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謎、のまま。

「ねえ坂本くん」


 校門を出ようとしたところで真綾さんに声をかけられた。


 え? びっくり。

 もしかして待ってたの? 俺が出てくるの。


「え? どうして……」


「ごめんね。あたしのせい? 宮本くん走って帰っちゃったよね?」


「ああ。なんか機嫌が悪かったみたいでさ。よくわからないけど怒って帰っちまって……。ああ、ドーナツ……」


「あは。坂本くんってけっこう話しやすいんだ。もっと早く話しかければよかった」


「え? 俺って怖くない? 大丈夫?」


「んー。怖くはないかな? 友達もみんな坂本くんに興味津々だし」


 え? これはもしかしてモテキきた? 


「あー、うん、おれ、気にしないから気軽に話しかけてくれればいいよ」


 心の動揺を抑えそう言ってみる。


 やったー。これでぼっち解消だ!


「でも、そういえば西荻さん、急いでたんじゃなかったの?」


「うん、校門で友達と待ち合わせだったんだけどねー。あたしが一番乗りだったんだよ。みんな遅いのやんなっちゃう」


 そうぺろっと舌を出して笑う真綾さん。ああ、なんだかやっぱりかわいいな。


「まあやー」


「あ、みっちゃん遅い! 待ってたんだからね!」


「ごめんごめん。ちょっと部室で捕まっちゃってさ。それよりはるは?」


「うーん、まだ、っていうか来たみたい走ってくるよ」


「ごめん待ったー?」


「やっとみんな来た。って坂本くんごめんね」


「ああ、いいよ俺は。じゃぁまた」


 なんか待ち人きたって感じ。っていうか俺を待ってたんじゃもともと無くて、彼女達と待ち合わせしてただけだったんだよなー。


 まああたり前か。


 そう帰ろうと振り向いた所で今来た女子達に呼び止められた。


「坂本くん? 待って!」


「もう真綾ったら抜け駆けずるい!」


「えーべつに抜け駆けなんて」


「あたし達にも紹介しなさいよ」


「そんな、クラスメイトでしょう? 自分で話しかけなよ」


 もじもじしている女子二人と真綾さんの間でいろいろ打ち合わせが済んだらしい。


 真綾さんから思いもかけない提案が。


「ねえ、坂本くん。もしよかったら一緒にミスドってどうかなぁ? さっきドーナツって言ってたしね? この子達、もうちょっと坂本くんと話したいんだって」



 ☆☆☆



 というわけで俺は今きゃぁきゃぁしてる女子と共にミスドでドーナツを食べていた。


 この俺にこんな事が起きるなんて。信じられないけど現実なんだよなこれ。


 でも。


「坂本くんって普段宮本くんとどんなお話するの?」


「宮本くんって坂本くんにだけ笑顔見せるもんね」


「ほんとはここにも宮本くんと来る予定だったの?」


 きゃぁきゃぁといろんな会話が飛び交う中で、俺に対する質問はほとんどが宮本の事だった。


 そんなに宮本の事が気になるなら直接本人に聞けばいいのに。


 そうちょっと思ったけど流石にそれは言わないで置いた。なんだかね、俺も空気を読んだんだよね。


 ただ。


 そうするとなんだか余計に疑問に思えてきて。


 トレイを片付けて店を出るときにちょっと聞いてみたのだ。


 例の、


 宮本くんは恐ろしい#


 の落書きのこと……。


「実は俺、みちゃったんだよね。さっきのノート落とした時の落書き。宮本が恐ろしいって書いてあったの。すっごく気になってて……」


 ああやっぱり見られちゃってた恥ずいなもうっていう真綾さんの呟きのあと。


「まあね、それはもう、あたしたちの間では常識、っていうか」


「そうだよね」


「うん、恐ろしい、んだよねえ」


「って、何がどう恐ろしいのさ?」


 そう、この子達さっきから悠希のことばっかり聞いてきてたじゃない。ほんと興味あるくせに。


「それはねー」


「でもねえ」


「うーん、なんて言っていいのか」


「きっとそのうち坂本くんにもわかるんじゃないかなぁ」


「そうだよねえ」


 勿体ぶらないで教えてよ。


「ああごめんあたしもう門限の時間になっちゃうからこれで」


「ごめんね」


「坂本くん、またねー」


 と、女子3人は逃げるように帰って行った。


 結局、宮本くんは恐ろしいは謎のまま、だよ。

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