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粘膜下筋腫の摘出手術をしました  作者: サガ レダ
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8.県立病院へ 後編

 恐怖のMRIも終わり、産婦人科に戻り、受付をして診察室前へ。

 行ったらすでに自分の受付番号が表示されている。焦ってなかに入る。

「よろしくお願いします」

 と、すでに座って待っている医師の顔を見て「え?」となった。

 違うひと!?

 わたしを問診した医師じゃない。なんかちょっと冷たそうな感じで、わたしよりずっと若そうに見えるし、え? マジで? 問診してくれた医師の印象がよすぎたせいか、第一印象が激悪い。

 問診の内容が表示されたモニター画面をじっと見ている。

「ずっと出血止まってない?」

「は、はい」

「これMRIの画像なんだけど」

 といってパソコンモニターを見る。なんか、機嫌が悪いんだろうか。そんな空気があって、ちょっと会話が怖い。

「この白いのが筋腫で、3~4センチくらいあるんですよ」

 昨日市立病院で見たのとほとんど同じ、白くて丸っこいものができている。

「じゃ、内診するからそっちの部屋に」

「はい……あ、血、出てますけど」

「ああ、うん、大丈夫」

 あーー、やっぱりか。だよな。あーあー、もういやだいやだ。

 そしてふたたび例の拷問椅子に。

 ……本当、思い出したくもない。この内診は本当に拷問みたいだったんですよ。

 というのも、わたしの疲労が結構なものだったこと、よく知らない街の知らない病院で全く知らない医師に診察されること、その他もろもろの緊張とか不安とかが入り交じっていていつも以上に恐怖感があったせいか、器具を突っ込まれただけで通常以上に衝撃があったような気になって(実際は痛いとかはない)、なにかされるたびに、不快感と気持ち悪さに襲われて辛くて。拷問椅子の上で、下半身は逃げられないので上半身だけ逃げ悶えてた(まっすぐ座っていられなくて、からだがずれていく)。

 やっぱり内診でなにかされるたびに昨日の市立病院のときほどではないけれど出血するのがわかる。そしてなにかされるたびにからだが逃げてしまうので連動して下肢が動いてしまう。看護師さんが床に落ちた血を拭いている? のがわかる。

「すいません、……慣れてなくて」

 カーテンの向こうの医師にいちおう謝るも、

「慣れてるひとなんていないよ」

 といわれる。

 ……泣

 我慢するも正直限界。もうほんとやめてくれ。

「ま、まだですか?」

 思わず訊いてしまう。きいたところで終わるはずもないけど。

「もうちょっと」

 なんかもう本当にいやで、しかも長かったし(実際は市立病院と同じ位だったと思う)、最後らへん嫌すぎて目に涙がじわっと。でも泣くの嫌いなので我慢した。

「ちょっとちくっとするよ」

 といわれ、ほんとにちくっとする。

 なんで男なのにわかるのさ、生理もないくせに、痛みなんてわかるのかよ。

 っていうか痛みの比重、女性のほうが重いの納得がいかない。フェアじゃない。生きてるだけで血が出て腹は痛い、頭は痛い、気分は塞ぐ、全身満身創痍じゃないか。それなのに生理は病気じゃないから我慢しろなんていわれる。あげくこんな屈辱的な格好させられて。

 あーやだやだ、人類、次の進化はまだか? 

「はい、終わりましたよ」

「ありがとうございました」

 っていうか、カーテンのせいかしらんけど、やっぱり医者の声小さくてよくきこえない。

 と、カーテンが空いたところで看護師さんがわたしを見てぎょっとしたようだった。

「?」

 どうやらめちゃくちゃ顔色が悪かったようで、

「すぐ立ち上がらなくていいですから、ゆっくり、ちょっと座ってて」

 そういってバスタオルを股間にさっとかけてくれる。ありがとうございます。優しさが染みます……。

 しかしどんな顔してたんだろうか。とりあえず上半身暴れてたのでぼさぼさになった髪を直して、立ち上がる。

「ゆっくりでいいですよ、大丈夫ですか」

「あ、はい、大丈夫……です」

 答えて下着をはき、診察室に戻る。

 医師は涼しい顔して座って待っている。

 なんでこの医師にあたったんだろ、どういう選考基準なんだろう。

「うん、筋腫あるし、手術だね」

「……え、怖いです」

「怖いねぇ」

 絶対思ってねーだろ、と思わせるなげやりな適当な感じの声。

「手術しないと治らないですか」

「筋腫とらないとまた大量出血するし、貧血も治らないよ」

 なんてこった。

「わかりました……腹? なんとか手術(腹腔鏡手術っていいたかった)ってやつですか?」

「ううん、子宮鏡下手術ってやつ」

「そういうのがあるんですね……」

「内視鏡だね」

 ああ、なるほど。胃カメラみたいなやつか。

 手術といえば開腹か腹腔鏡だと思っていたわたし。

「じゃあ、えーと、手術の日は……」

 えっ、もう決めるの!?

 と、手帳を取りだしペラペラめくる。

「んー、……最短でお盆のあたりかなぁ、いい?」

「はい……」

 わたしはMRIで学習したのだ。

 医師がやるといったらやるのだと! 患者が怖いとか嫌だとかいったところで「大丈夫」とか「まぁ、やってみようよ」の精神でやらせてしまうのだ。とりあえずこの病院の医師はそう! きぃぃぃぃぃぃ。とはいっても全部病人である患者のため。わかってる。

「じゃ、2週間後にまたきて。手術前の検査するから。あ、鉄剤だしておきます」

「……はい」

 ということで県立病院をあとにした。

 運転担当母もわたしも超絶疲れました。

 

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