12.退院から最後の診察まで
夜中に何度か血圧、体温を計りに看護師さんがくる。何度目かで母がベッドライトをつけてしまい、眩しくて目が覚める。おい! 起こすなよ! 時間をみると3時半。それからほとんど眠れずぼんやりしたまま6時に採血。
7時半すぎに朝食、いちにちぶり! おいしー!
9時頃に看護師さんに呼ばれ、医師に診察される。術後の内診怖いぜ。っていうか尿管がくっついてるのがまた気が滅入る。
内診が終わり、最後の診察の予約を入れる。
そして抜かれる尿管。診察に行くときに看護師さんに「尿管抜くの痛いですか?」と訊いたら「尿管抜くとき痛いっていってるひとはいないかなぁ」とのことでちょっと安心。実際、痛くはなかった。ぐぇっ、て感じだった。なんていうか、気持ち悪いかんじ。まぁ、女性は尿道から膀胱までの距離が短いので本当に抜けるのは一瞬でした。
看護師さんが、退院の準備をしてください、30分後くらいには計算(会計の)できてるとおもうのでそしたら帰宅していいです。とのこと。
やったー、終わったー!
と、病室に戻ってせかせかと荷物を片付けていたら医師登場。
「手術はうまくいったし、当分ちょっと血がまじったり水みたいなのが出てくると思うけどいずれ止まるので気にしなくていいし。……あと、手術してわかったんだけど、やっぱり子宮ふたつあって」
え? 初耳ですけど?
「筋腫はとったけど、生理がひどいのはもしかしたらそのせいかもしれないです」
「え、ふたつ?」
「そう、子宮ってもともとはふたつあって、それがくっついてひとつになるんだけど、うまくくっつかないことがあるんですよ。○○さんのは双角子宮っていうんですけど。この子宮のひとは妊娠しても早産とか流産とかになることがあるんです(普通のひとよりなりやすい、だったかも)」
へ、へぇ。まぁ、こども欲しいと思ってないけど。
しかしなんつーこっちゃ。
ってかいまさらそんなこと知るとは。
「……あ、それで腎臓がどうとかいってたんですか」
「そうそう、あ、採血の結果ヘモグロビンがまた少なかったから鉄剤だしときます」
「はい、ありがとうございました」
母を見ると母も驚いていた。まぁ、そうだよなぁ。
後日調べたところ子宮奇形だと妊娠もしにくいみたいで、不妊治療頑張ってるひとが何人も出てきた。でも自然妊娠したってひともいたし、まぁ、運? ってか、授かるという縁? まぁ、いいわ。
とっとと荷物を片付け、逃げるように退院!
3週間後、最後の診察。
それにしても止まるもんだね、出血。
手術して本当に止まるんだもん、すごい。そりゃそうだろって思うけど、あんまり信じてなかった。
で、最後の診察に出発。予約はちょっと遅めだったおかげで出発時刻も普通くらいで。っていうか、病院が近づいてくるとだんだん緊張してくるのもしかしてトラウマ化してないか?!
再診受付をして、すこしまって、ほとんど予定の時間に診察室へ。
「よろしくお願いします」
「体調はどうですか」
「あ、生理になりましたってかなってるみたいなんですけど、生理ってこんなだったかなぁって。量がすくなくて」
というのも、筋腫をとったおかげで生理の出血があり得ないほど減って、かつての10分の1ほどしかでてない。これただの不正出血なんじゃ? と疑うほど。
「あと、なんか生理痛が復活しました……」
なぜか生理痛が復活。しかも左側がみょうに痛い。なにこれ大丈夫なの? でもふつかほどで痛みは止まって、この日は無痛だった。
「え、生理痛出てるの? 筋腫の場所のせいかな、とったから……わかんないな。薬飲んだ?」
「あ、飲みました」
「薬は痛くなる前に飲んだ方がいいよ、そのほうが効くので」
「痛くなる前ですか、へぇ」
でも痛くなるかわかんないのに飲むのもなぁ、と思ったり。
「じゃ、傷口見るんで内診します……いやかもしれないけど」
と、最後に優しさを見せる医師。いまさら? というのはまぁ、半分は冗談で。第一印象こそ悪かったものの、入院前の再診のあたりから感じよくなってたし、子宮ふたつあることも発見してもらったしできっと名医なんだろうと思うようにはなってました。
診察室に戻る。
「それで双角子宮のことなんだけど」
と、パソコンのモニターに画像を写す。
なるほど。子宮は丸っこいはずなのに、ハート型? というよりわたしには虫の触覚の根本がくっついてるやつみたいに見えた。
「これわたしのですか」
「わたしのですよ」
主治医が指でこれとこれでふたつあるんだよね、と。
「生理って両方からでてるんですか」
「そう、両方から。だから量が多いままかもしれない」
術後すっごい減ってるけど、いまだけ、ってことかも。がーん。
で、あとは貧血の症状があるか訊かれたがいまのところ順調なので、終了。
「またなんかあったらきてください」
といわれたが、車で2時間近くかけてくるの? でも子宮ふたつとか詳しいこと知ってるのってここだけだし、他の病院だとこれの説明からしなきゃいけないの? え、どうしたら? と悩み、……ま、まぁ、当分は大丈夫だろう。と「ありがとうございました」とお礼をいってそそくさと退室。
あー、やっと、これでやっと解放された!
大量出血、止まらない生理、鉄欠乏症貧血、これらのせいで寝たきりみたいになって母や弟に心なくなじられたこともあった。本当にしんどかった!!
去年の夏から本当に病院ばっかり行って何度採血されたやら。
内診もそうだし、胃カメラやMRI、はじめて受けた検査たくさんあった。
あげくに入院、手術、麻酔も怖かったなぁー。
時間もお金も結構かかった。
どれもこれも緊張と恐怖で腹壊しながら乗り越えました!
正直、こんな経験したくなかったしないほうがよかったけど、最後の診察が終わって、県立病院を出るとき、なんとなく寂しいような懐かしいような気持ちになったのは辛いことを耐えたことが過去になったからか、病気のわたしを助けてくれたのに偉ぶりもせずにいる凛としたひとたちをもっと見たかったからか。
わからないけどまぁ、ありがとうございました!
さて、次はなにが起こるのかな(汗)
読んでくださったかた、いらっしゃいましたらありがとうございました。
まるで創作物みたいなオチ(子宮ふたつ)がついてますけど、実話です。驚きました。
SNSなんかでときどき生理の不調はなにか病気が隠れているかもしれないので病院行ってください! なんて啓蒙ツイートを見ます。それを知っていたので、わたしはかなり初動早めに(と、思う)婦人科にかかったんですが、考えてみたら個人病院では最初だけしか内診してないんですよね。ピルで出血が多い時点で内診してもらったらよかったのかなといまは思います。
ちなみに粘膜下筋腫はちょっと珍しい筋腫で、本当にちっさい筋腫でも症状が重く出て大量出血するんだとか。あと生理痛もあるみたいだけど、なぜかわたしはありませんでした。
何度も内診されましたけどやっぱり慣れないしイヤです。産婦人科はかかりたくない科1位です。でも、出血が止まらないとか生理痛がひどいとかあったら是非病院行ってください。ほんとに嫌ですけど、わたしも頑張りましたので!なんか子宮ふたつも見つかりましたし!!
それにしても手術すごいです、一時はもう死ぬまで血が止まらないんじゃないかと思いましたから笑
ではどうか、みんなが健康でありますように!