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トリスの日記~私の世界の歩き方~  作者: 春生まれの秋。
26/37

26、

26、


不安な夢を見てから、気にしない様にしていたけれど。

産毛がチリチリする様な不自然な感じは、少しずつ強くなっている。

初めは、私の精神の不安定さ故のモノかと考えていたのだが。

どうも、そうではなさそうだった。



講義が休講になる事こそ無かったが、先生方が、何やら忙しそうなのだ。いや、ソワソワして、落ち着かない、という感じなのかも知れない。ヒトの感情に疎い私には、明確に、先生方の感情が何なのかは分からない。

だが、先生方の纏う空気が、何だか揺らいでいる、というか、あまり良くない感じになってきている、というか。

世界の僅かな揺らぎが、先生方に集まったのか。

それとも、先生方が、世界の揺らぎを引き寄せたのか。


それは分からなかったけれど。



私は、何だか『ようやく馴染んできたテリトリーが、何者かに乱されている様な』とでも表現すれば良いのだろうか。日々増していく、そんな居心地の悪さを感じていた。





そんな私を見兼ねて、という訳ではなく、単純に、先生方の注意が散漫になっている、というのが主な理由で、アルヴィン君が何時もの問題行動(面白そうな案件)を提示してきた。


「なぁ、この大学の図書館、立ち入り禁止区域があるだろ?見てみたくねぇ?」



「禁止されてるって事は、見てほしく無い物って事なのでは?」



「相変わらず、トリスは規則に固いなぁ。そんなのは、気づかれなきゃ良いんだよ!未知なるモノを探るって、ロマンだろ?」



「えっ?でも、いけないって言われるのには何か理由があるのでは?」



「その理由すら秘密にされるとな、何故駄目なのかの判断がつかねぇだろ?だから、自分の目で確かめるんだよ。」


「?」


どうして、それが規則を破る理由になるのか、私には、全く分からなかった。私の戸惑いを察してか、悪餓鬼すぎるアルヴィン君に思うところがあるのか、レヴィちゃんが反論する。


「そう言って、実は単なる好奇心なのではありませんの?」



「それもあるぜ?だがよ、お宝が眠ってるかも知れないんだぜ?未来の凄腕トレジャーハンターとしてはよ、チャレンジしてみてぇじゃん。トラップを掻い潜っての侵入とか。」


「…気付かれない様に、侵入する…(隠密の訓練になりそうだねぇ。)」

ピクッとリースさんが反応する。


「見たことのねぇ宝飾品とか、」


「宝飾品…」

ピクッとクレアさんが反応する。


「未解読の古文書とか、」


「古文書…(貴重な兵法書があるやも知れんな。)」

ピクッとアリ君が反応する。


「魔法の付与された珍しい武器なんかもあるかも知れねぇんだぜ?」



「珍しい武器…」

ゴクリ、と私が唾を飲み込む。



「見てみたいと、お前らは思わねぇのか?」



「そんなの、当然見たいわよ?」


「当然だな。」


「見たことの無い武器…。」




「な?行くしかねぇだろ?」



「これは、監視するのについていくしかありませんわね。やれやれですわ。」




こんな会話がされたとか、されていないとか。





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