夏のラブホテル
とりあえず、季節をお伝えしよう。
夏である。
そして経験者は知っておられるだろうが、大学生の夏休みは異常に長い!(地域差があります)
これで授業料が一番高いのだから、納得いかない人も多かろう。
夏休み長くていいじゃん!
……などという考え方は、素人である。
おおよそ一般的な大学生活を送っていると、この夏休みの間がとにかく暇になるのである。
そういう事情もあって、大学生で幼なじみで恋人同士のタケルとマイ。
少しだけ遠出して、ラブホテルに行くことを思いついた。
何しろ、それぞれの家の距離が近すぎて、互いの家で事に及んでも、あっという間にバレてしまう。
いや、バレるのは今さらなのだが、夏休みの暇に任せてほぼ毎日では、家族からはジト目で見られてしまい、座り心地が悪くなってしまうというわけだ。
そこで、高速道路脇のラブホテルに徒歩で向かうという意表の突きかたで、環境の変化を求めた。
タケルはいささか猫背気味の中肉中背。フツメンと言うことで良いだろう。
だが、さすがに彼女がいることもあって、半袖カッターシャツにジーンズという、こざっぱりした出で立ちだ。
目的地がラブホテルなので、出で立ちにはあまり意味は無いかも知れないが。
マイの方は、小柄でありながら目を引くような美人ではある。
いささかきつめではあるが。
外ハネのボブカットで、赤系のヘアカラー。
ライトグリーンのキャミに、ミニのジーンズ。
形よく伸びた脚。白のミュールがよく似合っていた。
意を凝らしたネイル、イヤリング、ブレスレットとアクセサリーも装備しているが、ペンダント等は見当たらない。
なぜなら、マイをもっとも特徴付けているのは、その胸部装甲であるからだ。
端的に言うと大きいのである。突きだしている。
効果音はきっと、
るんっ!
という感じが似合う感じだ(ひらがなで柔らかさを表現)。
マイの父親からは、
「トランジスタグラマー」
と言われ(その発言の後、その父親・貴文氏の安否が案じられる)、タケルの父親は「ロシュの限界」と呟くことで、危機を脱している。
※「ロシュの限界」
巨大な天体同士の相互作用に対する名称。ただし、タケルの父親が覚えているのは「分裂守護神トゥインクル・スター」というエロゲー由来なので、当たり前にアテにしてはいけない。
そして、タケルとは違って、服に意味が無くなるラブホテルであっても、マイの存在には意味があるだろう。
さて、そんな二人がラブホテル「紗々」で部屋をとった。
それが、きっかけである事は間違いない。
そして、二人の運命が変わるのは事が及んだ“あと”のことになる。
読み進んで下さればわかると思いますが、ここだけ浮いてるんですよ。
その言い訳は先の方でしてるので、堪えて下さい。