未来へ…(建国王と公爵家初代様)
初めて書いた小説が、沢山の人に読んでいただけて、びっくりするとともに本当に感謝しています。
何かお礼を、と思いましてこのようなものを。(ジャンルがこれでいいのか全然分からないですが…)
(3.24 会話を一部修正)
燃えるような赤髪と、それとは対照的な、透き通るような青色の目をした一人の青年が微睡みの中から目を覚ます。
厳しい戦火の中にあって、ここのところは常に張り詰めた表情をしていた彼が、珍しく顔を綻ばせている。
側で控えていた、銀髪で、自身の家名を象徴するような緑の目をした隻腕の青年が、珍しいものを見た、といった様子で声をかける。
「どうした?我が王よ」
「…夢を見ていたんだ。私と同じ色の瞳を持つ黒髪の小さな男の子が、悪意に囲まれ、たった一人で戦っていてね。とっても勇敢な子なんだけど、あまりに狡猾な相手を前に負けそうになっていて。そこに、君と同じ色を持つ女の子が現れて、その子を助け出す、っていう夢を」
「それはまた不思議な夢だ。興味深い。だが、思い当たるような子はいないな」
「うん。どこの誰だか分からないけど、でもとてもいい子達だったよ。ああいう子達を守るためにも、もうひと頑張りしようと思えるほどにね」
「だったら今は、俺達の『この地に千年の理想郷を築く』という目標についてだ。今が正念場で、ひいてはここからの行動が大事だろう。目の前の戦いに集中するべき時だ」
「分かってる。ああ、そうそう、そういえば君も随分短剣の扱いに慣れてきたようだね。以前より強くなっているんじゃないか?…それにしてもまったく、私を庇って片腕を失うなんて、本当に無茶をしてくれる。それなのに武器を持ち替え、片手に特化した戦い方でまだ戦場に立つとは」
「これくらいどうということはない。元々、あらゆる武器の扱いは一通り身につけていたんだ。重心のズレはもう慣れた。むしろ今のほうが身軽でいいくらいだ」
銀髪の青年は、平然と応えつつ、
「それより、無茶をしているのは貴方のほうだろう。御身を顧みず単身、怪物共の群れの中に飛び込み、あまつさえ民の為に動けなくなるまで神力を使い果たすとは。あのときは、こちらは生きた心地がしなかったぞ」
と、チクリと刺す。
「これは痛いところをつかれたな。すまない。で、話を戻すんだが、今の君の戦い方に合うような、とっておきの剣を贈らせてくれないか。君のその忠義に報いたいんだ」
「…また無駄に神力を注ぎ込んで、とんでもない物を造る気じゃなかろうな?」
ジト目で赤髪の王を眺め入ると、彼はフイと目をそらし、言い訳をする。
「いいじゃないか。君のその身を守ってくれるんだから。そう言うんだったら、これから生まれる私の子孫を、その剣を受け継ぐ君の子孫がずっと守ってくれればいい」
「まったく。ならば約束しよう。俺と俺の子孫は未来永劫、貴方の血を受け継ぐ王家を守り抜くと。貴方の剣を楽しみにしているよ」
「任せてくれ」
赤髪の彼は、とても嬉しそうに笑う。厳しい戦況のなか、ずっと張り詰めていた空気がいつの間にか適度に弛緩し、少し離れた場所に控えている他の家臣たちも安心した様子だった。
この王は、いざ戦場に立てば、猛々しい咆哮で味方を鼓舞し、敵には悪夢を齎す半神半人の英雄なのだが、彫刻を楽しみ、それによって心を安らげる一面も持っている。果たしてどんな剣が出来ることやら、と隻腕の忠臣は一抹の不安を感じながらも、楽しみにもしていた。
そのとんでもない剣が、後に一人の少女を導き、王家の未曾有の危機を救い出すこととなるとは、この時は誰も想像していなかった。造った本人さえも。