Li:再び始める異世界生活 4.ロリになった転生者 <後編>
オレは突然後ろから襲われた。
・・・
訂正する。
襲われたのは事実だけど、危害は加えられてはいない。
窓の外を眺め、後ろの警戒が疎かになっていたオレは後ろから抱きつかれた。そして、ソイツはすべすべした柔らかいほっぺたをオレのほっぺたに擦り付けたのだ。
「良かった〜ッ! 目を覚ましたのね!? お持ち帰りしてるときに突然気を失ったから、ビックリしたわよ〜!」
……この声・・・俺を奴隷として購入した女のものだ。
美人にほっぺたすりすりされるなんて…
悪くない!
おっと、いかんいかん・・・。つい表情が緩んでしまった。日本にいたころは三十路で死ぬまでずっと童貞で、スーパーマリモの世界では道程は卒業できたものの最後に裏切られてしまったからな、あれはノーカンだ。仕方ないといえば仕方ないだろう、うん、そういうことにしておきましょう。
女のすりすりはさらに激しさを増していった。うれしいのはうれしいが……
「痛い。」
抱きしめる力が強くなって、痛いぐらいになっていった。
「アッ、ごめんね~!」
女は俺から手を放し、てをあわせる。
「……あなたがとてもかわいかったから……つい……」
「……かわいい?」
どういうことだ?
「あれ? あなた自分の姿を見たことないの?」
女は首をかしげる。
「面白い子ね! 洗面所に鏡があるから自分の姿を見てみたら? あ、そうか! 洗面所のばしょわかんないよね。おいで!」
女わベッドから降りた俺の手を握った。
あれ、おかしくないか? 俺は女よりも背が低くなっていた。女の伸長を160cmぜん半だと仮定しよう。俺の日本時代の伸長は160後半で、スーパーマリモの世界・クロノスの伸長は160cm前半ぐらいだったはずだから。この女と目線は同じぐらいにならないとおかしい。
この状態なら現在の俺の伸長は140cm以下しかないんじゃないのか……?
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしい……
おかしさで頭がおかしくなりそうになっていた俺は女に手をつながれて、洗面所の鏡の前に来た。俺の今の伸長では首から先しか自分の姿が鏡に映らない。身長が足りないのだ。そんな状態でも俺はこの身に起こっている状態異常に気が付くことができた。
なぜならそれは……
俺の顔は少女のそれになってしまっていたからだ。
しかも、その頭の上部には猫のような立派な耳が生えている。
「あ、からだがみえないか~。持ち上げてあげる。」
この現実を受け入れたくはなかったが女は容赦なく俺の身体を持ち上げる。
「……まじかよ。」
俺はオレがケモミミが生えたロリになってしまった現実を受け入れざるを得なかった。




