Li:再び始める異世界生活 5.Call me sister.
「ま、まじかよ…。」
動揺するしかなかった。鏡に映っていたのは茶髪の小さく華奢な体の少女だったのだ。情けないことに今まで気づかなかったが、オレの尻からは猫のような細長いしっぽが生えていた。もちろん言うまでもなく、しっぽの色も茶色だ。
なんてかわいい猫耳少女なんだろう? これが自分自身でなかったなら、立派な紳士なオレはこの少女を襲ってしまっていたかもしれない。
「オレ、ロリになってしまったのかよ……。」
どういうことだ? どういうことだ? どういうことだ? どういうことだ? どういう……?
一応のところは落ち着いた声を維持しているが頭と心の中は同様で様々な感情がぐるぐる渦巻いている。
マリモに 弑られて、スーパーマリモの世界からゼロダの伝説の世界にたらい回しにされた、という俺の仮説は間違いだったのか?
「ね~? かわいいでしょ~?」
女はにこにこしながら俺の身体を持ち上げている。実にいい笑顔だ。コイツにでもこの世界について聞いてみるか。
「あたし,男の子よりも女の子、特に可愛い娘が大好きなのよ〜!」
それはそれは、俺と趣味が合いそうだ。俺と趣味が同じのコイツに聞いたら簡単に教えてくれるだろう。ロリコンに悪い奴はいないっていうからな。
オレは鏡越しに女に尋ねた。
「ここはどんな世界なんだ? ハゲラルという王国はあるか?」
確かゼロダの伝説にはハゲラル王国が登場してはずだ。俺がプレイしたのは「大地の警笛」と「幻夢の砂時計」の二つだけだから、あまりく詳しくはないが。
「ないわよ、ハゲラルなんて王国? 私たちが今いるのはアストラム王国よ?」
「存在しないのか!?」
どういうことになっているのだ!? アストラムなんて聞いたことない。
「突然存在なんてしない王国を出してくるなんて……面白い子ね! う~ん! ますます気に入ったわ!」
オレを持ち上げていた淑女は俺を抱きしめて、ほっぺたに俺のほっぺたをすりすりした。
「ね~? なんてかわいいのかしら!」
「やめろ、女。」
そう言いつつも心の中ではどこかうれしかった、
童貞のまま三十路に突っ込んだ挙句にい世界に転生、その後童貞は卒業したものの、姫に裏切られた心に大ダメージを追ってしまったからな、仕方がない。
「『女』じゃないわよ。私の名前はミズナミよ。ちゃんと覚えてね! あの日から私はあなたのお姉ちゃんになったんだから! ちゃんとお姉ちゃんって呼ばないと返事しないわよ。」
「そんなことは今はどうでもいい。この世界のついて詳しく教えろ。」
どうやら俺が考えにかんがえた挙句にたどり着いた仮説は間違っていたようだ。ならば答え合わせをしないといけない。
言葉遣いは乱暴かもしれないが、今は早く答えにたどり着きたいという気持ちのほうが勝っていた。
「え~? 教えてほしい?」
「さっさと教えろ。」
最近のTVCMみたいにもったいぶらずにさっさと答えを教えてほしい。
「じゃあね~……。あたしのこと、お姉ちゃんって呼んで?」
「お前はTVCMか。」




