9.県立病院再診から入院前日まで
市立病院でもらった止血剤が効いたのか県立病院に行ってから数日するとぴたりと出血が止まった。すごい! 今年に入ってから止まっていなかったのに!
鉄剤の効果もあってかだいぶ調子がよい。といってもたぶん普通のひとよりは悪い。
あー、血が出てないってなんて快適なんだろう! と快適さをありがたく思ってすぐに、「あ、手術」と手術のことを思い出して軽く鬱になることを繰り返し、再診の日を迎える。
この日はありがたいことに前回ほども病院までの時間がかからず1時間半くらいで到着。思ったより早くついてほっとした。再診の手続きを機械で済ませたら例のスケジュール票がにゅーんと出てきた。診察前の検査がずらっと。こ、これは……。
採血→レントゲン→心電図→診察
ということで順にこなす。
今回はまぁ、採血はともかく、レントゲンも心電図もあっという間に終了。
産婦人科で受付し、受付番号が出て診察室に入る。
「よろしくお願いします」
「はい、えーっと、じゃあ、……誰か家族のひときてる?」
「あ、母が」
「あ、じゃあ呼んでくれる? 手術の説明しないとだめだから」
ん? なんかきょうはご機嫌いい?
なんとなく前回より医師の感じがよい。もしやあれか、わたしの前に診察したひとがタイプな女だったとか? だとしたらありがとう、わたしの前のひと。(そういうことってあるのかな? わからないけど、このときわたしはそう思ったのですが、後々考えてみるとたぶんこの医師が初診の人見知り?なのかという気がしないでもない)
母を呼び、診察室に入る。
ここで入院から退院までのスケジュールとか手術の内容とか麻酔のこととかのプリントを出されそれぞれの解説を受けた。いちいち「それって痛いですか?」と訊くわたしがイタイよな、でも怖いし! いちおう確認しておきたいんだよ!!
わたしは子宮鏡下手術という、いわゆる内視鏡手術を受ける。どうでもいいけど、言葉のなかに「下手」って入ってるのなんかやだなぁ。麻酔は腰椎麻酔。麻酔について書かれたプリントの麻酔打たれるひとの絵がはだかなのがなんか気になった。
それにしても、手術にしろ麻酔にしろ、リスクがあるんだね。そういえばMRIのときにもらった説明プリントにも造影剤の副作用で云々かかれていたっけ。(余談なのですが、ツイッターで相互になってる女性がMRIの造影剤でアナフィラキシーショックを起こし、大変だったツイートをしていたことがあります。こればっかりは運か……)
「いま、生理中? 終わってる?」
と、医師に訊かれる。
「いえ、止まってます」
「んー……手術までに生理を終わらせておかないと、手術中に生理だとできなくはないけどちょっとやりづらいので、ピルを1週間ぶん出すので飲んでください。飲み終わったら2、3日後に生理がくるので」
「え、せっかく止まってるのに」
思わずいってしまう。
だって本当に止まったの7か月ぶりとかなんだよう。
すかさず母に「仕方ないでしょう」みたいにいわれる。はい、そうですけど。
「あと、鉄剤も出しておくので飲んでください」
「はい……」
診察室を出ると看護師さんが現れ、入院の説明を聞いて、手続きをしてから帰ってくれとのことで、説明受付と入院受付に行く。
入院日に、同意書と入院、手術用の問診票に記入してもってきてくださいとのこと。病院の封筒にあれこれ入れられるのを見ながら、あー、本当に手術するんだなぁと。
帰宅してテーブルの上に病院の封筒をぽいっと置いたが、なんとなくそこが災厄の坩堝見たいに見える。怖い……。ほんと、どうしよう。
この日から入院までわたしは「まぁ、大丈夫だろう」と「やだ、どうしよう、怖い」をいちにちに何度も感じることになり、それがしんどかった。午後と夜は「まぁ、大丈夫だろう」という気持ちになれるのに、朝起きてすぐ~午前と夕方の5時~7時くらいまで、あと寝る前に「やだ、どうしよう、怖い」を発症してた。
8月に入り、「飲み終わったら2、3日後に生理がくるピル」の効果がでて、止まっていた出血がはじまった。んだけど……最初のふつかほどは量が少なく、ピルのせいで量が減っているのかな? と思ったもののすぐさま大量出血に早変わり!! こんなに大量に出血したら手術日に貧血がとんでもないことになるのでは、と心配するほどで、朝起きて立ち上がっただけでどばー、あまりに大量に出るせいでナプキンが吸収しきれずぽたぽたと血が落ちる。ふ、布団が……。血のついた下着や服を洗って着替えるも、座る→立ち上がる、の動作でどばー、はい、着替え。ということを3度ほどやったところであきらめて、下半身は下着で、汚れてもいい膝掛けとかフリースを巻くことにした。
もう無理! さすがにここまでひどいと「早く筋腫とってくれ」という気持ちになる。不思議だったのはこんなにとんでもないことになっているわりには生理痛がほとんどないこと。どばーっと出る前にちょっときゅっとした痛みがあるくらい。
そういえば、入院・手術をするにあたり、役所で医療費の何やら制度を使うと上限が?安くなるから手続きしておくよういわれていたので行ったら、8月に切り替えだから8月に出直せといわれた。めんどくせー。8月に出直しました。
入院の前の週くらいだったか、某番組にユー○ケ・サン○マリアが出ていて、「背骨のところに打たれた麻酔がめちゃくちゃ痛かった」という話をしているのを聞いてしまい青ざめるわたし。(どうやらこの麻酔とわたしの麻酔は違っていた模様)
あと、自分でもバカな想像してるなーと思ったけど、本当に手術が怖かったから、「筋腫を集めてる宇宙人がわたしが寝ているあいだに筋腫だけ持っていってくれたらいいのに」とか「筋腫を食べる細菌とかウイルスとかいないのかな」とか、必死に逃避。
そして無情にも時は過ぎ、入院の日を迎える!