竜と姫 海での探し物
王女アレサが海岸に立っていると、子供が一人座り込んでいる。
彼女はその子に声をかけた。どうやら海に物を落として困っているようだ。アレサは一人海に潜って、その落とし物を取りに行くことにした。
彼女は口笛でドラゴンを呼び寄せる。
「ひえっ!」
「大丈夫よ。別に嚙みついたりしないから」
そう言ってアレサはドラゴンにひるんだ少年をなだめた。 彼女はさっとドラゴンに飛び乗る。
「私が良しというまで上昇したら、水面に向かって急降下して。頼むわよ、ゴラン」
「わかった。くれぐれも溺れないでくれよ、アレサ」
ゴランはアレサの言葉にうなずき、上空に向かって舞い上がった。
「ここまででいいわ。」
彼女がそういうと、ゴランはすぐに急降下を始めた。アレサの目の前に猛スピードで水面が迫ってくる。着水する寸前くらいの高さで彼女は飛び降り、海中に沈んでいった。
アレサは潜ってもなおかなりのスピードで深く深く沈んでいく。
やがて海の底が彼女の視界に広がったきた。
(この辺りに転がってるはず・・・・・・)
彼女が辺りをつけて探していると、目当ての物が見つかった。アレサはそれを拾い、素早く浮上する。海面にまで上がったところで、彼女は子供の待つ岸辺に向かって泳いだ。
彼女は手に持っているものを子供に見せると、子供は大喜びだった。ありがとう、と子供は笑顔でアレサの手から落とし物を受け取った。
不意におーい、おーいと声が聞こえた。声色からすると、女性が二人だ。テレジアとキルエリッヒである。二人はアレサのそばに駆け寄ってきた。