邪神が危ない×⇒邪神を倒す正義の戦い○
勇者オルトと、エリオット、ジオルド達はしばらく、アシュッツベルク公爵家に滞在させてもらった。
雨がやまず、オルト自身、魔法が使えず、転移魔法が発動出来ないので、戻るのに時間がかかりそうだったからだ。
このまま、魔法が使えなかったらどうしよう…
ふと、窓の外を見れば日が差し込んでいる。
雨が止んだのだ。
そして、窓ガラスがいきなり割れて、丸めた紙が投げ込まれた。
慌ててオルトが拾ってみれば、
-お前が愛する女どもを預かっている。取り返したければ、邪神の山へ来るがいい。-
「シャルディア様がっ????」
手紙を握り締めて、慌てて廊下へ出れば、エリオットとジオルドとばったり会って。
「どうした?」
「何があった?」
二人が聞いてくる。
オルトは説明する。
「どうもシャルディア様がさらわれたらしい。俺は助けに行かねばならない。」
手紙を見せれば、エリオットが。
「女ども??複数系だな。」
ジオルドも首を傾げて、
「何故に複数系?巻き込まれた女性がいるのか?」
シャルディアが今、どこにいるかと言うと…
あ…エリオットの妻の所にしばらくいると言っていたような…
エリオットは真っ青になって。
「妻が共にさらわれたか?」
ジオルドも青くなって。
「うちの妻もシャルディア様に会いたいと言っていた。もしかして巻き込まれてしまったのかもしれない。」
そして、二人は口を揃えて。
「「邪神が危ない。」」
そして首を二人して振って。
「セリフを間違えた。巻き込まれたのなら、助けにいかないと。」
「そうだな。」
すっかり二人のテンションに置いてきぼりになったオルト。いつもの事だが。
「邪神の山は地図によると、ここから馬車で一日位だ。」
そこへ、通りかかったアシュッツベルク公爵テリアスが声をかけて来て、
「私なら一時間位で運ぶことが出来るが。」
「え?」
「今から飛ぶか…コリーヌ。」
公爵夫人であるコリーヌを呼びに行くテリアス。
「はい。何でしょう。」
「風呂敷を持ってきてくれ。これから飛ばねばならない。」
「解りましたわ。お供いたします。」
皆、思った。
「風呂敷???」
何に使うんだろう。
外に出ると、いきなりテリアスは脱ぎだした。
皆、驚く。
何故にここでストリップ????
美男のストリップより、美女のストリップの方がいいに決まっているが…
テリアスは素っ裸になる。
鍛え抜かれたその身体に柔らかい銀の髪が背にかかって、
美しい…美しいが…
男ではなぁ…
三人の意見は一致した。
テリアスが脱いだ服をコリーヌは手際よく畳み、風呂敷に包むと背に背負い。
「それではテリアス様。皆様、参りましょう。」
「では、行くぞ。」
テリアスはいきなり飛び上がり、その身体は輝いて巨大な白竜になる。
コリーヌが3人に向かって、
「邪神の山までテリアス様が連れて行ってくれます。さぁ乗りましょう。」
白竜に乗って、邪神の山に向かうオルトとエリオットとジオルド、そしてコリーヌ。
しばらく飛んでいくと、不気味な山が見えて来た。
そこに、シャルディア、そしておそらく巻き込まれたエリオットの妻、サリアと、ジオルドの妻、イデランヌがさらわれてしまっているのだ。
3人の愛しい女性達を…か弱き?女性達を助け出さないと。
邪神の山にぽっかりと開いた洞窟。そこから邪な気が感じられる。
テリアスから降りると、オルト達3人はその洞窟へ入っていった。
コリーヌに風呂敷から服を出して貰い、服を着たテリアスとコリーヌも心配そうに後からついて来る。
エリオットが二人に、
「危険だ。二人は外で待っていてくれ。」
テリアスが真剣な口調で、
「私も役に立ちたいのだ。」
コリーヌも頷いて。
「私は不思議な物が見えます。何か役に立てればと…」
開けた場所に出れば、そこに身体中が鱗で覆われて、鳥の羽を生やした化物が、椅子に座っていて。
その前に3人の女性達が恐怖で震え…いや違う。
邪神と共に、優雅にテーブルを囲んでお茶を飲んでいたのだ。何故かケーキまで用意されている。
オルトが走り寄って、
「邪神っ。シャルディア様達を解放しろ。」
邪神は立ち上がり、
「待ちくたびれたぞ。女どもは我儘し放題、困っていたのだ。」
サリアが紅茶を飲みながら、
「我儘だなんて。茶の一つも出せといったまでだ。」
イデランヌもケーキを食べながら、
「そうよ。もう、待ちくたびれたわ。いつまで待たせるのよ。ジオルド。」
シャルディアが立ち上がって、
「ああ、勇者様。お待ち申し上げておりました。わたくし、怖くて怖くて。」
と言いつつ、テーブルに紅茶やケーキ。雑誌が置いてあって、くつろいでいた様子が見てとれるのだが。
邪神が叫ぶ。
「さぁ、オルト。いや、邪神オルベルト。今日こそは我が仲間になって貰うぞ。」
「俺は勇者オルトだっーーー。」
聖剣を構える。
シャルディア達はエリオットとジオルドに誘導されて、洞窟の端へ移動させられた。
オルトは飛び上がって、聖なる剣で邪神に攻撃をする。
ここで懸命なる諸君。(いるのか?)
電卓を用意しよう。邪神の体力が100だとする。(ちなみにこの数値はコリーヌにしか見えていない)
オルトの攻撃。
ドスっ。邪神のダメージ5
エリオットの攻撃。
ドスッ。邪神のダメージ4
ジオルドの攻撃
ドスっ。邪神のダメージ4
テリアスの攻撃
ドスっ。邪神のダメージ3
再びオルトの攻撃
ドスっ。邪神のダメージ5.5
邪神の攻撃
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴっーーー。
皆避けて、ダメージ0
エリオットの攻撃
ドスっ。邪神のダメージ4.5
ジオルドの攻撃
ドスっ。邪神のダメージ4.5
サリアの乱入
ドスっ。邪神のダメージ10.5
イデランヌの鞭
ビシっ。58.9999999
邪神の悲鳴っ。
ギャアアアアアアアアアっーーー。
エリオットが叫ぶ。
「邪神が弱って来たぞ。ここは勇者殿。とどめを。」
勇者オルトは聖剣を構え、
「勇者オルトの名にかけて。邪神を成敗する。」
聖剣が輝いて、
ドスっ。
邪神のダメージ20
うぎゃああああああああああっーーーーーー。
邪神の身体は大爆発を起こした。そして、洞窟がお約束のように崩れる。
皆、急いで外へ避難した。
シャルディアがオルトに抱き着く。
「さすが勇者様。凄いですわ。」
エリオットもオルトの肩を叩いて、
「さすが勇者オルト。凄い攻撃だった。」
ジオルドも必死に頷いて、
「ああ、素晴らしい。本当に勇者殿の攻撃は素晴らしい。」
イデランヌが鞭を手に、
「邪神の部屋にあったんだけれど、とても使いやすい鞭ね。今度、ジオルドを調教するのに使おうかしら。」
ジオルドは真っ青になる。
「いや、それは勘弁してくれっ。マジで…」(おそらく確実に俺は死ぬ。)
コリーヌは思った。
最後の勇者様の攻撃、あれ要らなくない?私でも邪神、確実に倒せたような…
言わぬが華って事もある。
黙っている事にした。
こうして、皆の活躍で人間界の平和は守れたのであった。
これ、コメディだよねと作者は思うんだけれども、勇者オルトが泣きながら、
これは俺と、シャルディア様の熱い恋愛物語だ。と言うので、恋愛にしておきます(笑)