野良オカマ
「……ということで、アデル様! 今日からこの方が私の専属の服飾係、そして人生の師匠になります! どうかよろしく!」
明くる日、屋敷に戻った私が隣に立ったステイサム師を示すと、アデル様は物凄くげんなりした表情で私とステイサム師に視線を往復させた。
「……なんだかコソコソ王都に出かけていったと思ったら、これまた物凄いのを連れてきたな……。野良犬か野良フェンリルを拾ってくるぐらいは覚悟していたけれど、野良オカマを拾ってくるかぁ……」
「あら、野良じゃないわ。これでも一応自分の店も持ってるし。王都ではそれなりに引き合いも多いのよ? ナメんじゃねぇぞ、小僧」
ニヤリ、とステイサム師は挑みかかるように笑う。
その笑みにアデル様が何だかゾクッとしたように表情を強張らせると、ステイサム師が一転してうっとりとした表情になる。
「しかし、噂には聞いていたけど本当にいいオトコ……男前、ってこういう顔のことを言うんでしょうね。グレイスちゃんには勿体ないと思えるぐらい……」
ススス、と、実にスマートな所作でステイサム師の右手がアデル様の頬に周ると、アデル様がギエッと悲鳴を上げた。
「うわ、うわわわわ……! ご、ごめんなさい! 私、そっちの趣味はなくて……! あ、あの、多様性が求められるこんにちの社会であるとは思っているのですが、その、個人的にそういうポリティカルにコレクトネスなことにそこまで感心は……!」
「あら、ポリティカルにコレクトネスじゃなくても、セクシャルにコレクトネスなことはあるわよ。……全く、私も前世のまま女だったら若いツバメとして仕込んであげられたのに……」
「わっ、若いツバメ……!?」
「ちょちょちょ、師匠! ダメですよ! この人は私の旦那様なんですから! 手を出したらいくら師匠でも怒りますからね!」
と、とりあえずではあるがステイサム師という強力なブレーンを手に入れることもでき、こうして私の本格的な「お飾りの妻」ライフが始まったのである。
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