表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者に挑むは無職の少年  作者: nauji
第一章
41/230

SS-8 女騎士は見舞う

 2つある教会の内、1つは臨時の救護所と化していた。


 寝かせられているのは、いずれも部下の騎士たちばかり。


 この不始末では、団長に合わせる顔が無い。


 指示の通りに、最優先で街路の修繕を終えはしたものの、教会は未だ修繕中。


 不幸中の幸いと言うべきか、破損した宿舎の人数分以上に、救護所で寝ている人数の方が多い。


 強かった。


 全力を出し切れなかった感は否めないが、出せていても勝ち得たかは怪しいもの。


 情けないことだが、あれが最上位の魔族なのだと思いたい。


 そうでなければ、人族が魔族に勝つのは困難を極めるだろう。


 しかし、こうして思い返してみれば、色々と疑問が浮かんでも来る。


 あの2体が姉弟だったとして、弟の方は人にしか見えなかった。


 魔族ならば見た目で判別できたはず。


 ローブに隠れた体の方に、その特徴があったのだろうか。


 姉に至っては、その容姿すら視認することが叶わなかった。


 人ならざる力や姿を見せたのは弟の方。


 姉も同族ならば、先の戦闘では実力を発揮していなかったことになる。


 強くならなければ。


 魔族の侵攻は絶えて久しい。


 とは言え、魔王を筆頭とした魔族や魔物が人族に敵対的なのは周知の事実。


 異なるのは、あの本の内容ぐらいか。


 勇者が魔王となるなんていう、荒唐無稽なおはなし。


 読み物としては面白いが、そんな史実は聞いた覚えが無い。


 あの本では、どちらかと言うと人族の方が魔物を虐げていた印象を受ける。


 でも事実として人族は王都を追われ王国は崩壊し、生活圏を南西へと移動せざるを得なかった。


 世界を隔てる世界樹群を排除し、魔族や魔物を一掃する。


 そうしてようやくの平和が訪れるはずなのだから。






 襲撃から2日が経過した。


 騎士たちも目を覚まし始める。


 副団長代理もその内の一人。



「ようやくお目覚めか」


「これはこれは、副団長殿。態々見舞いに来ていただき恐縮です」


「頭部を強打されたと聞いたが、まともにはならなかったらしいな」


「酷い言われようですね。この分だと猊下はご無事のようですかね」


「戯言は終いだ。敵に関して報告しろ」


「と、言われましてもねぇ。どうやら子供の力は時間制限付きのようでしたね」


「詳細を」


「黒い靄みたいなのが体から剥がれて、元の姿に戻ってましたね」


「他には?」


「あまりハッキリと確認はできませんでしたが、子供の隣に黒い犬が転がっていた気がします」


「犬……? 駆け付けた騎士たちからの報告には無かったが」


「その後すぐ、副団長を倒したらしい魔族に倒されちゃいましたね」


「容姿は確認できたか?」


「いえ。ただ、どうにも子供に自分を倒させたいみたいな口振りでしたね」



 あの弟の方か。


 確か、勇者に妙な反応を示していた覚えがある。


 かつて勇者が魔王を倒してみせたことで、魔族側が勇者を警戒している可能性は十分に考えられるか。



「魔族に目をつけられたか」


「厄介な天職に生まれついてしまいましたかね」



 相変わらず勇者らしくない。


 不真面目と言うか、何事に於いても緩い。



「休養もこれまでだ。今日中には全員目を覚ますだろう。全員が揃ったら伝達事項がある」


「今回の件の処罰ですかね?」


「それも含めてだ。ワタシは警備に戻る。こちらのことは任せる」


「了解です」


「言葉遣い」


「おっと、承知しました」



 まったく。


 聖都に残していくのも不安だ。


 団長にご迷惑をお掛けしないだろうか。


 いや、きっとするだろうな。


 交代までの間に、矯正してやらねばなるまい。






本日の投稿は以上となります。

次回更新は来週土曜日。

お楽しみに。


【次回予告】

連日の疲れを癒すため、休むはずだったのだが……


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!

『勇者は転職して魔王になりました』 完結しました!

気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ