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落書き。

 なんだろうな?


 まあ俺が怖いって誤解されてしまってるのはわかる。


 そのせいで近づいてくる人がなかなか居ない事も。


 でも、だよ?


 悠希は別だろう?


 こんなにいいやつなのに、皆は遠巻きに見るだけで近づいてもこない。


 この一ヶ月近くの間、悠希に話しかけてきたやつがどれだけいた?


 ずっと観察してたけど、何かの引き継ぎや連絡以外で会話してるところを見たことないぞ?


 なんだかずっと腫物にでも触るのを避けているかのように。誰も、悠希のこといない人間であるかのように。そんな態度だ。流石にどうかと思うよ?


 俺が馴れ馴れしくしてるせいか?

 とも考えてみたけどたぶん違う。


 一体何があるっていうんだろう? ほんと謎だ。




 放課後ちょっと用事があるからって職員室に行った悠希を昇降口の下駄箱の前で待つ。


 皆が帰っていくけど時々俺の事チラッと見てはこそこそ話してる女子がいる。


 うー。気になるけどどうせ良いことは言われてないだろうと思うから声をかけるのも躊躇われるし。


 まあ悠希の下駄箱の真ん前で突っ立ってるから目立つのか、いけないのかとも思い、ちょっとその辺フラフラ歩いてみることにした俺。


 行ったり来たりするだけだけどこれならきっと怪しく無いよねうんそうしよう、と、歩き出した所で。


「きゃぁ!」


 ばん、と、下駄箱の影から現れた女子とぶつかってしまった。


「ああ、ごめん!」


 尻餅をついてしまった彼女。慌ててその子に手を伸ばした。


「あうあう、坂本くん? ごめんなさい!」


 ああ、悪いのはこっちなのに。謝らせちゃった。やっぱり俺が怖いのかな。ほんとごめん。


 カバンの中身も少しこぼれちゃってる彼女。怪我はしてないようだけど。


 差し出した俺の手を取って立ち上がると。


「ごめんなさいありがとう坂本くん。ちょっと急いでて前よく見てなかったよ」


 クラスの女子、真綾さん。西荻真綾(にしおぎまあや)さんだっけ。


 彼女はわりと物怖じせずそう言うと、落ちたノートを拾おうとしてしゃがんだ。


 ああ、さすがに手伝わなきゃって思った俺、とっさにそのノートたちを拾おうと。


「あ、ダメ」


 広がって落ちたノート。


 慌ててそれを拾う彼女のその声に、俺の手は一瞬固まる。


 しまった。また距離感測り損ねたか? そう出しゃばった真似をし過ぎたかと反省し固まった俺の目の前で拾われるノートに。



 見てしまった。



 落書き?



 イラストのような似顔絵のような。



 女子用の制服を着ている笑顔な女子の、そんな絵。



 そして、そこに。




 ※注 宮本君は恐ろしい#


 と、書いてあったのを。

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