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☆アルヴィン君の悪癖
それは、食堂での一コマ。
その日も、いつものように、皆で昼食を摂りながら、くだらない話で盛り上がっていた時の事。
『親切なお友達』からの情報で、あちこちの事情に詳しいレヴィちゃんが、ふと思い出したかの様に言った。
「そういえば、皆さん、ご存知?上級生の実践授業で、遺跡の探索があったらしいんですよ。そこでさっき、また遺跡の暴走があったんですって。怖いですわねぇ。」
「え?それって入試の時みたいな、ですか?」
私が返す。
「あぁ、あの、お前達の時だけゴーレムが暴走した件かぁ。原因不明だとか言ってたよな。」
アリ君が言う。
「あんた達も災難だったわよねぇ。」
「うん。ホントに。」
クレアさんとリースさんが同意する。そんな話をしていた時だった。
「おぅ、みんな、ここに居たのか。探したぜ。」
元気な声と共に、アルヴィン君が食堂に飛び込んできた。
「あら、アルヴィン君、どうしたんです?何だか楽しそうですけど。」
私が問うと、彼はとびきりいい笑顔で言った。
「ふふふふふ。驚くなよ~。実はな、お宝が手に入ったんだよ♪いいだろ~。」
「お宝、ねぇ。詳しく聞きたいですわね。」
レヴィちゃんが、一段低い声で問うた。
「ジャジャ~ン♪これだゼ♪」
どや顔で言うアルヴィン君。
皆の前に置かれたのは、綺麗な模様の刻印された、拳大の大きさの、丸い卵の様な物だった。
一瞬、私達の囲むテーブルは、シンっとなった。
ワナワナと何かを堪える様に、レヴィちゃんがアルヴィン君に問う。
「アルヴィン君、貴方、一体、何処でコレを手に入れて来ましたの?」
「いやぁ、いいだろ、コレ。まだ鑑定とかはしてねぇんだけどよ。トレジャーハンターとしての、俺の初ゲット品♪」
実に嬉しそうに彼は答える。その悪意の無い天真爛漫さは、清々しいほどで、とても好感が持てる。
「とても嬉しそうですね、アルヴィン君。トレジャーハンターだったんですか?」
私は、とりあえず疑問に思った事を聞いてみた。
「おぅ。まだ見習いだけどな。さっきの遺跡で採ってきた。」
ニカッと笑って答える彼。だけど、更なる疑問が浮かぶ。
「トレジャーハンターですかぁ…。ところで、私達、まだ下級生ですが、遺跡に潜る様な実践授業、ありましたっけ?」
「無いよ。」
凍える様な笑顔で、リースさんが答えた。
ん?
何だか妙な単語を聞いたような…。
「え?見習い、とおっしゃいましたよね。授業で手に入れた成果の披露なのではないのですか?」
私が疑問を口にする。クレアさんが、
「アルヴィン君、貴方、上級生の講義に潜り込みましたね?」
と聞いた。
「おぅ。良く分かったな。そうだゼ♪」
アルヴィン君は、悪戯っ子の笑顔で答えた後、
「それが分かるって事は、クレア、おめぇもやってる口だな。」
と反撃した。
「当然よ。」
クレアさんが答える。
「駄目でしょう、それ!!」
と、ツッコミをいれる私。でも、私以外の皆が言った。
「「「「「え?やるだろ。(やるでしょ。)」」」」」
私は驚愕して固まった。
「なっ…なんでっ…?!」
あわあわと言葉にならない私に、皆は口々に言う。
「「「「「「だって…」」」」」」
「いい男を物色するためよ。」
「将来仕えるべき主の為に、満足のいく知識を得るためだな。」
「『親切な友人』を増やす為ですわ。おほほほほ。」
「忍び込む練習の為だよ。」
「早く遺跡に潜りてぇんだもん。」
と、五者五様の答えが返ってきた。
「学ぶ過程を飛ばしちゃいけないと思います。」
私が返すと、アルヴィン君が悪びれもせずに、
「まぁ固い事言うなって~。」
と言う。
すると、後ろから、びっくりする人から声がかかった。
「そや。トリスの言う通り、むやみに過程を飛ばしたらあかんでぇ。バレたらえらい目見せる先生もおるからな。」
アルヴィン君の後ろから、私達に声をかけた人物。
それは、ジョン先生だった。
ジョン先生は、すっと手を伸ばして、件の卵型の石(?)を手に取った。
「アルヴィン、上級生に混じるんはまだええ。けど、コレはあかんで。ここだけの話し、コレ、遺跡の制御装置の一部やねん。コレ持って行くんはあかんわぁ。」
後半、少し声を落としたジョン先生が言う。そして、
「今回はコレを返して貰う変わりにお前らのソレ(上級生に混じる行為)は聞かへんかったことにしたる。神々の欠片を宿しとるお前らに、基礎の基礎はつまらんかも知れんとも思うしな。ほなな。」
と後ろ手をヒラヒラと振って食堂を出て行ってしまった。
茫然とする私達。
深く聞かずに気付かなかったけれど、私の友人は皆、神々の欠片を宿していたらしいです。
旧式の投稿方式を訂正しつつの校正なんですが、昔の自分、未熟だわ~。
今もあんまり文章書くのうまくないし、面白い話が書けたりするわけでは無いけど、勢いしかないわ~。
手直ししたいってなるの。