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ベイクドモチョチョ殺人事件

作者: みなもとあるた

「そんな…まさか佐藤さんが本当に殺されてしまうなんて…」


「くそっ!これじゃ脅迫状に書かれていた内容の通りじゃないか!俺たちがもっとしっかり警戒していればこんなことには…」


「みんなちょっと待ってくれ。遺体のそばに何か落ちているんだが、これってもしかして…」


「ああ間違いない。やっぱりこれは今川焼きだ」


「な、なんで遺体のそばに回転焼きが落ちているんですか…?もしかして、佐藤さんが亡くなる直前に食べていたとか?」


「いや、その可能性は低そうですよ。なぜなら、ここに落ちている大判焼きには歯形らしき形跡が全く残っていませんからね」


「そういえばこの御座候(ござそうろう)、完全に冷たくなってしまっているな…もしかしたら、佐藤さんが殺されてからかなりの時間が経過しているのでは?」


「二重焼きが冷めるほどの時間ということは、すでに結構な時間が経過しているということですね」


「昔よく七越まんを食べるときに口をやけどしたなぁ。中のあんこがずっと熱いままなんですよね。それが冷たくなっているということは、少なくとも30分は経過していそうですね」


「じゃあ犯人は、焼き饅頭が冷めきる時間、つまり30分から1時間くらい前に単独行動をしていた奴って事になるな」


「なあみんな、ここをよく見てくれないか。佐藤さんの死因はおそらく頭に強い衝撃を受けたことによる脳挫傷なんだが、よく見ると頭のところに丸い跡が残っているんだ。これってもしかして、そこに落ちている浅草焼きが原因でできたんじゃないか?」


「それってつまり、佐藤さんはおやきで殴られて殺されたってことですか?」


「そんなまさか!あじまんみたいな柔らかいもので殴られたって、人間はケガさえしませんよ!」


「いえ、ある方法を使えば、小判焼きを人間を殺す凶器に変えることができるかもしれません」


「太鼓まんで人を殺す…?一体どうやって?」


「例えばここに落ちている蜂楽饅頭が、もともと冷凍されていたとしたらどうなるでしょうか?」


「そうか!車輪餅をあらかじめ冷凍しておけば、人を殺すのに十分な硬さを持った凶器として使えるってことだな!」


「なるほど…満月焼きは温かいものだという先入観を利用したトリックだったのか…!」


「そういうことです。犯人は冷凍した円盤焼きで佐藤さんを殴って殺害し、アリバイ工作のためにわざとそれを現場に残していった…」


「それを見た私たちは、あたかも佐藤さんが殺害されてから黄金饅頭が冷めるほどの長い時間が経過したと錯覚してしまったということですね!」


「本当だ!落ちていた七尾焼きを割ってみたら、中心の方はまだ凍っているぞ!」


「ということは、犯人が三笠焼きを使って佐藤さんを殺害してから、まだそれほど時間は経っていない…!」


「我々が佐藤さんの遺体を発見する直前に姿を消していた人物こそ、冷凍したあまやきで佐藤さんを殺害した人物に他ならない。つまり、あなたが犯人です」


「ふっ…そこまでお見通しとはな…そうさ、俺が佐藤をベイクドモチョチョで殴って殺したのさ」

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― 新着の感想 ―
[一言] ベイクドモチョモチョで人殴るの難しそう
[良い点] 天才。
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