範囲に戻してた。


「私、帰って2人、来るため家用意する。娘、約束した」


 それから、続けて出た声は、さっきまでとは違くて小さい物になってた。だけど、そのペースはほとんど変わってなくてけっこうな早口になってる。その間、ずっと視線は膝の上で組み合わさって置いてる両手の方に向けてた。そして話し終えた後も口元をくっつけたままそこでずっと左右に唇を動かし続けてる。


 それが止まったと思った次の瞬間、その女の人が立ち上がったと思ったら、両腕の肘より先の所だけを動かしながら兵頭彩芽の方に向かって行って。その前に行ったところで、両膝を地面に落っことしてた。


 僕もそれを見た瞬間立ち上がってそっちの方へと行こうとしたけど、その歩みも最初の一歩だけ踏んだら、手だけを前に出して、もう進めるのをやめることになった。


「お願いします。娘、命掛かってる。なんでもする。ずっとチャンス待った。ストライカー無理だって言った。もう帰せるの、アンタたちしかいない」


 正座しながら組んだ手の平をそのまま広げてお腹に付けて。何度も言葉を止めながらも、止めたのから出す時はその頭を強めに出してる。そして、顔は兵頭彩芽に向けてなくて、ただずっと一番下って程じゃないけど、伏せたまま話してた。


 さらに、その顔も上瞼を細かく震わせたままいて、話を止めている時でもそこを何度も細かく結びなおしてる。それに対して、言われた側は声を出さないで今も静かな時間だけが過ぎてた。強いていうなら一度息を吸い込む音がしながら、足の組んでた上下を入れ替えてるくらいだった。


 しばらく、ただ僕が離れてたところから、背もたれみたいに僕の背よりも高く伸びてる岩肌に体を持たれかけさせながら、手の片方も平をくっつける感じでいる。

 それに対して、数秒間続いた後。兵頭彩芽の方から体をまた前のめりにしてるみたいで、前髪と指がぶら下がるように見えてた。


 そして、横側から見てるけどその後ろ側に影が出来てない。


「こいつ」


 女性の前で上の部分を親指と折り曲げた人差し指で挟んだ写真で何度か音を立ててる。それと一緒に、持たれてる側も揺れる。そして、それを聞くなりすぐに顔を上げた女の人が両手で奪い取るくらいの勢いでその写真を両方の手にする。それからまた顔を下げてその写真を覗き込んでた。


 そのどっちの時も僕の視点からだと写真の中身が見えることはない。でも、僕は体を寄せることもしないで、顔も体も向きを変えて背もたれに背中を押し付けながら洞窟の天井を見上げる。


 そこも地面だったり壁なんかと同じ色になってるだけ。でこぼこしてる形はどこも一緒の形なんかないけど、だからと言ってその様子が僕や兵頭彩芽が座ってるそれらと何かが違うなんてことはない。


「橘薫子って知ってるか。こいつの手下を狙、探してる」


 話の途中で1回せき込んで話を止めてたけど、それで体がさっき以上に前のめりになったせいで、その瞬間だけ兵頭彩芽の後頭部の結構な範囲がこっちからでも見えるようになってた。

読了ありがとうございます。

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