デート。
「え、と、悠希?」
「だよ? ってなに惚けた顔してんの」
だって。目の前にいるのは真っ白なワンピース姿の美少女、だよ?
どう言うことかもう訳が分からなくて。
「うー。まあいいや。ちょうどいいからこのまま出かけよ? ちょっとだけ待っててね。準備してくる」
そのままパタンと扉が閉まり。五分程だろうか。頭の整理がつかないまま立ち尽くしている俺の前に再び現れた悠希は。
真っ白なふわふわのワンピースにベージュのカーディガンを羽織って。
膝丈の裾から覗く生足は華奢で、白い編み上げのサンダルがよく似合ってる。
髪型も、ショートだけどフェミニン? で。
そして極め付け。
うっすらと化粧が施されたその顔は、どう見ても完璧な美少女のそれ、だった。
「さ、いこ?」
そう俺の腕を取って歩き出す悠希、いや、宮本、ううん、宮本さん?
歩きながら時々俺を見上げるその笑顔は、とてもキュートで。
愛らしかった。
☆☆☆
「さあどこに行こうか? そだ、ちょうど観たい映画があったんだよねー。一緒にいこ?」
そう俺の腕を両手で絡みとりリードする宮本さん。
って。胸、あたってないこれ? なんだか柔らかい。
心臓がドキドキしてる。これって俺の?
「え、と、宮本さん? で、いいのかな。どう言うこと? これ」
地下鉄で隣に座りやっと少し精神が追いついてきた所で俺。そう切り出して。
「んー。こんな僕、嫌い?」
いやいやいや、嫌いじゃないよむしろ好み。
っていうか女の子姿の宮本は、もう俺の好みドストライクデス。
っていうか宮本って、女子だったの?
さっきの胸の感触、あれ、本物だよね?
ああ、もう頭の中パニックで。
「き、きらいなんてとんでもない、むしろ大好きで……」
と、口走ってた。
あはは。と、可愛く笑う彼女。
ドキン!
ああ、もう、心のど真ん中、射抜かれちゃったみたいに。
ドキン! ドキン!
って、これって、恋?
よくわかんないけど、これ、初恋? なのか?
一緒に映画を観て。
ランチを食べて。
公園を散歩して。
そして宮本を家まで送り届けた俺。
「ありがとね拓真。デートしてくれて」
そう別れ際にくれた言葉に、あらためて。
今日がデートだったんだって、実感した。