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ファンファーレ

 ファッファッファッファーーーーーン!


 という感じでラブホテル「紗々」205号室にファンファーレが鳴り響いた。

 もちろん群青などでは無い。


 あのアニメひどかったねぇ。


 内容もそうだけど、途中のCMでその回のネタバレしちゃうところが。

 あれはアニメの制作以外の部分でも、何かおかしかったんだろう。


「おめでとうございます! あれ? 私、どうしてこんなことになってるんです? フェアリー族みたいな、優美な姿で現れるはずなのに! 飛べないし!」


 室内にムータンの声が響く。

 今回のテストプレイに際して、ムータンをガイド役に任命したんだけど、早々に不具合が発生したらしい。


「フェアリーって、妖精って事? あのねぇ、あんなのが飛べるはずじゃ無いじゃない!」


 突然、ベッドに腰掛けていたマイが応じた。


 キチンと服は着てる。


 いや、このことについては整合性がないと思われても仕方が無いことは認める。


 でも、謎の光さんや黒ベタとかに活躍されるよりも、露出度の高いマイの格好の方が楽じゃない?


 いやそれよりも、いきなり文句を言われてしまった。


 おかしいな。


 今の状態って現地人にとっては、不思議に感じてくれる予定だったのに。


 いや……確かに、不思議だと感じてくれているらしい。


 マイが怪訝そうな表情を浮かべている。


「とりあえず、声がしてるのはこれだね」


 タケルが、ソファに置いてあった赤いビロードのクッションを持ち上げた。

 そのままクッションを、マイへと投げる。


「な、なにするんですか~?」


 と、ムータンのはかなげな声が響く。


 あれ? この世界って何だか飛べるんじゃないの?

 Vivyなんか、翼も付いてないのがプカプカ浮いていたぞ?


 あの一つ目のサイクロップス(首だけ四角)みたいな奴が……これもまた想定外だな。


 そして想定外が起こっているけど、マイがようやく不思議を感じてくれたようだ。


「ええっと、つまり、盗聴器が……ああ、それだとおかしくなるのか。でも、とりあえず、このホテル訴える?」

「訴えるにしても、証拠は確保しないと。でもこのクッション破くと、ややこしい事になりそう」


 あ、いかん。

 

 こっちまで戸惑ってる場合じゃなかった。

 やっと現れた、テストプレイの資格保有者達なんだ。


 ちゃんと説明するように、ムータンに指示を出さなくては。


「あ、ああ、そういうのは大丈夫ですから。私がこの部屋に現れたのは、そういうマジックセンスに反応したからで、行為を監視していたわけでは無いですから」

「何言ってるのか、さっぱりわかんないんだけど。それに時間が――」


「それ大丈夫です。そのあたり切り離されているので」


 正確に言うと、時間の流れがあやふやになってるんだけど、それを上手い具合にコントロール出来るんだよね。このラブホテル限定なんだけど。


「ああ、確かにちょっとこれはおかしいかな」


 タケルがスマホを取りだして、タイマーを起動させていた。

 カップ麺とかに使うんだろ?


 それは知ってる。


 そのタイマーが今、時を刻んだり刻まなかったりしているわけで。

 時には元に戻ったり。


「……これってどういうこと? タケル、あんたが何かした?」

「こんな面倒な事しないよ」


 やりかたもわからないし、と付け足しながら、タケルが自分で投げたクッションを持ち上げる。


「そんなことより、監視してないって本当? マイちゃんを録画とかしてない?」

「“ろくが”ってなんですか?」


 その辺りの単語はムータンに教えてないのよね。


 もちろん、そんな事はしていない。

 そういうサービスは予定してないし。


 ただ、教えてなかったことが今回は想定通り、上手く転がったようだ。


 二人は顔を見合わせて、ムータンの声の様子に嘘を感じ取れなかったのだろう。


 その辺りを見込んで、ムータンにガイド役に任命したわけだ。


 ムータンの声は……そうだなぁ。やはり木野日菜さんが一番似てると思われる。


 ちなみにマイの方は石原夏織さんで、タケルの方は市川蒼さんが似てるかな。


「……マイちゃん、とりあえず話を聞いてみる? まず出られるかどうかもよくわからなくなったし」

「ああ、そうね。仕方ないのかも。ボロが出るかも知れないし」


 タケルの方は、少し乗り気みたいだ。

 マイは警戒を解くつもりはないらしい。


 このあたりで二人の性格が見えてきた感じかな。

 とりあえず、ムータンを通して手続きを進ませよう。


 まずは自己紹介だな。クッションに自己紹介させるのは何だか絵面がおかしくなるけど……これは、要検討だな。


「お話聞いてくれるんですね。私はムータンと言います。カルバッハ商会のメンバーです」

「カルバッハ商会?」


「はい。ええと……ですねぇ」


 ガサガサッと音がする。

 段取りが悪いなぁ。


「……ええと、こちらは地球なんですよ」

「はい?」


 マイが何を言っているんだという表情を、クッション(ムータン)相手に浮かべた。

 確かに、このムータンの言い方では混乱するだけかもしれない。


 ……キッチリと原稿作った方が良かったかもなぁ。


「でも、私たちのいる世界は地球じゃないんですよ。私が今いる世界は、フォテールンと呼ばれています」

「そういう星なの?」

「ええと、そこは判明してないということらしいです」


 質問が想定内に収まってきた。

 いい感じだ。


 クッションがムータンの声に合わせてフカフカしてるのも、それなりに説得力があるな。


「よくわからないわ。聞いたことない名前ばっかりだし。とにかく地球じゃないと」

「そうですそうです。つまり、私たちのいる場所は――」


「異世界か」


 タケルが決め台詞を盗ってしまった。

今回から、連載のフォーマットになります。

だいたい二千字前後で。こういうセルフツッコミありみたいな文体で。

十本ぐらいストックあります。想像力が必要なパートも。


ところで、キャラのCV書いちゃうの商業ベースでもあったので(けんぷファーがやってた)ありなんだろうなぁ、と思いつつやはり削除対象になりますかねぇ?(もはや他人事)

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