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泥状のギギルコン「と」  作者: がら がらんどう
吉井とみきとみきと吉井
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第51話 コミュニティ偵察編(吉井の待ち時間)

 

 なるほど、思いっきりあるな。これしかないだろ。っていうのが。


 吉井は裏山に登り、以前みきと休んだ中間地点周辺で町並みを眺めていると、一面壁で囲まれている広大な敷地を見つけた。


 前休んだときは位置的に視界に入らない場所だからしょうがないけど、道中はどう考えても目に入るはずだろ。あれ田舎のイオン2個分ぐらいはあるぞ。なんでおれたちはって、ああ、そうか。ずっとどんぐり探してたから基本的に地面しか見てなかったんだなあ。それならしょうがないか。


 敷地内は多くの人が行き来しており、集合住宅と思われる石造りの建物も並んでいる。また空いているスペースでは、所々屋台のようなものから煙が上がり、何かを作って売っているように見えた。


 すげえなあ、ほぼ独立した村じゃないか。しかし街の中に村を作る意味ってなんかあるんだろうか。


 吉井は少し考えた後、やっぱり今はいいや。おいおいわかるだろう。と早々に諦め、万が一戦闘になった場合に備え、逃走ルートは確保しておいたほうがいいと聞いたことがあったので、壁際を観察し正面以外の出入り口を探した。


 うーん。大体逃走ルートって何をもって、これって決めるのかのう。警備の配置が薄いとか濃いみたいな感じで探すイメージはあるが、正直こっから見てるだけだと誰が警備なのかすらわからんな。まあ力技でいいか。あの壁って見た感じ、シンイチが島行った時飛び越えたやつぐらいだよな。今のおれなら全然いけるよ。普通に最短距離で壁に向かってそっから逃げよう。


 方針を決めた吉井は、一応どんぐりが落ちてないか探しつつ裏山を降り、正面入り口に向かった。



 山を降りた後、ギルド前の大通りをしばらく歩いていると、吉井は自分の位置を見失っていることに気付き、しばらく訊く人を吟味した結果、立ち話をしていた中年男性2人に道を教えてもらい、コミュニティの正面入り口前にたどり着いた。


 入り口は大型トラックが通れる程度の幅があり、兵が両側から出入りする人間をチェックしている。また入り口前の道はコミュニティに入る荷台で軽く渋滞しており、ああいうのって地元民からしたら迷惑なんだよ。多分あの辺ずっと混んでるんだろうな。

 

 吉井は一旦道を挟んだ反対側にある家と家の間の路地に移動し、タフタの店で買ったチーズの燻製を食べながら様子を眺めていると、吉井は入り口傍にある小さな建物を見つけた。


 高速の料金所みたいなやつ。やっぱりこういうとこにはあるんだなあ。今人いないからおそらく夜勤の人用か。小さい頃憧れたんだよ、あの中に入って小さいモニターで野球観ながらマックを食べたかったんだ。


 吉井は監視用と思われる建物の内部がどういった形になっているか気になり、路地を出て道から確認したが、壁に遮られ視界に入らなかった。

 よし、いいきっかけだ。並んで中に入ろう。そしてコミュニティ偵察の前にじっくりと観察しよう。吉井は道を渡って荷台、荷台、人、荷台、荷台、人、荷台の8番目として最後尾に並んだ。


 次の次に自分の番になった時、来客者に対し兵士2人が紙を持って何かを確認しているのを見て、吉井は少し不安になった。


 おれアポなし訪問だけど大丈夫か? あの感じだと思いっきりチェックしてるよな。いけるよ、あの2人をぶちのめして中に入ればいいだけだ。それで騒ぎになって駆け寄って来る兵士達をちぎっては投げ、ちぎっては投げで。でもそれだとなあ、昨日のあいつらとやってること一緒っていうか。あいつらが店に掛けた迷惑以上に迷惑を掛けることに。そうなってくるとおれの正義の統一性に問題が。


 やっぱり帰るか。大体偵察っていうのも意味わかんないし。吉井は後ろを振り返るとすでに4、5組が並んでいた。


 でもなあ。さっきの男、あいつがなあ。今日行かなかったら、おれの雰囲気にびびったのか? しょうがない、それまでの男だったということか。って思われるからなあ。一応先に言っといたとはいえ、ギルド混んでたから来れなかったっていうのは正直言い訳としてはきつい。

 

 それと。吉井はもう一度振り返った。ここまで並んだのがもったいないっていう気持ちも多少ある。


 列が進み、吉井の前に並んでいた荷台が手招きされた。


 吉井の前にいた荷台は、幌なしの小さいサイズのもので、兵士達は紙を見ながら布をめくり中身を確認していた。


 やっぱりあの感じで布めくるんだ。それはどこでも一緒なんだな。


 荷台の男と兵士は顔見知りらしく、荷物に関係のない、どこの店が上手かった、どこの店が下手だったという、性的なサービスを含むマッサージ店のを話しており、最後に兵士が、じゃあ入っていいぞ、と中に入るよう促した後、明らかに面倒な様子で吉井を一瞥し、こっちへ来い! と手招きした。


 この緊張感、久しぶりだ。吉井は上がっていることをさとられないよう、比較的ゆっくりと歩き兵士の前に立った。


 この兵士の鎧、さっきの燻製の店にいた兵士のより何かしょぼいな。光沢がないっていうか。ブロンズクロスとシルバークロスぐらいの差が。


 吉井が兵士から話しかけられるのを待っていると、「おい。お前はなんだ? 説明しろ」入り口にいた兵士は紙を見ながら吉井に言った。


「ええと、ミナトロンと午後、から。あの、く、約束を」

 

 畜生。緊張して噛んだし、敬称付けるのも忘れた。でもまあいいか、おれの予想だとミナトロンは組織の中で超絶にえらい人と見た、名前5文字だし。だから、あれだろ。ミナトロンの名前出したらこいつ固まるんだろ? でカメラ振ってもう1人は槍落としてからの言葉遣いと態度が一変だな。


 その後、入り口周辺は2人の反応も含め吉井の想像通りの雰囲気となり、2人いるうちの1人が慌てて奥の建物から、気持ち偉い感じの人を連れてきた。その気持ち偉い感じの人は、ご案内します。と頭を下げた後、吉井の前に立ち歩き出したので、吉井は自分の想像通りになった快感に酔いしれながら、その男に付いていった。


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